豊原清明詩集「白黒目」
「海程」香川句会のメンバーである豊原清明(KIYOAKI FILM)さんが詩集を上梓しました。豊原さんは、中原中也賞を受賞した、才能あふれる詩人でもあります。
22篇の詩は、それぞれの彩が有り素晴らしいのですが、就中、豊原さんの詩に寄せたメッセージと共に、私も一番魅かれた作品を以下に、そのままご紹介させていただきます。
詩集「白黒目」で最も読んで頂きたいのは、「たんぽぽの婦人」です。これは東日本大震災の日に描いたもので、詩集『白黒目』は、東日本大震災が密なるテーマです。はじめての私家版詩集をご覧ください。
「たんぽぽの婦人」 豊原清明詩集『白黒目』所収
おーい たんぽぽ
日本列島、大地震の報せばかりだぞお
そろそろお前さん
やってきて、
陽気に俳句を、と
思うとった
我が子の死に
泣くひとと
世界の地面の叫びとなって
お前はどこで咲くのかね
今頃、親戚のひとは、
たんぽぽーぽー
ぽうねんと
ほうほう
てんと おてんとさまは
お腹を空かしてイルノダヨ
オモチも食えずに
兎くんにお願いしましたら
ぽぽうぽんぽん
砧を打って 月で本を読んでいる
ぽんぽん たんたん
とんとん
おはよう おはよう
ふふふと笑って
ぽんたん ぽんたん
ランドセル抱えて
花を見ている
ふぃーん ふぃーん
嘶きながら
おやすみー
65頁にわたる心の籠った詩集の最後には<清明や父母の背は丸太ん棒>の一句がありました。豊原さん、素晴らしい詩集を有難うございました。俳句も、ますますのご健吟を!!
Posted at 2015年8月6日 午後 11:35 by noriko in 「海程」の窓 | 投稿されたコメント [0]