2019年3月17日 (日)

第94回「海程香川」句会(2019.04.20)ご案内

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昨日は、春嵐の中、新見市(岡山県)より吉田和恵さんが本句会にご参加くださいました。吉田さんは、無農薬野菜の生産販売を生業にされている爽やかな笑顔の美しい方でした。袋回しは人数が少し減りましたが、佳句が多く、とても楽しい句会でした。後日「今月の作品集」に作品抄を掲載いたします。

では、来月のご案内を!

2019年4月20日(土)
場所
サンポートホール高松第67会議室
時間
午後1時 ~午後5時

事前投句の締切りは、4月17日(水)(必着)。句会当日は、午後1時からの事前投句の合評の後、午後2時半頃より袋回し句会を予定しています。面白いお題を一つ持っておいでください。

事前投句作品
3句
会費
500円

見学も、飛び入りの参加も、歓迎いたします。

連絡先:noriko_n11☆yahoo.co.jp(☆を@に変換してください)

句会当日は suncatwave@ezweb.ne.jp へご連絡ください。

「海程香川」代表 野﨑憲子

2019年2月28日 (木)

第92回「海程香川」句会(2019.02.16)

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事前投句参加者の一句

         
軍靴響く饗庭野(あいばの)鳥の影寒し 大西 健司
万年筆便りの進む春が好き 稲葉 千尋
梅ほつりほつり言葉の生る不思議 谷  孝江
空が青くて鳥になりたい冬木の芽 吉田 和恵
声出して寒夕焼になりました 月野ぽぽな
梅林をよぎる人影たしかに師 寺町志津子
沈まない冬日の底にある世界 鈴木 幸江
青鮫を天へ吹上げ梅真白 小宮 豊和
一汁と一菜でよし山笑う 重松 敬子
ファーストもファシストも焦げくさい冬日 三枝みずほ
春雷や物置の扉開け放し 菅原 春み
切株のかわいいくしゃみ初日の出 矢野千代子
住職の説法長し東風ほのか 銀   次
見える目が欲しい星空の雪だるま 島田 章平
押しくらまんじゅう一人はみ出る梅蕾 中野 佑海
父は死んでいた 恋猫が鳴いていた 田口  浩
肩甲骨ぐいと寄せたり鳥雲に 高橋美弥子
豆腐屋は豆腐を作る春の雨 小山やす子
死にたいと時々思ふミモザの夜 柴田 清子
板チョコの東の角より囀れる 三好つや子
冬雲に包まれるキャベツあり 中村 セミ
沈丁花指輪のあとは消えぬまま 伊藤  幸
探梅と称してくぐる縄暖簾 漆原 義典
耳打ちに眼みひらく涅槃西風 榎本 祐子
蛹は雨に春の音楽教えてる 高木 水志
風まるくまるくふくらむ春の山 亀山祐美子
雪しだく小小小小小小小(このじのれつや) 留守に亀 藤川 宏樹
三寒四温金属疲労研究室 新野 祐子
猫の恋かぼちゃスープと喉の棘 佐藤 仁美
にんげんがたてている音うすごおり 男波 弘志
春寒や骨までしゃぶる鯛の粗(あら) 野澤 隆夫
走り根にくちづける雪の聖者よ 増田 天志
他界より「おー」と御声春灯し 野口思づゑ
咳ひとつ肺は薄陽さす森林 若森 京子
行き交いてキンクロハジロ的憂い 松本 勇二
あやとりの小指と小指ほら俳句 河野 志保
目薬の飛び散る朝の春の歌 豊原 清明
漂流物ままごとの春浅き春 竹本  仰
春立つや谷中初音町(はつね)の鐘の音 田中 怜子
菜の花の永遠にいる少女かな 藤田 乙女
恋猫や白鵬鶴竜稀勢の里 河田 清峰
水脈引いて鴨まつすぐに我にくる 高橋 晴子
慈父にして荒星目つむれば会える 野田 信章
国生みの島を抱くや水仙花 野﨑 憲子

句会の窓

藤川 宏樹

特選句「豆腐屋は豆腐を作る春の雨」この句に句会では多数の選が入りました。春の雨が豆腐と見事にマッチしています。学生時代の豆腐屋早朝アルバイト、冷水に浸かる出来たて豆腐の暖かみ、掬う柔らかな触感が蘇りました。こうい う自然体の句を私も作りたいと思います。

島田 章平

特選句「沈丁花指輪のあとは消えぬまま」妻が亡くなった時の指輪を外したあとが忘れられません。

重松 敬子

特選句「風まるくまるくふくらむ春の山」春が来た喜びが素直に伝わってきて、とても幸せな気持ちになりました。日本には、嬉しいことに四つの季節があり、俳句の存在にも多大な影響を与えてきたと想像されます。私達は、このそれ ぞれの季節を大いに楽しみたいものです。

高木 水志

特選句「住職の説法長し東風ほのか」清々しい俳句だと思った。住職の長い話を聞いているうちに、東風がそっと吹いている風景が心地よい。

野澤 隆夫

特選句「豆腐屋は豆腐を作る春の雨」〝豆腐屋さんが豆腐を作る〟。その通りです。わが母校、栗林小学校の通学路にも豆腐屋さんがありました。豆腐と、油揚げとおからを作ってました。70年近く前のことを思い出しました。やはり〝春の雨〟が効いています。特選句「親鸞を因数分解して蜜柑(三好つや子)」親鸞の生き方に興味をもった作者。親鸞を因数分解してみるという発想が面白い。蜜柑を口にしながら、親鸞の因数分解を楽しんでいるようです。

高橋美弥子

特選句「 冬雲に包まれるキャベツあり」ああ、こういう感じあるなあと思いました。わたしの出身県はキャベツの特産地です。寒くて厚い冬雲につつまれて、甘味を増しおいしくなるキャベツ。「包まれる」の措辞がいかにもキャベツ。問題句「死が近いしろつめくさがそう言うた(田口浩)」人はいつか死ぬ。なぜかそれだけは平等。不平等と不条理の溢れかえるこの世界で、唯一「死」は悪人にも善人にも避けられない。しろつめくさという、希望に満ちた対象が投げかける「死」。わたしも明日死ぬかもしれないと思わせる句。

若森 京子

特選句「軍靴響く饗庭野(あいばの)鳥の影寒し」世界平和を願う者としては、現在、いつも不安を感じている一句だが、地名の饗庭野が真ん中で効いている。一句を詩的にもしている。特選句「ファーストもファシストも焦げく さい冬日」言葉の音律が、何げなく焦げくさい冬日をよく表現している。

稲葉 千尋

特選句「肩甲骨ぐいと寄せたり鳥雲に」ふんいきがいいですね。〟鳥雲〝の季語佳し。「切符片手に風花は讃岐より」上五は片道切符がいいなあ。

小山やす子

特選句「春雷や物置の扉開け放し」素の俳句という感じがしていいと思います。

増田 天志

特選句「雪しだく小小小小小小小(このじのれつや)留守に亀」柔軟な発想に、感服。

中野 佑海

特選句「板チョコの東の角より囀れる」思いを込めて送ったバレンタインのチョコ。私の気持ちを伝えてよ!彼が食べる端から私の思いが囀りとなって流れ出すなんて素敵な便利な機能付きチョコ。早速、わたしも作って送ろ。私 は魔女のお婆さんか!!特選句「雪しだく小小小小小小小(このじのれつや)留守に亀」めちゃめちゃ笑えるやないの!誰がこんな素敵な俳句考えたんですか?最初、読んだ時は誰か小股の切れ上がった着物の女性の下駄の跡かと思っていまし た。最後の「亀」がまた最高。だから、何で亀なん?と思っていました。本当に見られたんですか?二度見してやっと理解しました。どの俳句もとても面白く、選句するのが、大変でした。秩父で俳句三昧をしてきました。今年は、香川で俳句 三昧です。皆様、汗を絞って、俳句にいたしましょう。

男波 弘志

「声だして寒夕焼けになりました」この声は造化とひとつになる 声 声が往生している。「ゆっくりと空へ繋がる白息の(三枝みずほ)」白息の、そのとめかたが、いのちの循環になっている。また肉声を伝えていて、実感が充ちている。「埋めようなくレモン一切れ一便箋(竹本 仰)」文字に入れかわることがない、レモン、その実体を素直に感じればいい。「あらたなる死者にふくらむ春の山(田口 浩)」山そのものがふくらむ、発見、つまり、死者を祝祭している。涅槃とはそういう場所だろう。

菅原 春み

特選句「軍靴響く饗庭野(あいばの)鳥の影寒し」影寒しが秀逸です。きなくさい世のなかです。特選句『他界より「おー」と御声春灯し』いまにもお声が聞こえてきそうです。季ぴったりです。特選句「あらたなる死者にふくら む春の山」どうしても特選にしたくて。臨場感があります。

矢野千代子

特選句「軍靴響く饗庭野(あいばの)鳥の影寒し」饗庭野(あいばの)、この固有名詞にとても魅かれました。

竹本  仰

特選句「春雷や物置の扉開け放し」春雷というのは、一回見事に鳴って、それからすこし静かに落ち着く間があって、元に戻る、そんな一セットのものではないかと記憶していますが、あの春雷の後の間というのは、ふと忘れものに 気づく間ではないのかと、そんな風な季語の鑑賞をしてしまいました。そんな春雷の後の間、そのふと空いた心の無防備、言い換えれば心の蓋のあいた瞬間、そんなものがうかがえました。そして、妙にその物置の中へ引き込まれるものを感じ ます。非常にバランスのいい、高い調和みたいなものがある句だと感心しました。特選句「あらたなる死者にふくらむ春の山」小生のおりますこの田舎には「サンマイ」といって土葬の林があります。この地の植生の豊かさというか、猛烈なナ マな粗雑さ正直さには呆れるのですが、その林がある句というとらえ方で読みました。お葬式が終わり、火葬から帰ってくると、人は必ずあくびをし、薄らいだ、また安らいだ笑みをこぼすものです。そういう光景を見かけたときのタッチにか なり近い雰囲気を思い浮かべました。もっとも大事な世のなりたちの一断面がくっきりと描かれ、その清新な空気感を感じました。特選句「にんげんがたてている音うすごおり」この句から聞こえてくるのは、人間て何?という問いでしょうか 。うちの近所のお茶の先生がいつも、テレビは見ないの、あんなしょうもないものをいつも見ている世の中がどうかしているワ、というのを聞き、そのたびに何か胸がすっとするのを感じます。人間という惑わされやすいもの、一方で何か微妙 な自然の一切れが片隅にあり、すごく大事な問いかけをしている。そんなうすごおりからの目線を感じました。以上です。今回はとても、目を引く句が多かったように思います。知り合いの方に、この句会のプリントを見せたところ、俳句はわ からないけど、何かわくわくする感じにみちみちているね、と面白がっていました。毎回、大変はげみになります。ありがとうございます。

田中 怜子

特選句「青鮫を天へ吹き上げ梅真白」 作者の思い、前向き、勢いがあります。

柴田 清子

特選句「死が近いしろつめくさがそう言うた」人間が避けることの出来ない死を、白詰草に、さらりと言はせているところが、さらに近づいてくる死を強烈にしている。特選句「父は死んでいた 恋猫が鳴いていた」:「生と死」 「死と生」言葉で書かれている以上に、迫力のある空間が、この句にはある。「父の死」と「恋猫の泣き声」が、同格と思える不思議な空間にひきずり込まれる句。「クックーポッポウ淡雪の時間です(野﨑憲子)」鳴き声だけで読み手の私達に、淡雪の時 間を感じさせてくれる好きな句ですね。

大西 健司

特選句「咳ひとつ肺は薄陽さす森林」まず肺を薄陽さす森林と断定したことを評価したい。どう読んだらいいのか悩ましいが、感覚的にはわかるとしか言いようがない。ただここで先行句を思い出した「はつなつや肺は小さな森で あり(なつはづき)」現俳協新人賞受賞者の一句である。味わいはそれぞれ違うものの難しいところ。問題句「三寒四温金属疲労研究室」金属疲労研究室はいいとして、さて季語はこれでいいのか疑問が残る。無理をして全部漢字にしなくても 、やわらかなひらがなの五文字の方が中七からがもっと生きるのではと思うのだが、いかがなものか。

鈴木 幸江

問題句「雪しだく小小小小小小小(このじのれつや)留守に亀」俳句において振り仮名をどこまで受け入れるかは作者の中でそれぞれ基準のようなものが揺れつつもある。全く、すべきではないという意見もよく耳にするが、文字 とは別の意味を持った振り仮名を付けている句も目にしたことがある。恥ずかしながら私は「小小小小小小小」が文字の形象から風景を再現したものだとは気が付かなかったのだ。言葉の表す意味内容につい思考がいってしまう私の癖が出てし まい、俳句の解釈の一つの味わい方を見失っていた。今回は、作者の解説をいただき、自分の文字の視覚的鑑賞力の不十分さに気が付かされた。また、このような振り仮名の使い方にも初めて出会った。とにかく、作者の説明によると留守の間 に庭に亀が来たようで、雪の上に足跡らしき“小の字”の列があったということだ。このような文字の形象から俳句の世界を広げてゆくとう試みも大いにありだと思う。一句の中に自然と動物と人間が描かれているのもよろしいと思った。問題 句「板チョコの東の角より囀れる」2月とチョコとくれば聖バレンタインデー。キリスト教ではカップルが愛を誓う日。そして、「東」からは“エデンの東”が連想される。そこは、楽園から追放された者の地であり、また且つ真実の愛が問わ れている場だと私は思っている。この作者はきっと現代における真実の愛を求めているのだろう。頑張ってください。

中村 セミ

特選句「咳ひとつ肺は薄陽さす森林」色々とれると思うけれど、肺の寒々とした風景が何か印象に残りました。病気の方、又は森林と重ねて肺という臓器の森の様に広がった大きさに何かを重ねたところが良かったです。他、「豆 腐屋は豆腐を作る春の雨」昔、実家が豆腐屋で一年中、朝早くから父や母が豆腐を作っている姿が、鮮明に戻ってきました。春の雨で豆腐屋の生活がきちんと写真の様に止りました。

佐藤 仁美

特選句「梅ほつりほつり言葉の生る不思議」ほつりほつりの表現に惹かれました。私も、ほつりほつりでも言葉を編み出したいものです。特選句「豆腐屋は豆腐を作る春の雨」,当たり前の事を当たり前に、淡々と続けていくことの 大切さと凄さを、春の雨が優しく包んでいる様子が浮かびました。

松本 勇二

特選句「板チョコの東の角より囀れる」囀りの発信元が板チョコの東の角という閃きが新鮮でした。感性豊かな作者像が浮かびます。問題句「梅林をよぎる人影たしかに師」師を特定した方が強くなると思います。たとえば「梅林 をよぎる人影たしかに兜太」では。

三好つや子

特選句「蛹は雨に春の音楽教えてる」蛹が楽器なら、静かに降る雨は弾き手。寄り添って春のメロディーを奏でる抒情が、とても快い作品。特選句「国生みの島を抱くや水仙花」古事記ゆかりの「沼島」を遠望できる淡路島の水仙 郷を歩いたことがあります。あの水仙の迫力が、この句からよみがえり、共鳴しました。入選句「ずっしりと櫂の五十句冴返る(野澤隆夫)」角川俳句二月号で発表された、死を予感したような長谷川氏の五十句。心がざわざわします。

田口  浩

特選句「肩甲骨ぐいと寄せたり鳥雲に」〝鳥雲に〟は古い季語である。其角、一茶も詠んでいる。若いころ好きだった、草田男にもある。私淑していた閒石も「鳥雲の某日水を描き暮らす」とあるが、どの句にも作者の郷愁のような ものがにじんでいる。見え隠れする。〝鳥雲に〟は春のそんな気分の季語だと思っていたが、この「肩甲骨グイと」は私に待ったをかけた。驚ろかされた。鶴か、雁か、雲間に向かう力強さは、郷愁などではなく、水泳選手の水をかきわける両 腕に重なって、健康志向の私たちの肩までグリッと音を立てたような気がした。平成の一句が〝鳥雲に〟に一頁開いた感がある。特選句「あやとりの小指と小指ほら俳句」今の女の子はあやとりをするだろうか?向かい合って互いの指に掛けて いる毛糸をやりとりするのだが、そのたびに形がかわる。それを競う遊びだが、私はなぜか熊手の形をおぼえている。子供同志はやらないかも知れないが、母と幼い子が膝をつき合せ、毛糸に顔を近づけている図は、おだやかでほほえましい。 句は「小指と小指ほら俳句」がいい。もちろんあやとりに俳句などと言う、やっかいな組手はないだろう。しかし、そこは親子である。もしお母さんが俳句を愉しんでいる人だとしたら、あやとりを通して、俳句を子供に興味を持たせようとし ているのかも知れない。「ほら俳句」の「小指と小指」には存外に約束ゲンマンの意もあるのである。こんなあやとりをつきつけられた子供はどんな顔をするのだろうか・・・・・。いい作品である。

河田 清峰

特選句「切株のかわいいくしゃみ初日の出」初日の出の光は眩しいほど届いているのに温もりはまだ届いていない気持ちを切株に例えたのが良かった。

漆原 義典

特選句は「父は死んでいた 恋猫が鳴いていた」です。父は死んでいたと衝撃的な書き出しと、恋猫の表情が、うまいです。作者の感性はすごいです。また前衛の鋭さを強く感じました。

野田 信章

特選句「走り根にくちづける雪の聖者よ」遥よりの使者―雪片を「くちづける」と把え、「聖者よ」と結句する。映像の確かさを諾うことができるのも、地に息衝く者の象徴としての「走り根」の設定あればこそと思う。

榎本 祐子

特選句「春寒や骨までしゃぶる鯛の粗(あら)」春なのに忌ま忌ましい寒さの中、骨の強(こわ)い鯛の粗を無心にしゃぶる像。「までしゃぶる」と言う言葉で、時空から切り離された異世界のようにも見える。哀しくもあり可笑 しくもあり、そして少し怖い。

寺町志津子

特選句「慈父にして荒星目つむれば会える」つい最近、黒田杏子さんが「選者をしている新聞の俳句欄に未だに兜太先生のことを詠んだ句が寄せられる。かつてないことである」的なことを書かれていたのを読んだが、今月の香川句会もしかりで、かなりの数があった。それぞれに兜太先生への思いが込められ、それぞれに感慨深いが、中でも、最も共感し、共鳴し、しみじみ心に染みる揚句を特選に頂いた。私ごとで恐縮であるが、ご生前、兜太先生にお会いしたり、お話を伺ったりしていると、誠に僭越ながら、亡父と全く重なって感じるところがあり(ある意味、大正生まれの父親像の一面かも知れないし、きっと多くの方が同じ感慨を持っておられたのではないか、とも思うが)いつも大変嬉しく、とても有り難い思いであった。揚句の「目つむれば会える」に哀しみの中での希望が見える。今宵も目をつむって兜太先生にお会いしよう!

三枝みずほ

特選句「漂流物ままごとの春浅き春」瀬戸内海の浜辺で人工的な漂流物をよく見かける。このままごとで使っている漂流物もプラスチック等の海の生態系を脅かすものであろうか。ままごとの着眼点に現代性があった。せめて子の春は爛漫であってほしいものだ。

谷  孝江

特選句「豆腐屋は豆腐を作る春の雨」パン屋がパンを作る、ケーキ屋がケーキを作るありふれた事柄を豆腐屋に持ってゆき、春の雨との取り合わせで、あたたかくやさしい風景になっていて好きな句です。立春も過ぎ春らんまんの季 節の一歩手前での句。今月もたくさんの句に出合わせて頂きました。来月は花の盛りでしょうか。楽しく待っています。

藤田 乙女

特選句「青鮫を天へ吹き上げ梅真白」寒気の中に、純白の美しい梅の花が百花にさきがけて地上に咲いている頃、天界へと召されていった師への尊敬の心と深い思いがしみじみと伝わってきました。

月野ぽぽな

特選句「咳ひとつ肺は薄陽さす森林」咳が出た後その送り主である肺とその身体感覚に注目して、体の神秘を「肺は薄陽さす森林」と形象化。自然と不可分な人間の心身魂。人体の不思議命の不思議を再認識させてくれた。

新野 祐子

特選句「軍靴響く饗庭野(あいばの)鳥の影寒し」長編小説のエピローグの様な情景が目に浮かんできます。鳥の影が寒いというところに作者の荒涼とした心境が表されているのではないでしょうか。入選句「落ち葉踏む革命遠き 石疊(寺町志津子)」こちらは欧州、フランスあたりの紀行文の一フレーズのように読みました。石畳からは民衆の蜂起の靴音が聞こえてきます。『他界より「おー」と御声春灯し』兜太先生が亡くなってちょうど一年となりました。この句から先生の姿が彷彿とします。「春灯し」が優しくてとても好きです。問題句「雪しだく小小小小小小小(このじのれつや)留守に亀」:「このじのれつや」と読ませるのは、あまりに無理があるのでは?でも「留守に亀」だなんて突飛ですし、おもしろい句ですね。

小宮 豊和

一句コメント「「あやとりの小指と小指ほら俳句」題材の良さに比較して「ほら俳句」がいまいちに感じられた。どう変えたらあやとりの句らしくなるか考えたが特段に良い案はうかばない。「一句なる」ではどうだろうか。「小 指と小指」は島倉千代子の唄にあるので気になる向きがあれば「指っふれあって」など。あとは語順をいれかえる手もあるかもしれない。「一句成るあやとりの指ふれあって」 

吉田 和恵

特選句「梅ほつりほつり言葉の生る不思議」梅がようやく綻び始める時、言葉が生れて来る感じがする。私も寡黙な夫を仕立て、「梅咲いて寡黙な夫が独りごつ」と書いてみました・・・・・直ちに消しましたけど。特選句「落ち 葉踏む革命遠き石疊」石畳・馬車・産業革命・・・石畳に妙にリアリティを感じました。

亀山祐美子

特選句『落椿大地に彫りし緋の文字(銀次)』色んな落椿の句を見てきましたが、「大地に彫り込んだ」「赤い文字」だという発想は素晴らしいと思います。特選句『恋猫や白鵬鶴竜稀棒勢の里』昨日家の庭に近所の猫が来てましたが、一勝負終わった後の相撲取りといった風情で笑っしまいました。髷を直してもらっている時の体の丸みとか勝負の火照りとか、目が血走っているところとか、よく見ているなぁと感心してしまいました。何よりリズムが良く無駄がありません。脱帽です。皆様の句評楽しみにしております。花粉の季節になりました。皆様ご自愛くださいませ。

河野 志保

特選句「梅林をよぎる人影たしかに師」 金子兜太先生のことを詠んだ句と受け取った。先生の名句が思い出されるし、ストレートで実感あり。断定したところに「師」への強い思いが感じられる。

伊藤  幸

特選句「 板チョコの東の角より囀れる」春ですね。若いですね。発想が楽しい。未来がある。出来不出来は抜きにしてチョコ、東、囀りの意外な取り合わせの全てに明るい明日が見えて思わず微笑んでしまいます。

野口思づゑ

「声出して寒夕焼けになりました」感動的な夕焼けに、自分が声をあげたくなる気持ちが伝わってくる。「梅林をよぎる人影たしかに師」金子先生のお姿が浮かんでしまいました。「見える目が欲しい星空の雪だるま」雪だるまに縁がない地域に住んでいる者にとって、雪だるまと星空と雪だるまの取り合わせがことさら新鮮。「あらたなる死者にふくらむ春の山」死者の旅立ちが明るく捉えられている。「慈父にして荒星目つむれば会える」またお会いしたいです。

高橋 晴子

特選句「親鸞を因数分解して蜜柑」何だか面白い。或いは、蜜柑でない人もあるでしょう。この人は蜜柑、動くというよりこれはこの人の解。問題句「恋猫や白鵬鶴竜稀棒勢の里」相撲は面白いが、この三人の横綱あまり好きでな い。恋猫の相手はもっと若手の生きのいいのがいい。

野﨑 憲子

特選句「声出して寒夕焼になりました」始源から生まれてきた声・・この「寒夕焼け」に悠久の時間を観ました。問題句「行き交いてキンクロハジロ的憂い」私は、「キンクロハジロ」が、鴨の一種と知らなかったです。羽根の色 彩が名となった、とても魅かれる句。只「的」が気になりました。

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

指先に掬い集めし春時雨
佐藤 仁美
春水に指入れ何のためらひか
柴田 清子
この指は誰だろうねと蜜柑むく
鈴木 幸江
のどけき日トイプードルは指しゃぶる
野澤 隆夫
亡き妻の手袋の指空いたまま
島田 章平
兜太
茶封筒の兜太はみ出してゐる春
柴田 清子
兜太の忌僕はこっちで待ってます
藤川 宏樹
兜太棲む白梅の郷らしい
鈴木 幸江
春の雷兜太の出腹ボタン飛ぶ
漆原 義典
種(たね)
春浅し種の暗号解読中
佐藤 仁美
斎種(ゆだね)まく「海程香川」とふたねを
島田 章平
種も仕掛けもない春が来た
柴田 清子
冬麗の遍(あまね)き大地植ゆる種
野澤 隆夫
鷹柱
鷹柱雲切れ長の空青し
藤川 宏樹
戦争を知らない子たち鷹柱
野澤 隆夫
鷹柱平常心を見つめをり
鈴木 幸江
寒風
寒風やあの歌をまだ唱ってる
藤川 宏樹
寒風に犬はわんわん鬼は外
野澤 隆夫
寒風や土砂に消さるる珊瑚礁
島田 章平
寒風受けマラソンランナー壱萬騎
漆原 義典

【通信欄】&【句会メモ】

【通 信 欄】安西篤さんから、一月句会のご選句を頂きました。お忙しい中、ありがとうございました。 安西 篤◆谷さんの訃報への反響の大きさは、なんといっても彼の個性のユニークさ、人柄の温かさによるものでしょう。もって瞑すべしです。今回特選としたい句は「鍬置いて大地に記す兜太の句(稲葉千尋)」「晩柑や師の言魂の陽の雫( 野田信章)」の追悼二句でした。特に、野田作の霊性を感じさせる熱い思いに打たれました。佳作として「流星群岬へ放馬青を帯び(大西健司)」「むらぎもに梅がちらほら青鮫忌(若森京子)」「着ぶくれて傷心というかたちかな(新野祐子 )」「原曲は冬木を通りすぎる風(月野ぽぽな)」「耳打ちのような足裏に春の潮(矢野千代子)」「一・一七忌記憶の咳が止まらない(三好つや子)」「地球とふ風の器よ冬すみれ(野﨑憲子)」等に注目しました。

【句会メモ】今月の本句会は、「金子兜太先生の一周忌墓参と吟行合宿」と、同日開催となりました。10月に香川で開催の第一回海原全国大会の打ち合わせの為、中野佑海さんと秩父へまいりました。高松の句会は、漆原義典さんが司会をしてくださり、盛会だったと何人もの方から聞きました。漆原さんを始め、高松の句会にご参加の皆様、ありがとうございました。来月の句会でお目にかかるのを楽しみにしています。冒頭の写真は、勉強会の会場のホテルの庭に咲いていた臘梅です。秩父は、梅と臘梅の馥郁たる香の中でした。

2019年1月30日 (水)

第91回「海程香川」句会(2019.01.19)

赤富士.png

事前投句参加者の一句

            
身の中の水冬雲の一つ也 中村 セミ
正月よわたしは紙ヒコーキだからね 田口  浩
着ぶくれて傷心というかたちかな 新野 祐子
老人の脱皮秘かに冬の虹 小山やす子
あきらめたときにレモンが浮いてくる 三枝みずほ
東京や墓のマンションに初明り 寺町志津子
実南天たし算だけで生きてます 吉田 和恵
横抱きの郷愁空に凧 松本 勇二
栗鼠と僕のテレパシー橋駆け抜ける 桂  凛火
平然と伸びし睫毛や冬の鹿 高木 水志
寒月や拡散A4にびつしりと 小道 清明(豊原清明改め)
晩柑や師の言魂の陽の雫 野田 信章
雲低きあをのゆらぎの寒の海 亀山祐美子
讃岐人あん餅雑煮で歳重ね 漆原 義典
着ぶくれの母を引っ張る短パン児 中西 裕子
寒満月遠い日の海辺にいたり 柴田 清子
父の忌の寒九の水を享けにけり 高橋美弥子
鍬置いて大地に記す兜太の句 稲葉 千尋
流星群岬へ放馬青を帯び 大西 健司
新春なり隣の内儀若作り 小宮 豊和
ちぢむ肉叢初荷のように労りぬ 若森 京子
初御空柏手まねし幼子ら 佐藤 仁美
手の初動北斗七星掬うかな 鈴木 幸江
幸先の種を蒔きます初日記 野口思づゑ
冬すみれ木洩れ日に読む福音書 増田 天志
原曲は冬木を通りすぎる風 月野ぽぽな
せせらぎから人体をゆく枯野 竹本  仰
棒針のマフラーわたし風の人 重松 敬子
手枕のしばしの仮寝雪しまき 菅原 春み
節分会沖で豆かむ音のする 矢野千代子
山に住む小さな家族冬に入る 河野 志保
朝練はコーラなビート麦芽吹く 中野 佑海
風花や夫へ語らぬスープ膜 藤川 宏樹
凍てる夜の星が零れてきはせぬか 谷  孝江
凍星の明滅ことばにかわらぬよう 男波 弘志
竹馬の夢の醒めては独りぼつち 島田 章平
義歯ぽろりシンクに落ちて除夜の鐘 野澤 隆夫
冬満月微笑っているよう泣いているよう 伊藤  幸
鉛筆と姉とひとつの冬寝床 河田 清峰
競艇場の水面ぺたりと淑気かな 榎本 祐子
もう家へ帰れぬ患者窓に霜 銀   次
美ら海を汚し殺めし我が国や 田中 怜子
一・一七忌記憶の咳が止まらない 三好つや子
冬銀河過去も未来も飲み込んで 藤田 乙女
餅焼くや希林に春恵、悦子もか 高橋 晴子
地球とふ風の器よ冬すみれ 野﨑 憲子

句会の窓

若森 京子

特選句「原曲は冬木を通りすぎる風」素直な発想と感性に惹かれた。特選句「天上の水音(みおと)ちりばめ七草粥(三好つや子)」日本人の伝統行事の〝七草粥〟をこの様な角度から詠まれているのは初めてだ。きらきらと輝く美しい詩に昇華して いる。

増田 天志

特選句「正月よわたしは紙飛行機だからね」ええっ、紙飛行機って。人生の軽さなの。肉体のはかなさ。無常感かなあ。とにかく、貴方は、いつまでも、屋根瓦の上に、とまったままね。

河野 志保

特選句「競艇場の水面ペタリと淑気かな」意外な視点から新年の静けさが伝わる。驚きと、なんとも言えない心地よさを感じた。競艇場という選択が抜群。刹那に賭ける熱気と喧騒の場ゆえに、ペタリとした水面の静寂が際 立つと思う。

小山やす子

特選句「風花や夫へ語らぬスープ膜」何気ない夫婦の日常を優しい眼差しで句になさった。特にスープ膜のくだりに好感が持てます。

野澤 隆夫

特選句「冬すみれ木洩れ日に読む福音書」穏やかな冬の一日。静謐な時間を過ごす作者が浮かびます。特選句「むらぎもに梅がちらほら青鮫忌(若森京子)」追悼の句でしょうか。逝去されて1年がたち、やっと作者の気持ちに平常心が 取り戻せたという感。問題句「重ね着てジアゼパム百錠の樹海(高橋美弥子)」おどろおどろしい世界に足を踏み入れた作者。ホラーの世界です。

中野 佑海

特選句「正月よわたしは紙飛行機だからね」今までは、子や孫を待って、三が日はお節、お屠蘇、お雑煮と何日も前から用意して。と、もういいでしょう!私は良くやったよ。紙飛行機の様に身軽になって好きな所で、好き なキャラで居させて!「特選句「実南天たし算だけで生きてます」冬最中、赤い実たわわに、葉も良い色出して、前向きに闊歩してます。格好良い私。すっぱりしていて、気持ち良いです。目指す所です。

藤川 宏樹

特選句「元旦の厠詰まるるめでたさよ(河田清峰)」初句会のふじかわスタヂオは年末にトイレをリフォーム。子や孫ら親族一同、厠が詰まるほどにぎやかな正月を過ごしました。トイレにめでたさを着想するとは素晴らしい!句会では 鈴木さんから拙句「風花や・・・」へ特選でほくそ笑み、袋回しでも選が入り、よき年の始めとなりました。俳句三年、より発想を広げたいと思います。→素敵なスタヂオで句会ができて幸いでした。これからも、どうぞ宜しくお願 い申し上げます。貴句、楽しみにしています!

稲葉 千尋

特選句「元旦の厠詰まるるめでたさよ」いやいや懐かしい光景。これこそ元旦のめでたあり、お見事。特選句「餅焼くや希林に春恵、悦子もか」名女優三人に餅焼いて合掌している。この季語はゆるがない。

銀   次

今月の誤読●「鉛筆と姉とひとつの冬寝床」。カリカリカリカリ。冬の寝床で腹ばいになって、さっちゃんはノートになにかを描いている。姉のみち子が云う。「さっちゃん、もう寝なさい」「うん、でも、もうちょっとだ け」。カリカリカリカリ。しばらくしてさっちゃんが小さく叫んだ。「できたー」。うとうとしかけていたみち子が「なにが?」と問う。「これ見て」と差し出したノートには拙い絵が描かれていた。「あら、これってお嫁さんね」 「うん」「この人って、さっちゃん?」「ううん、お姉ちゃん」「でもあたし、こんなに目が大きくないし、キレイじゃないわ」「でも、お姉ちゃん」「そう、ありがとう」。みち子はなんだか嬉しくなってその絵にじっと見入った 。そのうち少し悲しいような気がして、枕元のランプを消した。なんだろう、この気持ち? さっちゃんは胎児のように丸まって、みち子の寝間着の襟元をつかんだまま寝入っている。スヤスヤというさっちゃんの寝息がみち子を余 計に悲しくさせた。たぶんさっちゃんは、こうしてひとつ寝床で抱き合って寝ることが永遠につづくと信じているのだろう。だがみち子は、成長という時の流れが止められないことを知っている。そしていつかは、それぞれが別々の 人生を歩まなければならないことを。みち子は、さっちゃんの手に握られていた鉛筆をそっと抜いてノートに挟んだ。どうやら外は雪らしい。障子の底がぼんやりと白い。みち子はさっちゃんをキュッと抱いた。そして、寝た。

伊藤  幸

特選句「天土の水音ちりばめ七草粥」平成最後の七草粥ですね。皆様の殆どが昭和、平成そしてもう一つの時代を生きる事となるのです。こころ新たに神聖な気持ちで新しい時代を迎えたいものです。そういう意味でも、こ の句はぴったりです。

漆原 義典

特選句「新春なり隣の内儀若作り」です。中7の「隣の内儀」が大正、昭和のロマンを感じてうれしいです。平成が終わりまもなく新しい年号となりますが、古きよき時代を大事にしておきます。下五の若作りもまた新春に 良く合っています。新年早々楽しい気分にさせてくれた作者の感性に感動しました。ありがとうございます。

谷  孝江

特選句「枯枝で描いた円を抜け出せず(三枝みずほ)」は、頭だけで無く、全身で受け止められるような句です。円の中より抜け出せません。故人となられました書の先生より教えられました事は「円」とは全世界全宇宙のことであり、善 も悪も、人も動物も木、草に至るものすべてが、この円相の中に収まっているのだと・・・。教えて頂いた五十年前は、軽く受けておりましたけれど年と共に少しは深く身に沁みてくるものがあります、どうしょうもない円の中で生 かされているのだと。「父の忌の寒九の水を享けにけり」も、骨太で好きな句です。父の忌、寒九の水、で重く受けとる事が出来ました。良い句をたくさん見せていただきました。ありがとうございます。今年もよろしく御指導くだ さいます様に。

田口  浩

特選句「実南天たし算だけで生きてます」句の一刀両断ぶりがこころよい。〈たし算〉と断定することによって、〈実南天〉の何かが浮かんで来る。さらに、〈生きてます〉と置かれると、もうこの実南天は、作者が自在に 演じるままにままに踊らされる。そこで何が見えるか、何を演じているか、そこまで解釈する親切はいらない。読者の思うまま感じるままでよいのだが、しいて言えば、作者の生きざま、こころ根であろうか。いや、そう真正面から 居直るより、ヤセガマンと斜に読む方が、一句に色をそえるやも知れない。

中西 裕子

特選句「山に住む小さな家族冬に入る」山にすむ小さな家族ってなんでしょうか、虫なのかな、哺乳類なのかな想像するのが楽しい。冬支度も万全なんでしょうね。

竹本  仰

特選句「流星群岬へ放馬青を帯び」わからないことがある、たとえば、なぜ、その時、人々は走り出したのか。そういう或る時代の、或る瞬間でなければわからないことがある。というか、人は、世は、そうして動くものな のではないか。たとえば、定家の明月記に、彗星の記述が長々と出ているが、あれなどは、そんな予感というか、空気というか、そんなものに押し出されるようにして現れたものではないか。かの歌人は恋愛経験など一つも見当たら ぬ堅物だったそうだが、「春の夜の夢の浮橋とだえして・・・」との大きな落差に、むしろ、彗星に釘づけになっている姿との整合性で考えてみて、やっとわかる種のものなのではないか、そんな類想で、読みました。特選句「冬す みれ木洩れ日に読む福音書」聖書の読まれ方が、こんな風であったとは、四人の使徒さえ感じることもなかったのでは、とふと思った。福音書はナゾだらけだなあと思い、そこが魅力であり、その思うところがまた何かのヒントにな ってゆくような、ある意味、人間の堂々巡りが予感されてのものだったのかとも。この句の木洩れ日が、何とはなしに、ささやかな平和に支えられた斜め読みの姿のようにも思え、冬すみれに小市民のさりげなき笑いを見たりと、何 とはなしに浮かぶそんな自画像めいたものに、興味をひかれたのです。特選句「凍星の明滅ことばにかわらぬよう」この間、テレビで、禅の大家の様な方が、人間が純粋になるには、とにかく、言葉を消し去らねばならない、と仰っ ていたのを思い出しました。そこで、やっと「いま」がありのままであらわれてきて、それに同化することが大切だとも。この句の魅力は「ことばにかわらぬよう」です。「いま」に向かい合う、そういう潔さを感じ、この句境、い いなと思いました。つまり、これこそが、ことばに向かう基本かなと、そんなことを思ったので。特選句「地球とふ風の器よ冬すみれ」:「風の器」というとらえ方に、鋭さと同感とを覚えました。冬すみれが風の器であるように、 地球の自転、公転の、そんな音まで聞こえそうな。小生は昔、といっても十代のころでしたが、地球の自転の音がうるさくて眠れないといった不思議な経験を数日したことがあり、寝入りに聞こえ出す、その石臼をひくような音に、 眠いからだで抵抗していたことがありました。で、この「風の器」ですから、思わずポンと膝をたたきたくなり、何だかうれしさを感じました。そうなんですね、そう感じれば、そよ風の眠りに、冬すみれのようにくたっと安らかに 笑いながら寝入ったように思います。いやはや、ありがとうございました。以上です。 今年、淡路島吟行が、どこか頭の片隅にあってか、「日日吟行」、この「ヒビギンコウ」が、ずっと心のリズムになっております。日日吟行、このすがたで行きたいなあと、思います。2月7日に、野﨑さん、中野さんとともに、吟 行コースの下見をいたします。お忙しい中、お二人にはご足労願いますが、楽しみにしております。皆様、本年も、よろしくお願いいたします。

田中 怜子

特選句「讃岐人あん餅雑煮で歳重ね」あん餅を食べて、おだやかな保守的な讃岐人を現わしていると思います。

高木 水志

特選句「初御空柏手まねし幼子ら」初詣の風景と思われる、清々しい景が見えてくる。初御空と幼子らの対比が効いている。類想感はあると思うが、実感がある。

榎本 祐子

香川句会の活気に刺激を頂きたく、今年より参加させていただきます。宜しくお願い申し上げます。特選句「老人の脱皮秘かに冬の虹」今日が終わり、明日が始まる。人は常に脱皮を繰り返しているようなもの。若い時の見得を切るようなエネルギーはなくとも、老人も静かに脱皮を繰り返す。「秘かに」に、時間を重ねてきた人の行儀の良さがあり、「冬の虹」には生の華やぎと切なさがある。特選句「追っているものを忘れて息白し(高木水志)」目標とするものに向かって日々努力をする。激しく自身と向き合えば周りの景色は遠のき、身体と意識のみが際立つ。追っているものさえ視界より消えた。今は、命の証の己が息を恃むばかりだ。問題句「新春なり隣の内儀若作り」:「内儀」という時代がかった言葉が気になった。お隣の奥さんの頑張りすぎた新春の装いを、茶化してのあえての言葉と読めば、ふだん馴染みのない言葉も生きてくるが・・。

矢野千代子

特選句「鍬置いて大地に記す兜太の句」大地は祖とも母とも言われますが、そこへ師の一句をー熱い思いが満ちてきます。

寺町志津子

特選句「原曲は冬木を通り過ぎる風」作者が「冬木を通りすぎる風が原曲」と認識された音曲はどのような旋律なのだろうか?揚句の詩情豊かなフレーズに、微かに幻想的な音曲も聞こえてくるようで、理屈抜きに好きな句 である。そして、眠れぬ夜や、夜中に目が覚めてしまった時に聞いている「ラジオ深夜便」で時折耳にする「景色の見える音楽」が連想された。それは、ご存知の方も多いと思われるが、作曲家守時タツミ氏による「波音、風音、鳥 の声など自然の音に思いを重ねて生み出す独特の音楽」。実に繊細で幻想的。かつ美しく、優しく、真に心癒やされる音曲である。揚句を読んだとき、その音曲感が再生され心に深く響いた。

三好つや子

特選句「耳打ちのよう足裏に春の潮(矢野千代子)」 耳朶のように柔らかな足裏を持つ若い女性が、波打ち際で戯れている。そんな光景を詩に昇華させた、健康的で官能的な作品だと思います。特選句「原曲は冬木を通りすぎる風」森羅 万象そのものがメロディーなんだ、ということに気づかせてくれる句。クラシック、ジャズ、シャンソン・・・作者は、冬の風にどんな曲をイメージしたのでしょうか。入選句「内臓をぶら下げている雪女」妖しく漂っているだけの 雪女が、ユーモラスな形容により、人間臭いものに感じられ、とても面白いです。

小道 清明

名前に筆名をつけました。豊原清明から、小道清明に変わります。よろしくお願いします。特選句「着ぶくれて傷心というかたちかな」かたちにならない感情を上5で具体化されている。今、選者が傷心気味で心惹かれた。 問題句 「着ぶくれの母を引っ張る短パン児」 短パン児の響きが可笑しかった。「着ぶくれの母を引っ張る」だが、響きが妙だ。

男波 弘志

特選句「横抱きの郷愁空に凧」いつも運んでいるもの、飄々としつつ、必死に離さぬもの、離れぬもの、そこにあるのは、青と肉、だけだろう。特選句「平然と伸びし睫毛や冬の鹿」鑑真の睫毛もそのように描かれている。 意味はどうあっても、ただ在る世界。

藤田 乙女

特選句「母の知らぬ我が三十年よ雑煮椀(高橋晴子)」母親への深い思いや愛情がとても心に響き、共感しました。自分の亡き母を思い出し感謝と切ない気持ちでいっぱいになりました。受け継がれて来たであろう雑煮椀のあたたかさも 感じられ、心に深く染み入る句でした。

大西 健司

特選句「冬すみれ木洩れ日に読む福音書」頭が凍蠅のようで働きません。そこで特選なしです。と、そんな気分ですが、あえてこの句を。静謐な時間の流れが好ましい。全体に余分な言葉が多いのでは、もっと省略をと思い つつの選句。

月野ぽぽな

特選句「一・一七忌記憶の咳が止まらない」:「記憶の咳が止まらない」に今も癒えることない痛みを思いました。今回はいつもに増して力のこもった作品が多かったと思いました。

鈴木 幸江

特選句「風花や夫へ語らぬスープ膜」:「スープ膜」自体が謎である。この頃、私は分からないことは心に深く秘めつつそのまま放置しておくことが多い。いつか新しい発見が到来することを期待して。さて、謎の物体「ス ープ膜」!牛乳を入れたスープの脂肪膜か、それとも、腐りかけた証として現れたあの膜か?私も捨てる場合もあれば、そのまま頂く時もある。丈夫な夫だったら大丈夫と思ったり、きっと脂肪膜だと思ったりして。しかし、私はこ の句をそんな日常句としてだけではなく、暗喩の句として鑑賞したい。「風花」という季語の働きがそこにはあるのだ。晴天に舞う雪に、儚さに感応する日本の美意識がある。解釈にそれが入り込んで来るのだ。そうなると、俄然、 「スープ膜」が夫婦の何か秘密めいてくる。夫も気づいている(かもしれない)が、口には出さない。なにか差し障りのあることは、夫婦の絆が深ければ深いほどあるものだ。これは、是非とも、美しい夫婦愛の句として鑑賞させて いただきたい。

中村 セミ

どれもこれも良い、というか面白いというか、とてもいいので全部選んでもいいくらい、一杯いいのがありました。特選句は「内臓をぶら下げている雪女」この句は病気か、病的な人だろうと思いますが、老いの境地か、ど こか果ての地を旅するようなところがあり、僕は面白いと思いました。

菅原 春み

特選句「原曲は冬木を通りすぎる風」原曲ということばの斡旋がおもしろい。発想の妙味。特選句「せせらぎから人体をゆく枯野」枯野の概念がひっくり返ったようだ。金子先生を思い出した。

河田 清峰

特選句「鍬置いて大地に記す兜太の句」実感があり生活根ざしているところが良い!先生の行き方を自分のものにしていると思う。特選句「 一、一七忌記憶の咳が止まらない」いまだにあの日の虚無感が忘れられない!同感 です。

松本 勇二

特選句「義歯ぽろりシンクに落ちて除夜の鐘」義歯を素材にした句はあまり見受けないがうまく仕上げています。哀感と諧謔性を湛えた素晴らしい義歯俳句です。

新野 祐子

特選句「絵心経あばたのような柚子絞る(三好つや子)」絵心経っておもしろいですよね。まずはじめの「まか」が逆さまの釜、「ふ」が麩、「む」が指六本、最後の「か」が蚊の絵。思わず吹き出してしまいます。落ち込んだ時に見ると いいかも。それに「あばたのような柚子」がよく合っていると思いました。特選句「老人の脱皮密かに冬の虹」老人になっても脱皮するんだと言われると、俄然希望が沸いてきますね。そうありたいものです。冬の虹に静かな感動を 覚えます。入選句「身の中の水冬雲の一つ也」とても詩的で好きです。「也」という標記だけがちょっと気になりました。入選句「讃岐人あん餅雑煮で歳重ね」お正月らしくめでたい句なので、とらせていただきました。入選句「原 曲は冬木を通りすぎる風」作曲したり編曲するのは、自然のつくりだす音に負うと、研ぎ澄まされた感性がなければ出来ない句です。

三枝みずほ

特選句「一・一七忌記憶の咳が止まらない」あの日の事を振り返ると、地震の起きた日、その後、必死で生きた日々を含めて咳であり、一・一七忌なのだと感じた。特選句「餅焼くや希林に春恵、悦子もか」平成が終わって ゆく哀愁。それぞれに個性があった。来月は、ぜひ行きたいと思っていた矢先に主人に仕事が入ってしまい…残念ですが欠席します。ですが、娘が「お母さんのお膝で静かにしとくから、句会に一緒にいく!」とか張り切っています (笑)絶対うるさくするので、今回は辞退しますが、もう少し大きくなったら・・淡き期待。

吉田 和恵

特選句「ちぢむ肉叢初荷のように労りぬ」老いを静かに受け止め、長く続けて来られたからこその句だと思いました。肖りたいものです。「一・一七忌記憶の咳が止まらない」阪神淡路大震災の残酷で無惨な記憶、五年後、 鳥取西部地震の震源地は当地から5キロの距離、震度6弱でした。あの怖しい光景が甦ります。ただ「記憶の咳」には、少し抵抗を感じました。 

高橋美弥子

特選句「枇杷の花一日うごかぬ人に満つ(野田信章)」臥しておられる方でしょうか。窓の外の大きな枇杷の木が濃厚な香りを放っている。近づいて直接嗅ぐことはできぬとも、その人の、また作者の体と心に目一杯枇杷の花が満ちてい る。癒している。共鳴句でした。問題句「寒月や拡散A4にびっしりと」面白い句だと思います。下五「びっしりと」が拡散と意味が少しかさなるので、違う言葉を置いたらもっと面白いんじゃないかと思いました。皆さん、すごい 迫力ですね!勉強になります。/P>

野田 信章

特選句「節分会沖で豆かむ音のする」は、節分会の陸と沖との関わ方の中に、この日も海に出て働く人ありと知らされる句で、その絆の確かさが伺える句である。特選句「棒針のマフラーわたし風の人」は、棒編みに込めら れた一目ごとの気息まで伝わり、そのマフラーを纏っての「風の人」に快活な自愛の様が伺える。特選句「風花や夫へ語らぬスープ膜」は、日常詠にしてその心情の綾目の伺える句。「風花や」の設定と「スープ膜」というあえかな 物象感によって意味を押さえ込んで感覚の先攻しているところに注目した。

柴田 清子

特選句『正月よわたしは紙ヒコーキだからね』この句に惚れ込んでいます。正月よの『よ』だからねの『ね』が、この句の内容を断定的にしているのに、一役買っている。年の始めに、少し控えめでありながら強い主張を紙 ヒコーキに語らせているのね。特選句『あきらめたときにレモンは浮いてくる』心切り替えた瞬間の色がレモン色である。それでも、心の中は、レモンの酸っぱさ 泣いている。特選句『実南天たし算だけで生きてます』この作者の たし算だけの生き方、今日までの自分を振り返った時、たし算のつもりだったのに、引き算、割算となったことが、いっぱい。それも人生。実南天がみごとにこの生き方を受け止めている。特選句『父の忌の寒九の水を享けにけり』 この句に詠はれているお父様にして、この作者あり、一句一章、内容も詠いっぷりも格調高く、俳句の手本のような佳句だと思った。『梟の声は立体感である』も『せりなずな・・春の七草次はなあに』も特選にしたいなあ・・・。

亀山祐美子

特選句『地球とふ風の器よ冬すみれ』庭の片隅に俳句仲間にもらった冬みれがほったらかしなのに元気だ。『「地球」という「風の器」』の言葉のおおらかさ、景の大きさ「冬すみれ」の繊細さ、意外なたくましさ。の組み 合わせ。「冬の風」ではなく「冬すみれ」という季語の選択が効いている。風が哭き、風の冷たさが伝わる。凩と言わずに凩を詠み切きった佳句。寒中お見舞い申し上げます。気温の変化の厳しい日々ご自愛下さいませ。皆様の句評 楽しみにしております。

高橋 晴子

特選句「鍬置いて大地に記す兜太の句」折にふれ、ふと胸を突いて出てくる兜太さんの句の数に圧倒されっぱ放しだが、〝大地に記す〟という表現に作者の受けとめ方を感じて共感する。素朴で大きい句だ。問題句「美ら海 を汚し殺めし我が国や」自分達の外交が下手で能のないのを思わずに、民意や国民の思いを全く受け入れようとはしない独裁政権には全く腹が立つ。この句、その通りで、これ以上の表現の仕方がないが、と思いつつ。抑止力などと いう幻影にしがみついて、いつまで沖縄に基地を押し付けるのだろう。問題提議の句。

桂  凛火

特選句「幸先の種をまきます初日記」幸先のよいスタートを切りたいという気持ちが素直に書かれていることに素直に共感できました。初日記はいつも気持ちが改まり、よし今年こそは良い年にと思うものですが、句にする というのは何かよくないことが昨年起きられたのかとも推察します。誰にとってもいい年にしたいものですね。

佐藤 仁美

特選句「横抱きの郷愁空に凧」 懐かしんでいるのは、故郷か過去か…。皆、想いを抱えたまま生活をしています。それを「横抱き」とは、言い得て妙。空高く揚がる凧とともに、憂いを昇華して力強く生きていこうという、 清々しさを感じました。特選句「平然と伸びし睫毛や冬の鹿」厳冬の中、すっくと立つ鹿。その澄んだ眼は何を見ているのだろうか。凛とした様子を、睫毛で表現するなんて!素敵です。

野口思づゑ

特選句「肉体は神への手紙シクラメン(増田天志)」視点が面白い。ならば良い内容の手紙にしなくては、と思う。特選句「母の知らぬ我が三十年よ雑煮椀」お母様を亡くされて三十年なのか、やむを得ない事情で別れて三十年なのか、 母親と別れてからの年月を「母の知らぬ」とした上5を新鮮に感じた。母が作った雑煮、そして今は自分で作ったその味の雑煮、そして三十年と句全体にドラマ性がある。

野﨑 憲子

特選句「晩柑や師の言魂の陽の雫」私は柑橘類が大好きだ。かつて「蜜柑の中に居眠りおぢいさんがゐる」と日溜りの中の先生を詠んだことがある。もちろん、先生は、他界されるまで少年であり、青年でいらしたが、道場 等で、ふっと力を抜かれた時、垣間見たスケッチのような拙句だ。先生の言の葉は、「陽の雫」のように、ますます私の中で大きく膨らんでいる。「晩柑」が、良い。特選句「節分会沖で豆かむ音のする」幻想の世界を目の当たりに するような佳句である。二ン月の潮騒と鬼の喰らう煎り豆の芳ばしい香が、姿態が、一気に伝わってくる。省略の妙。問題句「手の初動北斗七星掬うかな」とても惹かれた作品である。北斗七星を掬うという、霊的な儀式を思わせる フレーズが良い。ただ、「掬う」と上五の「手」の重複が気になる。惜しいと思った。 

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

鍬始め
鍬始め猫の額の畑持ち
鈴木 幸江
大空を耕してゐる鍬始め
柴田 清子
時間軸ずれしままなり鍬始め
藤川 宏樹
死ぬときはこの顔がいい鍬始め
田口  浩
鍬始め無音の底の海潮音
野﨑 憲子
山の田へ老婆清々鍬始め
銀   次
岡の上に電話ボックス鍬始め
野澤 隆夫
初夢
初夢は布団をけつて飛び起きる
亀山祐美子
初夢の母の花園まで歩く
田口  浩
初夢や貘(ばく)がお腹をこわしたり
鈴木 幸江
初夢や袋回しの句に悩む
野澤 隆夫
掴んだ起きた消へた初夢
銀   次
初夢の金子兜太や大笑す
野﨑 憲子
空白
空白の一日過ぎて牡丹鍋
藤川 宏樹
妻定年迎えし我は空白なし
漆原 義典
本日を空白として午睡せり
銀   次
湯気に隠れて空白の女正月
田口  浩
空白が広がつてゆく初夢に
亀山祐美子
空白の時間ありがた初烏
野澤 隆夫
わたくしの空白いつも枇杷の花
柴田 清子
郵便受け
父の所業の郵便受けが歪む
田口  浩
初夢や郵便受けの無くなりぬ
鈴木 幸江
郵便受けぽとりと冬の日溜りよ
野﨑 憲子
梅が香や荒れし玄関郵便受け
野澤 隆夫
冬薔薇の棘の詰った郵便受
柴田 清子
布団
女房の布団を質に鍬始め
亀山祐美子
頭の中で事が進んでいる布団
田口  浩
山脈や空飛ぶ布団二つ三つ
野﨑 憲子
布団畳む人いて仕舞う人のおり
鈴木 幸江
石畳いろはもみじのかけ布団
藤川 宏樹

【通信欄】&【句会メモ】

安西 篤☆香川句会、相変わらず頑張ってますね。何よりも持続することが大切です。それに「これからますます面白くなります。」という意気込みも頼もしいですね。谷さんの逝去は大きな出来事でした。兜太先生が可愛がっ ておられた人でしたから。先生の霊に導かれたのかもしれません。今年は秋の大会でお世話になりますので、これを一つの契機に大きく飛躍されるものと期待しています。第九十回の共鳴句「肺呼吸の青いさざなみ冬は来ぬ(大西健 司)」「神獣鏡水の羽ばたく音したり(三好つや子)」「ペガサスを知らぬ心臓愚に生きて(若森京子)」「びなんかずら鼻梁のまわり空気濃し(矢野千代子)」

平成最後の初句会は、サンポートホール高松の会議室が取れず、藤川宏樹さんのご厚意で再び「ふじかわ建築スタヂオ」をお借りして開催いたしました。鋭い句評が飛び交うのも、なんのその、中野佑海さんや柴田清子さんが艶 やかな和服姿で、句会を華やかに包み込んでくださいました。お陰さまでとても充実した句会でした。「ふじかわ建築スタヂオ」は、前回より、トイレがリニューアルされたり、藤川さん特製の扉大のビッグホワイトボードや柱時 計も掛けられ、より快適な空間に進化していました。また利用させて頂きたいです。ありがとうございました。

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