2018年12月26日 (水)

第90回「海程香川」句会(2018.12.15)

白山茶花1.jpg

事前投句参加者の一句

            
<サーロ節子さん語る>まる顔を歪め語りて紅椿 田中 怜子
黄落や正午生めく廃母校 藤川 宏樹
冬薔薇の孤高おかめにはひょっとこ 中野 佑海
尺蠖やわたしは十指もてあます 稲葉 千尋
はじまりは羽化新豆腐のうすみどり 吉田 和恵
暖冬が励ます私の裏側 野口思づゑ
おでん鍋妻は第九合唱隊 重松 敬子
末枯野いとしさに光の音すこし 伊藤  幸
木枯らしや盗っ人犬との道行きよ 銀   次
古本のページの折り目冬ぬくし 菅原 春み
びなんかずら鼻梁のまわり空気濃し 矢野千代子
落葉よりむくむくとキリストの墓 増田 天志
無花果や想定外の今がある 高木 水志
紅葉や心が心呼ぶような 谷  佳紀
海鼠動くつられて動く臍と星 田口  浩
凍蝶のごと居てけふは手紙書く 谷  孝江
葛湯吹くこころの襞を吹くように 新野 祐子
君の靴は遠い日の舟冬の虹 大西 健司
綺麗な嘘が秤のようになる 中村 セミ
石の眼に祈り宿すや鰯雲 佐藤 仁美
ペガサスを知らぬ心臓愚に生きて 若森 京子
箱買いの林檎あるよと熱の娘よ 中西 裕子
山の老婆の愚痴こんがりと串ヤマメ 野田 信章
老いし夫老いし妻看る十三夜 寺町志津子
病む妻のやむままに生き冬苺 河田 清峰
真夜中の森の匂いの湯ざめかな 月野ぽぽな
神獣鏡水の羽ばたく音したり 三好つや子
雪しんしん飢えの記憶の茹で玉子 小山やす子
マネキンを置いてきた闇かまいたち 桂  凛火
よく話すよく動く人参食う 三枝みずほ
そう言えば冷え切った薔薇あったっけ 柴田 清子
皮手袋や半券の湿りてふ愛 高橋美弥子
聖誕祭使徒の脚拭く聖者の手 豊原 清明
一物を晒し真冬の手術台 島田 章平
破蓮体言止めのようにかな 松本 勇二
もう蟹があおいでふるくなるよぞら 男波 弘志
ランチュウに餌急かされる寒暮かな 野澤 隆夫
怨念の女も冬の水となれ 鈴木 幸江
柿を剥く母の手のひら深き皺 漆原 義典
三千界を響くチャルメラ通夜の雪 竹本  仰
何をえさにこんな小さな冬の蜘蛛 小宮 豊和
霧の港に揺れて力丸、気安丸 高橋 晴子
知らぬことの幸せ多し冬に入る 藤田 乙女
歩み寄る牛の眼や葱太る 亀山祐美子
老いも若きも『歓喜の歌』や冬銀河 野﨑 憲子

句会の窓

谷  佳紀

今回は選句数が少ないです。問題句も無しです。ほどほどに要領よく書けていますが、食指が湧きませんでした。という事で以下選句のご報告です。特選句「落葉よりむくむくとキリストの墓」写真でしか見たことはない が青森にあるキリストの墓だろう。「むくむく」が復活を呼び込むような面白さがある。

伊藤  幸

特選句「君の靴は遠い日の舟冬の虹」冬のポエムですね。靴と舟の取り合わせが効いています。クリスマスに贈る妻への一行詩にぴったり。こんな詩を贈られたら妻はウルウルしちゃいそう。

中野 佑海

特選句「凍蝶一頭いまからプライベートです(若森京子)」私、昼間は凍蝶の様にじっとして、いるのがお仕事なの。じっとしてるだけでも疲れるのに、気使って、真面目にしてなきゃいけないの。本当に大変。自分じゃないキャラって、肩凝るのよ!なに、五時になったって。アー蝶のキャラは脱いだ脱いだ。プライベートの時間は私に戻らなきゃです。でも、近頃どちらが私か分からない時があるの。一体本当の私って何? 特選句「無花果や想定外の今がある」無花果は見かけと中身の隔たりが凄いでしょ。若い頃に考えていた六十歳と実際の今と全然違う。でも、無花果の様にいっぱい花が詰まっているんだと思う。今まで頑張って生きてきた私偉い。問題句「マッチ売りの少女を思うクリスマス(重松敬子)」子供の頃よく読んだマッチ売りの少女。私もクリスマスの頃になるとマッチ売りの少女が、暖炉の赤赤と燃える部屋にツリーとプレゼントを持った、子供たちを窓から見ている絵が思い出されてなりません。凄く共感する句ですが、俳句としては素直過ぎる気がします。「を思う」を「になって」にしたら少し思いに近づけるかも。今月も滅茶苦茶楽しい時間を過ごさせて頂き有難うございました。皆で喧喧諤諤、騒がしくも有意義な時間。何なに?一番五月蝿くって、口の悪いのは私だって?失礼致しました。来年もどうぞよろしくご贔屓に。佑海を宜しくお願いいたします。来年は結構正念場ですね。心を入れ替えて、今まで以上にターボジェットで当たります。

島田 章平

特選句「古本のページの折り目冬ぬくし」何気なく手に取った古本。ページをめくっている内に、ふと目にとまった折り目。どの言葉にこの本の持ち主はページを折ったのだろうか・・。身も知らぬ本の持ち主との間に 心が触れる。気がつくと、柔らかな冬の日差しの中に立っている自分…。

若森 京子

特選句「真夜中の森の匂いの湯ざめかな」真夜中の森の匂ってどんな匂いかしら、けもの達が始動する匂い、けもの達の営みの匂い、と色々と想像する。人間の湯ざめとの呼応が、又その情感が好きだ。特選句「皮手袋 や半券の湿りてふ愛」一句から、男女の愛の物語が広がってゆく。〝湿りてふ〟の措辞で涙も想像される。

稲葉 千尋

特選句「老いし夫老いし妻看る十三夜」まったくの現実。評なんて書けない。十三夜の季語、せつない。

田中 怜子

特選句「特選句「葛湯吹くこころの襞を吹くように」こころのひだ は甘いな、と、でも葛湯を吹くと重い表面が波紋の様に広がる。熱いけど体が温まる情景を経験、したことがあります。

増田 天志

特選句「もう蟹があおいでふるくなるよぞら」自由律俳句の音調を感じる。詩情豊かな出来栄え。平仮名書きも、効果的。

藤川 宏樹

特選句「一物を晒し真冬の手術台」女性が多数の句会ですが選のひとつに加えたところ、句評を求められました。「男性に存在感と実感ある句」と流しましたが、個性的なコメントが畳みかけられ、いつもとは違う畳会 場はいつものように沸きました。他句への評も参考に選を見直したうえで特選は「一物を・・・」にして、締めの一句。・・・投句よりトーク讃岐の冬句会・・・

田口  浩

特選句「綺麗な嘘が秤のようになる」この句を解釈するために、次の事件を引っぱり出してみる。即。一五八二年(天正十年)中国攻めを命じられた光秀が、急遽道を変へて本能寺を囲む。森蘭丸が主人の寝所に走り、「日向守殿の謀反でござります」と告げる。それを訊くなり、半身身を起した信長が、カッと宙を睨んで、「是非に及ばず」と吐く。瞬時に光秀の兵なら、と全てを悟るのである。私は信長のこのときの言葉が好きである。明智光秀の大きな嘘を受ける、「是非に及ばず」とは、まさに秤のようなものではないか。一方武将の面目を賭けて仕掛ける、男の変を綺麗だと思う。美しいと思う。一句の解釈をここまで素っとぼけられるのも、〈綺麗な嘘が秤のようになる〉にはこのような読みの綾があっても、いいように思うからである。見当違いかも知れない。

高木 水志

特選句「柿を剝く母の手のひら深き皺」映像に見えてくるところが良いと思う。

矢野千代子

特選句「神獣鏡水の羽ばたく音したり」古代の鏡から、水の羽ばたきを感じるーーなんてどんな生きものをイメージするのでしょうね。ロマンの広がる一句です。

小山やす子

特選句「海鼠動くつられて動く臍と星」〝つられて〟が面白いです。天と地が動くとは言ってないけど私には臍と星でイメージが沸きました。海鼠の動きは知りませんでしたが~こんなんだ~と面白く拝見しました。

鈴木 幸江

特選句「マネキンを置いてきた闇かまいたち」この句から私は現代社会の闇と悪の本質を感受した。言葉には表現できない真実を現象で捉えていてお見事。廃品不法投棄の現場を想像した。路端の草叢に放置された裸のマネキンに肌を切るほどの強風があたっている。残酷さを含んだ人の悪が感じられる。そこから、批判精神も伝わってくる。問題句「海鼠動くつられて動く臍と星」地球を一つの生命圏とみるガイヤ科学が人々に強く意識された時代があった。それも今はどこかへ行ってしまったようだ。この句はその思い(すべては繋がっている)を伝えたいのではないだろうかと思った。科学万能主義に支配されて危機に陥っているような気がする私には是非共鳴したい句だ。でも、その思いがうまく伝わってこない。下語の“星”を具体的にしてくれたらいいのではないかと思い問題句にした。

中村 セミ

特選句「晩秋のサラダが好きな静かなパン(谷 佳紀)」男女の恋愛をサラダとパンに例えた様な静かな詩的に綴ったところがいいと思いました。

吉田 和恵

特選句「 おでん鍋妻は第九合唱隊」第九の合唱には誰でも参加できるそうです。大根、じゃが芋、ちくわ・・・・・・・・。気取らないメンバーで醸し出すハーモニー。名付けて交響曲第九「おでん」。ベートーベンさん、いかがでしょう。

漆原 義典

特選句「一物を晒し真冬の手術台」です。「一物」とはたぶん「あのこと・・・」だと想像し、作者の置かれている緊張感のなかにユーモアを持つ人間性に感動しました。おかしさのなかに悲哀が感じられる素晴らしい句ですね。病気が早く治ることを祈願します。

桂  凛火

特選句「靴底のふっとひらきて開戦忌(河田清峰)」靴底の開くことと開戦忌の二物がほどよいぶつかりだと思いました。言葉で表しにくいものの自国第一主義的な思想の蔓延する時代の空気感を捕らえていると思いました。開くと開戦の響き合いがよかったです。 

大西 健司

特選句「本の背のかすかな丸み寒雀(菅原春み)」一読二読見落としていた句。地味な句だがじんわりと暖かくなる句だ。本の背のかすかな丸みに気づいたときのほっこりとした気分。寒雀の愛らしさも効いている。全体におとなしい感じがする。もっと過激な句をと期待している。2019年に期待したい。

三好つや子

特選句「何をえさにこんな小さな冬の蜘蛛」食器棚や冷蔵庫の隙間からふいに現れ、ちょこまか動く家蜘蛛。冬になり、いくぶん縮んだ姿を見つけると、愛おしくなります。優しい気持ちにさせてくれる句。特選句「真夜中の森の匂いの湯ざめかな」真夜中の森の神秘的な世界を、湯冷めによって体感した、作者の詩情に共鳴しました。入選句「よく話すよく動く人参食う」老後を生きる三つの心得なのでしょうか。座五が飄々としていて面白いです。入選句「もう蟹があおいでふるくなるよぞら」俳句界に流れている新しい風を感じます。

竹本  仰

特選句「無花果や想定外の今がある」誰もがそうであろうと思える、人生つねに想定外の今、その今を生きてここにあるという、隠しようもない事実。無花果のように現実は甘くないか、だがよく味わうと何か切ない、甘いと言えば甘い、なにかほのかな味がして、その現実感の、そこはかとない味がある。肯定してしまう、何ともいえぬ感のようなもの。程よい落胆と、安堵と、落ち着きと……何事も食ってみねばわかるまいと、無花果の皿を前に差し出された、そんな感じの、断定の裏の色んな表情を読みとってしまう、そんな楽しさがありました。特選句「ペガサスを知らぬ心臓愚に生きて」はなやかな目を引く活躍とは無縁であったが、その、逆に無援であるゆえの矜持というようなものがにじみ出ていて、よいと思えました。その謙辞が、目立たずとも一つひとつの鼓動があるように正確に一途に生きた感じを確かに伝えて、力強いリアリティを感じました。大智は大愚に似ていると言い、真に知恵ある者は愚かな商人の顔をしているという、そんなもろもろの名言を思い出します。特選句「破蓮体言止めのようにかな」体言止めに、そこにしかあり得ない存在感と、余韻を感じます。それはそうでしかなかったのだという肯定があり、必然のかたちの前に雑念が消え去ってしまい、説得力といえば恣意的なものになるが、そうではない自発の説得力のようなものが、表されているように思いました。ちょうど、一瞬の表情が見せる、生きざまの凝縮のような、そんなかたちなんでしょうね。

11月の下旬から忙しい毎日が続きます。車に乗ると、今月になってから急いでいる動きの車がぐっと増え、極月の様相が表情以上に感じられます。急いだって何もいいことはなさそうにも。毎回の、年末年始の異常さの中で、ま、しかし、自分も自分を見失いつつ、この熱気を楽しんでいるのかもしれません。事故や病気、これも、月末を目指して来るようです。皆様、十分にお気を付けください。来年も、どうか、よろしくお願いします。

松本 勇二

特選句「もう蟹があおいでふるくなるよぞら」もう、の導入部が大いに詩的です。ひらがな表記もファンタジー性を増幅しています。問題句「山の老婆の愚痴こんがりと串ヤマメ」二物配合による巧みな一句です。「山の老婆の愚痴がこんがり串ヤマメ」とした場合の読みの展開をつい考えてしまう作品でした。

三枝みずほ

特選句「三千界を響くチャルメラ通夜の雪」チャルメラが全てをつなげてゆく世界観に胸を打たれた。「老いも若きも『歓喜の歌』や冬銀河」恒久的にそうあればよいという思いを込めて、冬銀河がそれを可能にしている。  先日は、句会に参加させて頂きありがとうございました!句会に参加することで、ハッと気づかされる事も多く、勉強になりました。そして何より楽しかったです。また来年も宜しくお願い致します。

野口思づゑ

特選句「転んだら氷の僧が立っていた(男波弘志)」実際に転んでの経験なのか、想像なのか、又は何か比喩的な意味があるのか面白い世界が広がります。「AIの詩情勝れり鳥渡る(寺町志津子)」実際にあり得るわけで、季語の鳥渡るがよく効いています。「冬の夜中国語る老父かな(中西裕子)」今とは全く違う中国を経験したお父様の話しなのか、現在変化してきている中国なのか、冬の夜の寒さを感じます。

谷  孝江

特選句「雪しんしん飢えの記憶の茹で玉子」たまごの殻をむいて手の中にあのつるんと美しい白い茹でたまごが現われた時のうれしさは今でも覚えています。何と贅沢な喜びであったことか、あの頃はみんなが貧しく飢えの中での生活でした。この様な記憶もみんな、あれもこれも遠い日の事になりました。ぬくぬくの芋ごはんの何と美味しかったことか。近頃はグルメ番組の中でお目にかかる様になってしまいました。嫌ですね、年寄りは。ついつい昔話を懐しんだりして・・・・・。だけどこの句大好きです。

佐藤 仁美

特選句「病む妻のやむままに生き冬苺」病むと冬苺の対比に惹かれ、冬苺の小さな赤が、かすかな希望に感じました。また、「やむままに生き」に、病の深刻度は想像するしか無いのですが、静かな強さが伝わってきました。

初めまして、佐藤仁美と申します。漆原さんに、この前教えて頂いて、初めて俳句を作ってみました。その時、言葉の世界に、入ってみたいと思って、思い切って句会に参加させて頂きました。色々とお教え下さい。よろしくお願いいたします!

野田 信章

「びなんかずら鼻梁のまわり空気濃し」の句。美男葛の赤い実。その色感を通して秋の山気そのものを体感的に把握。印象鮮明な句。「転んだら氷の僧が立っていた」の句。一瞬の唐突感の把握に、寒気の漲りに込めた生命の輝きがある。確かな精神の裏打ちのある句。

寺町志津子

特選句「無花果や想定外の今がある」実は、今号も、迷いに迷った。中でも、「銀杏黄葉時極まりて虚空満つ(小山やす子)」「冬の星広がっていく一行詩(三枝みずほ)」は、最後まで捨てきれなかったが、決め手になったのは、「想定外の今がある」が、今の私自身の境涯そのものであり、つくづくと思っていることであったことが大きい。そして、このような境涯感を抱いている人は案外多いかもしれないとも思った。また、季語の「無花果」がすこぶる良い働きをしているのではないか。無花果は、花軸の肥大成長した花嚢を葉腋に出し、内面に無数の花をつけるが外からは見えず、雌花雄花が同一花嚢中に生じるという。そのような無花果が「想定外の今がある」の良きにつけ悪しきにつけての複雑微妙な感慨に実によくマッチしている、と思い特選にいただいた。

男波 弘志

「黄落や正午生めく廃母校」生めく、一語が校舎に使われたのは初めてではないか、珍重。「暖房が励ます私の裏側」ひもじさ、寒さ、は人を鈍化させる。裏側にまだ裏側がある。「海鼠動くつられて動く臍と星」われわれが宇宙に向かって繋がっていない、ネットワークはあるだろうか?意識がそれを阻んでいるだけだろう。「奇麗な嘘が秤のようになる」均衡を保った、嘘、なんとうつくしいことか、北斎の描いた遊女だろうか。「賀状書く宛て名の一つ死が匂う」おそろしい気配、気配を感じるのは背後があるからだろう。「何をえさにこんな小さな冬の蜘蛛」不思議、不思議、生の本体。

高橋美弥子

特選句「 落葉よりむくむくとキリストの墓」佳句が多く、大変悩みましたが最も共鳴いたしましたこの句を特選にいただきます。まさしくわたしが生まれ育った土地を象徴する句です。むくむくとという表現が、大きな十字架を彷彿とさせ、キリストが積もった落葉の中からすっくと現れるような景を想像させてくれました。問題句「黄落や正午生めく廃母校」すみません、中七をどう読み解いたらいいのかわかりませんでした。「や」で切れているため中七下五とどう繋がるのか最後まで悩みました。読解力がなく申し訳ありません。今回は選ぶのに苦しみました。また「父を詠む」「母を詠む」のは難しい中、さすがに皆さんの力を見せていただき大変勉強になりました。思いきって飛び込んだ「海程」句会、来年もご指導のほどよろしくお願いいたします。皆様、良いお年を。

重松 敬子

特選句「幼らの日に日に白き白鳥来(新野祐子)」幼子が、のびのび感性豊かに育っている様、好奇心に満ちた日常を想像させ微笑ましく読ませていただきました

豊原 清明

問題句「尾てい骨定位置におき冬に入る(月野ぽぽな)」一句読んで、楽しめた。定位置に座る映像が浮かぶ。寒い冬風も吹く。座るという誰もが普通にしていることが、この作者には特別だ。特選句「町師走二重虹天地をいだく(小宮豊和)」壮大な映像。冬の町が伝わる。

新野 祐子

特選句「霧の港に揺れて力丸、気安丸」霧の港のイメージを反転させるように、たくましい漁師たちを乗せる船の豪気な名前。漁船にはいつから丸と付けたのでしょうか。山国に住む私には憧憬の風景です。特選句「古本のページの折り目冬ぬくし」ああ、前に読んだ人もここに着目したんだな、同感だなと、寒さの緩んだ一日、読書の喜びに浸ります。入選句「寒星や徐々に死ぬことなんてしない(男波弘志)」そう願いますが、どんな最期を迎えられるか、思いどおりにはいかないのでしょうね。入選句「雪しんしん飢えの記憶の茹で玉子」:「雪しんしん」がとても効果的と思いました。

小宮 豊和

「無花果や想定外の今がある」良くわかる句なのだが「想定外の」が気になる。想定内、想定外は、ホリエモン氏の言いだした表現だと思うが、あまり品が良くない。これをたとえば「デジャビュ―の無い」と置きかれば詩らしくなる。無花果は秋の一瞬出まわって。保存がきかずたちまち消える。これと今との取り合せは、かなりひびきあうように思う。「想定外の」他の表現はいろいろ考えられると思うので良い句を完成させてご披露いただくことを期待。

藤田 乙女

特選句「老いも若きも『歓喜の歌』や冬銀河」 今を生きる人々の命あることの喜びや鼓動までが熱く伝わってくるようでした。今年も、色んな作品に出会えて勉強になりました。来年も宜しくお願い申し上げます。

河田 清峰

特選句「冬青空何も使わぬ手が荒れる(高木水志)」自分に対する歯痒さが感じられて好きな句です!

中西 裕子

特選句「病む妻のやむままに生き冬苺」妻が病んでいながらその状況を、夫婦で受け入れ暗くもならず、淡々と生き、時に鮮やかな冬苺に喜ぶ情景が目に浮かぶようです。

銀   次

今月の誤読●「初雪やただひたすらに米をとぐ」ほんっとにもう、正月なんてロクなもんじゃないわ。せっかくパートがお休みだというのに、ちっともゆっくりできゃしない。そりゃあの人はいいわよ。コタツに入って、朝からノホホンとお屠蘇飲んでんだから。それに引き替え、あたしはどうよ。お客がくるたび、居間と台所を行ったり来たり、もう忙しいっちゃありゃしない。かといってお愛想笑いもしなきゃなんないし。もうお客に「出てけ!」ってシリを蹴っ飛ばしたい気分なの。それに弟夫婦。なんだって毎年ウチにくるのよ。それも子どもを三人も連れて。お正月したいんなら自分チですればいいのよ。ほんっと図々しい。それにあの子ども。まだ五歳や六歳だっていうのに、コーラが欲しいだのジュースが欲しいだの、わがまま放題。そのたんびにコンビニに走らされて。それからおせちよ。何日かかってつくったって思ってんの。それをもうあいつらときたら食い散らかして。それも車エビや栗きんとん、ローストビーフに数の子、高いもんばかり食べちゃって、もうお重グチャグチャ。きっと嫁がいってるのよね。あそこではあれとあれとを食べなさい、とかさ。おかげであたしゃ黒豆と田作りで夕飯よ。あっそうそう、あれもよ。お年玉。あの人ったら弟夫婦の子どもには一万円づつはずんじゃってさ、見栄張るのもたいがいにしてよ。そんでもって自分の子どもには五千円。ああもうイラつく。おまけにあいつら今度はカレーライスが食べたいなんていいだして、正月なのにあたし、あいつらのために米をといでる。ああ、情けない。ああもう、叫びたい。正月なんかもうこないで! ……あら、雪かしら。初雪かーー。なあんて、のんびりしてる場合じゃない。洗濯もの取り込まなくっちゃ。ヤダーーーーーーーーー! 本気で泣くわよ。

亀山祐美子

特選句『古本のページの折り目冬ぬくし』古本屋で気になる背表紙の本をめくっていると右肩隅に小さな折り目後のあるページがあった。何気なく斜め読みすると琴線に触れる一行に行き当たった。「冬ぬくし」の季語が自分の心まで暖めてくれた「言葉」への感謝があり動かない。春でもなく夏でもなく秋でもない「冬ぬくし」だからこそ感動を増幅させる。季語がよく効いた佳句。問題句『知らぬことの幸せ多し冬に入る』「知らぬことの幸せ多し」は世間一般周知的な一文。手垢のついた言葉であり。個性がない。発見がない。手に触れない言葉にさらに「冬に入る」という手で触れられない季語を置く。最悪。今年も言いたいことを言いながら、言葉足らずな観賞が多々あり心残りでしたが、10月の『秋風や一本の柱が赤い』の作者に「観賞が良かった」と言ってもらえたのが励みになりました。ありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。皆様良いお年を。

野澤 隆夫

特選句「みぞれうつ少女は青いけもの扁」:「少女」を「けもの扁」と見立てたことが凄いです。早速、漢和辞典で「犭」を開きました。「狐」「狡」「猫」「狩」「猛」「猿」「独」「狸」等々。そして「青い」が「少女」を象徴してます。特選句「密室で刃物を研ぐや冬籠」日曜劇場のサスペンスで怖いです。「冬籠」の窓辺をヒッチコックが通り過ぎるシーンでもあります。 「海程香川」第90回!おめでとうございます!

高橋 晴子

特選句「冬の雷母の眼力まだありぬ(菅原春み)」〝眼力〟というから、人や物を見抜く力をいうのだろう。一瞬の眼の動きに鋭いものを感じた作者の感性を面白いと思った。〝まだありぬ〟が少し説明的だが、〝冬の雷〟に響きあう〝眼力〟に力を感じた。問題句「知らぬことの幸せ多し冬に入る」知らない方がよかった、ということが多々あるが、知ってしまったから知らぬことの幸せといえるのであって、その辺が他人事めく〝観念めく〟。多しが饒舌。自分が知らない方がよかったというなら〝冬に入る〟の季感が生きるが。

月野ぽぽな

特選句「ちょっといじわるな自分と出会う十二月(藤田乙女)」何かと慌ただしい十二月。やらなければならないこと。やったほうがよいと思われること。頭と心と同意しないことも多くありそう。自分で自分に驚くこともあるかもしれない。そこから本当の自分との対話が始まりそうだ。

野﨑 憲子

特選句「紅葉や心が心呼ぶような」木の葉が色付き風に戦ぐころになると、無性にそわそわしてくる。そう!何かに呼ばれているような、「紅葉や」で切れてはいるが、その「紅葉」が、天空で自在に舞い戯れている。まるで、〝心が心〟を呼ぶように・・何だか、とても無気味な一句でもある。問題句「よく話すよく動く人参食う」動詞が三つ並びしかも三段切れ、よくもまぁ!と、仰天しつつ、ぐいぐい迫ってくる何かがある。「人参」なのだ。きっとその人参もスティックの生人参,否、丸齧りかも知れない。それほどのパワーをこの句に感じる。俳句の約束事が有効な時もあるが、この句の、破調の魅力には叶わない。パワフルな人類を浮き彫りにして妙。超問題句、大歓迎だ。

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

霜晴れや今日はきっと来るそんな予感
柴田 清子
和牛の味世界制覇の霜をふる
漆原 佳紀
ぴよんぴよんと跳ねる言葉や霜柱
島田 章平
霜の花ことばえおそつとしまひけり
三枝みずほ
覗きこむ風よ霜夜の捨て鏡
野﨑 憲子
薄氷
薄氷や遠くの音がして来たり
柴田 清子
薄氷や稼ぎの悪いぼくだから
藤川 宏樹
薄氷は人のヒミツに溶かされる
田口  浩
ぼけつと生きてんじやないよ薄氷割る
島田 章平
薄氷や猫とワルツを踏んじゃった
中野 佑海
うすらひのみずのまぎはの息あをし
亀山祐美子
淋しさのあつまるかたち薄氷
三枝みずほ
薄氷を衝き乱れ立つ枯蓮や
佐藤 仁美
平成終はるあれは狼の匂
島田 章平
冬菊に狼が来て倒れる
田口  浩
神々の一番前に青狼
亀山祐美子
風の狼そんなについて来たいのか
野﨑 憲子
狼になれる女となれぬ男
柴田 清子
クリスマス
夜空眺めることをしてブルークリスマス
柴田 清子
再稼動の灯四国まるごと聖夜
島田 章平
わらしべ長者挑戦してみるクリスマス
中野 佑海
吉野屋に背を丸めをり誰が聖夜
銀   次
クリスマス理系草食系男子
藤川 宏樹
クリスマスピーナツバターが減っている
田口  浩
カフェ
日々新たなりカフェもシマフクロウも
野﨑 憲子
カフェにてカフカの「変身」再読す
鈴木 幸江
カフェには一脚の椅子もなしパリは燃ゆ
銀   次
ひとり去りふたり去り初雪のカフェ
島田 章平
狐火のいき着くところの喫茶店
柴田 清子
冬の雷老いた夫婦をカフェ誘ふ
漆原 義典

【通信欄】&【句会メモ】

【通信欄】訃報です 23日夜、「海原」副編集長の宮崎斗士さんより「19日の朝、谷 佳紀さんが心筋梗塞で亡くなりました。」と、電話をいただきました。絶句しました。前日までお元気だったそうです。今年5月より、本句会にご参加くださり、金子先生が他界され、元気をなくしていた私は、どれほど、「海程」の憧れの大先輩である谷さんのメールや作品に励まされたか知れません。5月の句会報所収の、谷さん初参加のコメントを下記に、

初参加の谷です。野﨑さんに誘われました。俳句よりもマラソンが好きです。今日23日室戸岬から足摺岬まで走る土佐乃国横断遠足242キロのため徳島に来ました。明日スタートです。ゴールしたいですね。俳句の方は3句とも0点でも構 いません。下手を自覚していますから落ち込みません。

今回のご選評を頂いたのが、他界される2日前の17日でした。マラソンが大好きだった谷さん、あんなにお元気だったのに今も信じられません。他界とこの世は繋がっています。これからは、兜太先生と毎回「海程香川」句会で句座をご一緒して下さると強く感じています。私も、踏んばって参ります。 本句会での、谷さんの作品を掲載させて頂きました。谷 佳紀さん、ありがとうございました。 合掌                                    

まずまずの朝で若葉に欠伸して         サッカー野球テニスはしゃぐ子猛暑中     

山羊と猫その他も止まれ墓に蛙         十個の空が昨日はあった秋明菊     

雨で揺れてる夢の感触立葵           草は枯れ双子は老人象は死す     

わからない心が岬に立てば夏          体に雨の音が眠って青葉かな     

まるで珊瑚でMは表現できない梅雨       蜻蛉はすでに雨を散らした虹なのだ     

沙羅のリボン肘や首お休みなさい        ホモサピエンス僕はるつぼに見とれてる     

廃仏毀釈心の下の方に炎天           喧嘩してきて背高泡立草ばっちり     

猛暑去り茗荷の花に来ましたよ         楽しい女性が楽しく大すすき     

ぼけーっと生きて天高き心臓さ         赤まんますべてに光りの男たち

【句会メモ】今回は、いつもの67会議室が取れず一階上の7階にある和室での開催でした。畳の上での句会も乙なもので、島田章平さんが持って来てくださった周防みかんをいただきながら充実した4時間の句会でした。句会報や、ブログで、会場の変更をお伝えしていたのですが、男波さんに、上手く伝わっていなくて、会場に来れなくて、男波さんの名鑑賞が聞けなかった事が、とても残念でした。

お陰さまで、90回を迎えることができました。これからも一回一回の句会を大切に踏ん張ってまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。来年の初句会は、サンポートの会場が全く取れなくて、再び、藤川宏樹さんのご厚意に甘え、「ふじかわ建築事務所」での開催です。次回のご投句、楽しみにしています! では、皆様、佳いお年をお迎えください。

2018年11月29日 (木)

第89回「海程香川」句会(2018.11.17)

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事前投句参加者の一句

       
金木犀じいちゃんの夢知ってます 藤田 乙女
秋思とはいっても石に戻るだけ 河野 志保
綿虫と別れ死刑囚の手記を読む 大西 健司
セロ挟む少女の膝や水の秋 重松 敬子
僕である為のバイクだ鳥渡る 伊藤  幸
「眠れたかい」夫の一声冬隣る 高橋美弥子
一つ家に思想は二つ烏瓜 若森 京子
短日や旅立つ義母の細き足 漆原 義典
白黒に塗り潰しては夜寒かな 高木 水志
鬼ふすべ退っ引きならぬ木魚かな 河田 清峰
渡る前鷹は涼しき眼をしたり 松本 勇二
日日の些事をこなして秋茄子 田中 怜子
一羽一羽に心臓ありて鳥わたる 銀   次
石頭は突然変異ななかまど 小宮 豊和
秋虹の気化するところ正倉院 三好つや子
十本の芒になりし夕家族 竹本  仰
胡麻がはじけそう拳ゆるめるな 矢野千代子
冬の園足音だけが落ちている 柴田 清子
頬と頬触れ冬の日のこぼれをり 三枝みずほ
迎え待つ子の手をさする秋の暮 中西 裕子
命二つ柿の熟るるを見てゐたり 高橋 晴子
何故雨女どうしても行く紅葉谷 中野 佑海
老うという仕事半ばよ蓮の実 谷  孝江
子鹿がメトロノームの足跡たどる 中村 セミ
折れ釘を叩ひて伸ばす敬老日 野澤 隆夫
妹の通夜にて仰ぐ寒昴 小山やす子
冬銀河田に囲まれて映画館 菅原 春み
なべて背は嘘をつけない後の月 寺町志津子
からまるゴッホの星月夜からまる 月野ぽぽな
大の字で空を見てゐる文化の日 亀山祐美子
待ち合わせ芯まで紅葉になる私 増田 天志
火国(ひのくに)あり月と火星の中あたり 藤川 宏樹
あるときは月夜の吊し柿であり 稲葉 千尋
膝掛を美しき言葉のごと広ぐ 新野 祐子
パラサイト娘の笑顔秋の蝶 吉田 和恵
渚にて少年を待つ鵆がいる 田口  浩
赤まんますべてに光の男たち 谷  佳紀
氷雨降る肉体化する思考かな 鈴木 幸江
産土(うぶすな)に蒟蒻(こんにゃく) 九条ねぎに平和 島田 章平
水蜜桃重いものから摘んでゆく 桂  凛火
かなしみのすんだかたちとして胡桃 男波 弘志
楽しかつたです人生落ち葉笑む 野口思づゑ
老骨は無骨にあらず紅葉冷え 野田 信章
冬眠や苦水を一滴ずつ飲みぬ 豊原 清明
金剛の蝶の羽音や冬の月 野﨑 憲子

句会の窓

谷  佳紀

特選句「母が今日は一キロ歩いて鵙日和(伊藤 幸)」:「一キロ」が絶妙。この距離を歩ける、歩いたというお母さんの現状、それを見守る家族の様子、具体的に感受できる。問題句「ムクロジもニンジンボクも冷たい木(柴田清子)」 :「冷たい木」を瞬時に納得してしまえば特選句、そうだろうかと迷いや疑問が挟まれると同調しづらくなる句。私はこの感覚が好きなのだが、木を知らないのでどんな木だろうと思い始めたら同調しづらくなった。「冷たい木」が実在するので は無いから、本当はどんな木でも良いのだが、知らずとも一瞬で納得してしまう木とそうでない木があるようだ。「ニンジンボク」は特に考え込んでしまった。

藤川 宏樹

特選句「あぱあとのぱっと灯れば消える海(男波弘志)」薄暗いアパートの窓からひとり海を観ている。連れが灯した明り。海と入れ替わって自分の顔がガラスに映りハッとした瞬間が捉えられている。「あぱあとのぱっと」のフレーズと ひらがな表記が電球色のイメージを膨らませており、見事です。

増田 天志

特選句「からまるゴッホの星月夜からまる」表現に、素朴さと気骨を感じる。作品は、作者を映す等身大の鏡。創作は、自己変革を炙り出す。

島田 章平

特選句「渡る前鷹は涼しき眼をしたり」。命がけの渡り。しかし無心に前を向く。鷹には鷹に生まれた生き方がある。人それぞれにある様に。「母が今日は一キロ歩いて鵙日和」。私も入院中、病院のフロアーをリハビリで毎日歩いていま した。1周100メートル。10周で1キロ。次第に速くなるスピードは回復へのバロメーターでした。1キロ歩けた喜び。それは命の喜び。母も娘も・・・。鵙日和がさわやか。

高木 水志

特選句「セロ挟む少女の膝や水の秋」『セロ弾きのゴーシュ』を読んだことがある。何となくセロの音が優しい響きをして、水の秋に響き合っている。作者は少女の膝に注目している。大きいセロを挟んで弾く少女の一生懸命さが膝に集約 されていることが良いと思う。

野澤 隆夫

特選句「神の留守フェイクニュースの飛び火する(三好つや子)」神々が皆、出雲へ。この時とばかりフェイクニュース。それも連鎖しての飛び火だとは。面白い時事句。特選句「ここを右そこを左へ冬に入る(柴田清子)」暑い夏から短 い秋を経て冬に入るのも紆余曲折を経るもの。「ここ」、「そこ」と路地から路地を渡っていくようで面白い。問題句「産土に蒟蒻 九条ねぎに平和」これがチョット分かりにくい。産土に蒟蒻?九条ねぎに平和?護憲の考えか?妙に語呂がいい 、面白い句です。

若森 京子

特選句「秋虹の気化するところ正倉院」日本歴史の宝庫でもあり校倉づくりの正倉院の荘厳さを表現するのに〝秋虹の気化するところ〟の比喩が今迄に余り類をみない個性的な措辞であり納得出来るものであった。特選句「氷雨降る肉体化 する思考かな」スピリチュアルな世界をフィズィカル・ゾーンに変化させるそのプロセスはとても複雑で厳しいものがある。〝氷雨降る〟の季語がぴったりだと思う。

男波 弘志

寸感「ジャズにリンゴかぶり付いたのは月光(中野佑海)」店の喝采、が、聴こえてくる。「かいつぶり愈(いよいよ)かるい日々に出る(田口 浩)」最晩年のかるさ、敢えて軽み、と言わないふだん着のかるさ。「五線譜の正しき位置 に銀河置く(月野ぽぽな」五線譜には音符の秩序が並んでいる。銀河の星もある秩序で運行している。「からまるゴッホの星月夜からまる」ゴッホの肉体が剥き出しになっている。表現の切迫感はゴッホの心音だ。「鬼の子よ即答できず漕ぐばか り(矢野千代子)」自問自答こそ、最高の思惟、だからしゃべらないのだ。「渚にて少雨を待つ鵆がいる」鵆の挙動、その静謐さ、俊敏さ、こそ少年の心だ。「水蜜桃重いものから摘んでゆく」収穫の手ごたえ、どの桃にもある重量感、<重いも のから>は、そのことを言っている。

田口  浩

特選句「かなしみのすんだかたちとして胡桃」こんな事を考える。蛇が移動するとき。百足が前に進むとき。或いは蛸が這うときはどうか。と・・。これらの動きようはそれぞれに違うが、興味を持って見れば面白い。感動する人もいるだ ろう。その面白さ感動をことばで説明しようと思えば出来ないこともないが、さて面白さ感動と言うものが、深くなるだろうか?疑問である。 で、面白くない事を書く。「かなしみのすんだ」と言うのは過去の事である。その過去を「かたち」 で、またはことばで表したものが「胡桃」である。ここで「胡桃」を説明すれば、句の味わいが深くなるだろうか。蛇足である。人それぞれが、思い、見える「胡桃」で充分である。「かなしみのすんだ」事を「かたち」と言うのが、面白い。そ れを「胡桃」と言うのが、俳諧の滑稽である。とこう腑分けすると、作者に申し訳ないほど作品の味わいが薄くなった。

高橋美弥子

特選句「衣被に惚れた男であることよ(稲葉千尋)」衣被というと母との取り合わせをよく見かけますが、この句は衣被に惚れた男という非常に飄々として楽しい句だと思いました。今回は特選は大変迷いましたが、この句をいただきまし た。問題句「亀虫が紙魚に摺り寄る文化の日(吉田和恵)」まず季語が3つ入っていることを、初学のわたしはどのように理解してよいのか迷いました。季重なりが悪いというのではなく、内容は面白い句なので先輩方の見解をお聞き出来たら良 いなと思いました。→季語は、自然を句に取り込む最高のキーワードです。例え季語3個でも、無季でも、佳句は佳句。ご自由にお創り下さい。

竹本  仰

特選句「やはらかき乳房に強く平和抱く(島田章平)」この「平和」は今は子供を差し手いるのかも知れないが、かつては恋人であり、やがては孫や曽孫となるのかも知れない。乳房の「やはらかき」力に、「平和」を対峙させたところに 、「平和」のニュアンスが深く広く感じられる。なるほど、そういうものに世界は支えられてきたのかと思わせる。どこにも書かれてはいないけれど、しかしたしかな身近な歴史がそこにそうしてある。この平凡という非凡に共感した。特選句「 冬銀河田に囲まれて映画館」かつてはこういう光景が見られたが、今はもうないのでは?映画館というのは、かつては地方少年の夢の通い路であったように記憶する。そして、この句の目線は田舎に一軒の映画館を、絢爛豪華な夢の通い路だと信 じていた少年の目線であるように思う。昭和三十年代にあった、夢を取り巻く地方の構造が、ひとつの絵巻としてぱらりと広がったような。太監督や大俳優を知っていなくてもいいのだ、夢はあの暗さと期待の押し込められた空間の匂いの中にあ ったのだ、そんな濃密な時間が終わると、決まってもう外は暗く、振り返ると、田んぼを背景にぽつんと立っている映画館だ。何か大いなる出来事があったのだが、それは頭上の銀河だけが知ってくれている。今思えば、現実にあった恋愛や友情 などよりも、そこにあった夢の手触り感の方がむしろ本当のような気がする、そんな感覚は小生だけであろうか?あるいは、佳き映画館入場者の一人だっただけなのかもしれないが。特選句「金剛の蝶の羽音や冬の月」何という風景だろう?とい うのが正直な感想。それは、信じていたものに裏切られたゆえの、夢に対する郷愁というか。そんな、滅びゆくものと滅びない夢のせめぎあいがふと背景の声として感じられた、そちらへの興味として句を味わったということになるか。その点で は最も詩なのかと思う。俳句を乗りこえる俳句なんかいうものがあれば、それは詩になっているというべきなのか。ぴったりと要求通りのコースをつく、いいコントロールが俳句の模範なのかもしれないが、ここでは逆に収まり切れなさの良さを 感じ、この句の妙な羽音にはまってしまった。

中野 佑海

特選句「白黒に塗り潰しては夜寒かな」晩秋の夜。身を縮めながら、蒲団の中でああでもない。こうでもない。と、つらつら気に掛かる由無し事を考えていたら、益々体が冷えきって、こうなったら、一杯飲んでからでないと眠れないや! !年を取ると、なかなか寝付かれないものですね。おまけに自分でどうこう出来る事も、少なくなり、心配するだけが気休めです。特選句「公園の遊具原色雪催い(菅原春み)」ああ。もうすぐ雪が降って来そうな空模様だよ。この垂れてきた雲 に押し潰されそうなくらい、寒くなってきたよ!やけに公園の遊具が自分たちを主張し始めた。みんな、子供たちの帰った後は、雪とお祭り騒ぎなんだ!!勝手にどんちゃんやっとくれ。私は、炬燵が友達さ。今月も色々空想逞しく楽しませて頂 き有難うございました。参加出来なくなり、残念でした。来月は参加したいです。

稲葉 千尋

特選句「綿虫と別れ死刑囚の手記を読む」おそらくオウムの死刑囚のことと思う。綿虫のはかなさが効いている。特選句「一羽一羽に心臓ありて鳥わたる」鳥は毎日必ず見るが、当り前なのだが、一羽一羽に心臓があるが、その当り前の事 を書かれて納得しました。

鈴木 幸江

特選句評「かなしみのすんだかたちとして胡桃」私は、“すんだ”を済んだと解釈した。多くの人は、例え小さくなったとしても悲しみを抱えたまま亡くなってゆくのではないだろうか。自分のことを考えると悲しみは和らぐだろうが、試 練として人生にかかわり続け、とても済んだような境地には至らないと思っている。“胡桃”という堅く厚い皮を持ち、実を守る種の在り方から“済んだ”という状態のある種の意味が伝わって来る。敬意を持った句である。問題句評「亀虫が紙 魚に擦り寄る文化の日」私にとっては問題句というより課題句だ。こんな出来事が、現実に起こりうるのだろうか。俳句は、存在者を土台としイメージで構成してもかまわないと思ってはいるが、イメージの句とすると何故か物足りなくなってし まう。現実に起こると思うと世界が物と物との相互関係で流動している様がユーモラスに捉えられていて俄然おもしろい。書物の文字を食べてしまう紙魚と文化の日が意味深い。その紙魚を食べようとしているのか亀虫(だいたいは草食だが、肉 食もいるそうだ)が擦り寄って来る。この関係は謎だ。謎の浅さの中にこの世の深さが浮き彫りとなる。良くわからないけどいい句だ。

三好つや子

特選句「冬の園足音だけが落ちている」錆びついた噴水のある植物園を想像。枯葉の音にまぎれる人の足音に、荒涼感が漂い、心惹かれました。特選句「あるときは月光の吊るし柿であり」日光と月光が幾重にも合わさり、生まれた甘さな のでしょう。魯山人が好みそうな、究極の干し柿を私も味わってみたいです。入選句「胡麻がはじけそう拳ゆるめるな」胡麻の実がはじけるように、ほとばしる感情・・・。理性のぎりぎり感が句に込められていて、興味深いです。

桂  凛火

特選句「霧の夜の自分のかたち整わぬ(月野ぽぽな)」霧の夜のモヤモヤとした怪しい感じは皮膚感覚としてよくわかります。 そこに自分のかたち整わぬという実存への不安感を取り合わせたところに心惹かれました ただ「霧の夜の」 の「の」は必要かなと思うところもあります ただあるからいいのかもしれないですね、好きな句でした。

柴田 清子

特選句「渚にて少年を待つ鵆がいる」引く波の花となって消えてしまいさうな鵆が、少年Aを待ち続けて、今もこれから先もずっと渚で鳴いているのである。

野田 信章

「生き方はギリギリ喜劇あけび吸う(河野志保)」の句は「あけび吸う」の結句によって、悲喜一体の生き様そのものを観照させてくれる力があり、諧謔性に富んだ一句と思う。「アラスカを指差しさっと神無月(松本勇二)」の句は私に とっては地の果てと思える「アラスカ」だが、この句の行動力を伴った指向性にはこれが現代かと感じ入らせるものがある。乾いた叙情性と古風な「神無月」との配合によって意外と鮮度のある響感を覚えて読んだ、

大西 健司

特選句「頬と頬触れ冬の日のこぼれをり」特選句にするにはあまりに淡い印象の句である。ただ繊細な心のありようにひかれての特選。

河野 志保

特選句「冬の園足音だけが落ちている」聞こえるものを特定することで静寂の深さを感じさせる。足音が「落ちている」という表現に惹かれた。簡潔で余韻に満ちていると思う。落ち葉を踏む音なのだろうか、一人の公園だろうか、それと も今はいない人の足音を思い出しているのだろうかなど想像が膨らんだ。

新野 祐子

特選句「かなしみのすんだかたちとして胡桃」かなしみが「澄んだ」、それとも「済んだ」なのか、どちらでしょうか。どちらでもすっと胸に落ちますよね。ひらがな表記が胡桃の質感を際立たせているなと思いました。入選句「一羽一羽 に心臓ありて鳥わたる」動物に心臓があるのは当然ですが、揚句を読むと私の心臓も呼応します。入選句「霧の世の自分のかたち整わぬ」:「自分」ではなく「わたし」にしてはどうでしょう。濁音がないほうが詩的に響きます。

田中 怜子

特選句「短日や旅立つ義母の細き足」不思議な気持ちになります。苦労なさったのか、いろいろなことがあったけど、今はその葛藤も消えた、でも客観的になっている関係性が見える。

伊藤  幸

特選句「瓢の実や老いの才覚闊歩する(寺町志津子)」世の中まさに高齢化社会。嘆いてはなりません。「老いてますます盛ん」老いの才覚が発揮される時です。少子化を補填する為にも大いに闊歩してください。上五の瓢の実が風流で功 を奏している。特選句「赤まんますべて光の男たち」日本国土どこにでもフツウに生えているイヌタデの別称赤まんま。食用にもならぬ役に立たぬというので犬という名がついたそうだがナンノナンノ紅色に直立する姿は句のとおり全て光の男た ちですよ。奮起を期待します。

中西 裕子

特選句「冬めきぬトワイライトの鍬の光り(稲葉千尋)」早朝だか夕方かわかりませんが、働き者の鍬がうすぐらい中キラリと光る。空気も透明で冷たい。情景が美しいと思いました。

吉田 和恵

特選句「僕である為のバイクだ鳥渡る」自分の証であるバイクで自由にどこへでも行けますね。私である為の俳句・・・なんてね。特選句「何故雨女どうしても行く紅葉谷」女の意地は崇高でもあるのだ。男どもよ!問題句「カレーって香 典返しポチったら秋(藤川 宏樹)」逆立ちしても意味がわからない自分の脳力、一度でいいからこんな句を書いてみたいです。

銀   次

今月の誤読●「十本の芒となりし夕家族」。「ママ、ボクどうしたんだろう、アタマがスースーするんだよ」「あらま、この子、芒になってる。ねね、父さん、なんで、なんでこの子が芒になってるの?」「い、いや、オレにもわからん。 ここは長老、爺ちゃんに聞いてみよう」「ああ、ワシゃもう、とっくに芒になっとるからなあ。いまさらどうこうということはないんよ。なあ、婆さん」「うん。人間はいずれ芒になる運命じゃ。人生ってのは、そういうもんよ」「でも、あの子 もこの子も、孫までも芒になってるんですけど。それでいいんでしょうか、お爺さま?」「ああ、悟りじゃ。われら家族はみんな悟ったんじゃ。色即是空、空即是色。新たなる進化を遂げたのじゃ」「そうはいうけど、爺ちゃん婆ちゃん、わたし たち、この子たちを芒にさせたくはない」「爺ちゃん!」「婆ちゃん!」「これこれ、静かにおし、おまえたち。芒というのはな、秋の寒に耐え、秋の嵐に耐え、いつも飄々として風になびくのじゃ。いうなればコトをコトとせず、自然にまかせ 、自由に、奔放に生きるのじゃ。ロケンロールよ」「爺ちゃん、若い」「だがな、芒を舐めてっと」「舐めてっと?」「芒革命ということが起きる」「ススキ、カクメイ?」「芒は枯れているようで枯れてない」「うん、うん」「命あるものじゃ 」「うん」「世の中が間違った方向に行くと、われらは立ち上がる!」「立ち上がる?」「そうじゃ。芒は民衆じゃ。日本の人口より多い。そのときは革命じゃ」「おお」「世直しじゃ」「おおっ!」「でも爺ちゃん、このままじゃおいらたちい ずれ禿げちゃうの?」「うーん、ススキンヘッドじゃな、それでいけ」「それはちょっと」「じゃ、タトゥーも入れろ。アウトサイダーとして生きよ!」「あああああ、芒の毛が、というかおいらたちのアタマの毛が風にすっ飛んでゆく」「それ でよし、髪の毛がなんぼじゃ。おぬしたちこそ、いまこそ目覚めたる者、賢者なのじゃ!」「でも、禿げちゃうーーーーー!」

寺町志津子

特選句「かなしみのすんだかたちとして胡桃」今号も迷いに迷った選句。実に自由自在。そして、のびのび独創的。狭量の私の世界を飛び出す多くの句に翻弄されつつの選句。楽しかった。そんな中、特選句は最初から最後まで変わらなか った。上五、中七の「かなしみのすんだかたち」は「哀しみの済んだ形」とも「哀しみの澄んだ形」とも読めるが、「哀しみの済んだ形」として読んだ。そのかなしみ、とは何か?大切な人を見送った後のことかも知れない。そのことをも含め、 胡桃を、作者の人生の哀しみの柩として詠まれたと解釈した。季語としての胡桃の働きに、哀愁と豊かな詩情性、そして、新鮮さを感じて頂いた。

菅原 春み

特選句「折れ釘を叩ひて伸ばす敬老日」季語と叩いて伸ばす作業は取り合わせが 抜群かと。特選句「妹の通夜にて仰ぐ寒昴」 年上の親でもない、妹の通夜はなんともことばがでない。季語を仰ぐことしか考えられない。

矢野千代子

特選句「「膝掛を美しき言葉のごと広ぐ」この季節、膝掛けのぬくもりは体中へとひろがり私には欠かせない品ですが、「美しき言葉」はきれい過ぎるか、少し甘いのではと・・・。それがまた、物足りなさと曖昧さを補い、ぬくみを増し て、読み手の想いを拡げてゆくのです。

小山やす子

特選句「氷雨降る肉体化する思考かな」年を重ねるとだんだんと思考は肉体化して例えば足腰に思いが行ったりするのもその内の一つかもしれません。

三枝みずほ

特選句「膝掛を美しき言葉のごと広ぐ」風を含みながら、膝にひらりと落ちてゆく、あの瞬間を美しき言葉と表現したことに共感した。言葉も膝掛けを広げることもどちらも人の行為であり、日々こうありたいものだ。135句、刺激的で 、選句もとても勉強になります。昨今、作品を通して平和を希求する思いを深くさせられます。来月もよろしくお願い致します。

亀山祐美子

特選句『頬と頬触れ冬の日のこぼれをり』子ども同士、親子、恋人…いろいろな組み合わせの親しみ、絆の暖かさが伝わる佳句。問題句『ここを右そこを左へ冬に入る』おもしろい見方だとは思うのだが「そこを右そこを左」に時間の経過 をかんじる。以前俳句は先取り、当季雑詠。前の季節の俳句は後だしじゃんけんのようで気持ちが悪い。と言いましたが、撤回します。私は私が住む讃岐が世界の中心の狭い了見の人間です。地元の句会ならいざしらず、日本列島が縦に細長いこ とを失念しておりました。列島各地から参加の海程香川におきまして、浅了な我が身を恥じております。お許し下さいませ。皆様の句評楽しみにいたしております。

河田 清峰

特選句「なべて背は嘘をつけない後の月(寺町志津子)」冬になってやっと満月が見られます!この秋の後の月は綺麗でした!それを思い出してくれる好きな句です!

藤田 乙女

特選句「火(ひの)国(くに)あり月と火星の中あたり」古事記の国にタイムスリップしたり、宇宙のロマンを感じたり、何かとても心惹かれました。

松本 勇二

特選句「パラサイト娘の笑顔秋の蝶」パラサイト・シングルを略していると思われますが「笑顔」の斡旋でお嬢さまとの明るい生活風景が見えてきました。問題句「老うという仕事半ばよ蓮の実」老いるということを仕事と把握する大胆さ も蓮の実という季語の斡旋も良いのですが、中七の「よ」が切ったようで切れていません。「老うという仕事の半ば蓮の実」とすれば切れ味が増すように思われます。

月野ぽぽな

特選句「僕であるためのバイクだ鳥渡る」心が解放されてリラックスしている状態でいることが本当の自分。そうあるために必要なものは人それぞれ違うかもしれないが、その時の心身の感覚は共有している。「だ」の口語体が強い切れを 生んでおり、句の内容をさらにグッと押し出し効果的。季語の鳥の自由感と広い空間が句意をサポートしている。 いつもお世話になります。アメリカは昨日氷点下の感謝祭を終え、年末商戦が始まりました。ホリデーへまっしぐらで賑わいを増 していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

重松 敬子

特選句「僕である為のバイクだ鳥渡る」この心情は俳句を友とする者にはよくわかります。あまり若くない人なのかも・・・・。季語がいいと思います。

豊原 清明

特選句「妹の通夜にて仰ぐ寒昴」妹の通夜に悲痛の中、寒昴を仰ぐ所にポエジーを感じる。後悔等、ネガティブな感情はこの一句からは感じない。人生を生きる感じがして、好ましい。問題句「セロ挟む少女の膝や水の秋」特に問題句では ありません。今月は変わった句は余り感じなかったです。特選として、「水の秋」が良いと思う。膝に着目した点が新しいと思う。「少女の膝や」ポエジーを感じる。素敵です。

谷  孝江

選ばせて頂いた十句、私の中ではどれも特選です。「五線譜の正しき位置に銀河置く」は、銀河の美しい調べが心地良く聞こえてくる様で清々しさが感じられて好きです。「正直に生きた褒美だ秋刀魚食へ(銀次)」も楽しい句と思いまし た。いろんな感性豊かな句ばかり。ありがとうございました。

小宮 豊和

「優しさは傷みあなたは秋の風(竹本 仰)」:「優しさは傷み」に強く惹かれた。「あなたは秋の風」について。「あなたは」は作者に優しい異性だから書かなくともわかる。「秋の風」は、働きがいまひとつ。この九音は入れ替え可能 である。たとえばやや平凡に「秋の杞憂かな」として「に」でつないでみる。「やさしさは傷みに秋の杞憂かな」となって句は成立する。推敲の余地は大きく秀句になる可能性大。

高橋 晴子

特選句「産土に蒟蒻 九条ねぎに平和」こんにゃくと九条ねぎの対比が面白いと思った。問題句「黄葉の靖国神社不穏な車2台(田中怜子)」不穏な車が何故不穏だと感じたか。もっと具体的にいえたらよかった。二台迄いわなくてもいい のではないか。

漆原 義典

特選句『「眠れたかい」夫の一声冬隣る』 上の句「眠れたかい」が夫婦のほのぼのとした温かさをうまく表現しています。うれしい句です。ありがとうございました。

野口思づゑ

特選句「秋思とはいっても石に戻るだけ」理想的な秋思なのでは。特選句「台風一過折れ鶴のよう白い傘(小山やす子)」もしかしたらビニール傘かもしれませんが、美しい光景になりました。

中村 セミ

特選句「霧の夜の自分のかたち整わぬ」イメージであると思うが、実際 濃い真白な霧がわき出ている夜に車で走っていた事がある。距離感も何もあったものではなく、もし、前の車が停止していたらぶつかると思える程何も分らなくなる 感覚におち入った。この句もそんな霧の中に自分を置いたとすればくねくね曲る自分の姿を客観的に見い山しそうな気がする。そういったところを面白く読ませていただいた。

野﨑 憲子

特選句「からまるゴッホの星月夜からまる」ゴッホの名画「星月夜」の絵にインスピレーションを受けての「からまる」の一語。糸杉の、空間の渦巻の、月たちの犇めくような混沌を、余計なものを削ぎ落し十七音に収斂して見事。ルドル フ・シュタイナー(高橋巌訳)の「芸術創造は、宇宙の創造行為の人間の魂による継続」なのである。そして「あまりにも力強い芸術家」になるとは、鑑賞者に対して、この宇宙のいとなみに参加するように強制しさえする、を想った。「優しさ は傷みあなたは秋の風」わたしは甘い句が好きである。そして、その甘さが、後から、ずんずん心の底に沈んでいくようなほろ苦い甘さが、たまらなく好きである。「あなたは秋の風」そのものなのである。問題句「冬銀河背中震えし犬と馬」中 七 の「背中震えし」の「震えし」が、想定内だが、「冬銀河」と「犬と馬」の取り合わせが、抜群に面白いと思った。

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

タクシー
秋日和タクシーで行く泌尿器科
野澤 隆夫
タクシーに手をあげたのにふくろうが
男波 弘志
鬼柚子がタクシーの中で笑ってる
亀山祐美子
鬼柚子
鬼柚子の腰かけてゐる切り株よ
野﨑 憲子
鬼婆となり鬼柚子の風呂
鈴木 幸江
鬼ゆずにはじめての傷つけてみる
男波 弘志
鬼ゆずの窪みに吸いこまれそう
三枝みずほ
鬼ゆずや膝もて余す老婆かな
小山やす子
鬼柚子の大笑ひせり銀次来る
亀山祐美子
鬼柚子が突然海の部屋に来た
柴田清子
鬼ゆずが欠伸している夜の談議
小山やす子
(いろは)紅葉
紅葉散るどの瞬間も風の中
三枝みずほ
誕生日には風の寄せ書き夕紅葉
野﨑 憲子
君よいまいろはもみじに同化せよ
鈴木 幸江
諦めが一番いろは紅葉冷え
柴田 清子
朱唇
祈れば川底に冬の朱唇
野﨑 憲子
首長き朱唇の座すや炭灰に
藤川 宏樹
六十歳が朱唇の切手なめる
中村 セミ
朱唇につながる流れ星が来る
田口  浩
綿虫に好かれなくてもいい朱唇
柴田 清子
湯が沸いてさらに朱唇が成就する
田口  浩
雪雷
大甕のどぶろく据えて雪雷
田口  浩
根っこには日の翼あり雪雷
野﨑 憲子
母の忌や刻違えずに雪雷
小山やす子
雪雷相性良しと言われても
藤川 宏樹
朝出たら其れっ限(きり)の人雪雷
鈴木 幸江
十一月
おしゃべりな十一月の水たまり
野﨑 憲子
指揮者以下十一月の蝶になる
田口  浩
言吃れば十一月の日溜り
野﨑 憲子
十一月のザラ紙に触る風
中村 セミ
そこここへ青雲立ちぬ十一月
藤川 宏樹
戸一枚向こうは十一月の海
柴田 清子
新しき大釜を据え十一月
小山やす子

【通信欄】&【句会メモ】

金子知佳子☆いつも「海程香川」を送っていただきありがとうございます。仏前にお供えしますと「おう!!きたか、きたか」と喜んでいる様子で私たち家族も嬉しく思っております。皆さまのご活躍を楽しみに致しております。→知佳子様、 嬉しいお便りをありがとうございます。兜太先生をますます身近に感じます。大きな元気を頂いた思いでいっぱいです。これからも、句会報を兜太先生へお送りするのを楽しみに精進します。今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

竹本 仰☆いつもお世話になっております。急に寒くなりました。淡路島でも、同じです。まだ計画段階でありますが、来年、6月1日、2日、淡路島吟行の予定、みなさま、いかがでしょうか。意外と思われるかもしれませんが、淡路島は俳 句熱のかなり高いところです。ただし、海程、海原とはまったく縁なく(?)、それだからこそ、こういう吟行も一興であろうと思うのです。小生が住職を勤めるお寺は、西暦1600年ころ創立の歴史の浅い寺ではありますが、その頃に出来た とされる室町時代の様式を模した庭園は、一見の価値ありです。本堂での句会をぜひと思います。→淡路島吟行、楽しみにしています。年内にだいたいの人数の把握をされたいとの事ですね。皆様、奮ってご参加表明をお願いします。

11月句会へは、久々に徳島の小山やす子さんが参加され、大らかな笑顔の中に、鋭い鑑賞をされ、さすがベテランの貫録でした。亀山祐美子さんが見事な鬼柚子を持って参加され、鬼柚子君は、袋回しのお題となり、今は、我が家の玄関に飾 られて甘酸っぱい匂いを振りまいてくれています。<雪雷>は、小山さんの出題で、小山さんの故郷である北陸の冬の風物詩なのだそうです。

冒頭の写真は、荒川上流の長瀞の紅葉です。先生のお元気な頃の俳句道場の折に、撮影しました。

2018年10月31日 (水)

第88回「海程香川」句会(2018.10.20)

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事前投句参加者の一句

            
歩かねば膕(ひかがみ)亡ぶ山竜胆 若森 京子
時計鳴く・あした・あす・あす・長き夜 藤川 宏樹
萩の花こぼるるほどのラブメール 稲葉 千尋
白萩の吐息目覚めし大正ロマン 中野 佑海
ももいろのペリカン月光を泳ぐ 高橋美弥子
ぼけーっと生きて天高き心臓さ 谷  佳紀
自由てふ淋しさ酔芙蓉開く 桂  凛火
母さん指に熱のあつまる夜長かな 伊藤  幸
稲の花なまなまと夜はひそめいて 竹本  仰
孫の絵のばあばは真っ赤鶏頭花 重松 敬子
紙の月薄の上を怠けおり 河田 清峰
落ち栗の毬の青さや雨の降る 田中 怜子
黒ぶどう透け海賊船の影すっと 増田 天志
君おれば独りも嬉し星月夜 鈴木 幸江
さみしさは引火しやすし一位の実 月野ぽぽな
黄落や仮設住まひの身の細る 菅原 春み
田が刈られ無防備となる飛蝗かな 高橋 晴子
秋風や一本の柱が赤い 柴田 清子
冬近し隻眼巨人とふ燈台 銀   次
赤曼殊沙華白曼殊沙華 鼓動 島田 章平
交番に火花秋蝶みだらに死す 大西 健司
小鳥くるちょっと切ない午後なのです 谷  孝江
そのように高松に慣れ歩く秋 田口  浩
紙の薄い薄い音が鳥のようだ 中村 セミ
天狗茸魔界の方はお断り 松本 勇二
木犀や有り触れた日々にアクセル 高木 水志
ていねいな耳だとおもうあきのあめ 男波 弘志
語り部のかたりことりと無月かな 寺町志津子
秋雷や忘れた傷の痛みだし 藤田 乙女
文化の日枕の空気まだ入る 矢野千代子
恋人の禿げ見て冬を感じ入る 豊原 清明
ちんちろりんちんちろりんあなた誰 小山やす子
ちーずけーきを五人で囲む良夜かな 吉田 和恵
秋の昼飛ぶものはみな光帯び 新野 祐子
野分過ぎ歯医者に流るビートルズ 野澤 隆夫
高層の隣りの頑固柿の家 野口思づゑ
秋風や小豆の島にひしお丼 漆原 義典
はじまりの出口のようでひょんの笛 三好つや子
湯豆腐や天寿まっとうする決意 小宮 豊和
君が代の秋や蚕飼は夙に絶え 野田 信章
島守りの九十四歳槍鶏頭 亀山祐美子
新豆腐ボウル差し出す水の揺れ 三枝みずほ
金木犀声を出さずに話します 中西 裕子
昔にも昔があった月夜かな 河野 志保
水音の中の水音十三夜 野﨑 憲子

句会の窓

中野 佑海

特選句「石榴割け暗峠までとばし読み(矢野千代子)」あっ庭に石榴の身が割けたような死体が一体これは誰が何の為にどうしても先が気になる。えいっパラパラ飛ばしながらクライマックスの「暗がり峠」まで、一気に読んじゃったよ!!あー推理小説は途中でやめられへん止められへん。麻薬や♪特選句「「君が代の秋や蚕飼は夙に絶え」今上陛下の平成ももう最後の秋を迎えた。そして、皇后さまがなさっていた、蚕を飼って絹を作ることももう終わってしまった。新しい春にはもう次の代に代わって仕舞うのだと。粛々とまるで長恨歌の一節のようで、天皇家二千七百年の歴史を感じます。

谷  佳紀

特選句「ていねいな耳だとおもうあきのあめ」:「ていねいな耳だとおもう」で切り、「あきのあめ」の修飾語や比喩として読まない。「ていねうな耳」とはどんな耳なのだろう。美しい耳で無いことはあきらか。彫刻の耳のような静けさを感じつつ、人の温みを感じる耳でないと「あきのあめ」の動きと静けさが生きてこないようだ、と「ていねいな耳」へと思いは巡る。抽象的だが具体的でもあるような「ていねいな耳」。問題句「赤曼珠沙華白曼珠沙華 鼓動」一字空きで「鼓動」だけ。これで書き終えていると言えるのだろうか。衝動が書かせた、せめて直感が書かせた「一字空きの鼓動」なら納得できるのだが、どうもそうではないようだ。うまく書き終えたいう顔が見えてしまったり、中途半端だという思いで選ぶにためらうのだが、そう思いつつ「一字空きの鼓動」は読ませる力を持つと認めざるを得ない。

島田 章平

特選句「さみしさは引火しやすし一位の実」まるで火種の様な一位の実。じいっと心の中にある寂しさの火種。ふとしたことで、寂しさに火が付く。悲しく燃える追慕の火。消すに消せない思い出は、いつも心の中の火種として残っている。戻れない過去・・・。

藤川 宏樹

10月は少人数でも毒を以て毒を制する白熱の句会になりました。私の甘き微毒は達者に通じません。大変勉強になっています。さて、特選句は「恋人の禿げ見て冬を感じ入る」禿げ?こんな句あり? 鈴木さんの朗読に笑いがありながら好評価でした。恋人の禿げ見て人生の冬入りを感じる、ユーモアとペーソスにあふれた記憶に残る良句です。

稲葉 千尋

特選句「さみしさは引火しやすし一位の実」一位の実とはおそれ入りました。小さな赤い一位の実は、さみしさの引火だったのか。高山に居る時よくつまみました。特選句「野分過ぎ歯科医に流るビートルズ」歯科医のできごとを句にしたのか、あの音はビートルズなのか、ただ野分が効いているかどうかですね。

三好つや子

特選句「秋風や一本の柱が赤い」秋の夕暮れ、荒れ果てた家の一本の柱が、家霊のごとく来訪者の心に語りかけてくる、幻想的な趣に惹かれました。特選句「文化の日枕の空気まだ入る」猛スピードで文化が成熟し、誰もががんじがらめになっている現代。この句から、楽しい未来がいっぱい詰まった枕を想像することができ、明るい気分になります。入選句「紙の薄い薄い音が鳥のようだ」透けるように薄い紙のしなやかさ、繊細さが伝わってくる作品。入選句「水音の中の水音十三夜」一つの水の音から、さまざまな音の表情を感受する、作者の詩情が素晴らしいです。

豊原 清明

特選句「時計鳴く・あした・あす・あす・長き夜」面白いと思った。中七は同じ意味の言葉を繰り返している。下五は「長き夜」。リズムで魅せている処が面白い。内容らしい内容はないけれど、明日に特別に期待があることが、繰り返しで、音として伝わる。問題句 「ぼけ!っと生きて天高き心臓さ」理屈っぽさから、突き抜けようとしているのか、ぶっきら棒の面白さ。「心臓さ」が大切に思う。「ぼけーっと生きて」が、いい。装わないところが!いい。

野澤 隆夫

特選句「時計鳴く・あした・あす・あす・長き夜」長い夜が、視覚で表記された句。ドットで区切られ、そして「…・あす・あす」いかにも「長き夜」の感。ゼンマイのコチ、コチが「あした・あす・あす」と刻んでます。特選句「ちーずけーきを五人で囲む良夜かな」七七五ですが、上句「ちーずけーきを」が五に聞こえます。つましき日々の、穏やかで天下泰平の句です。

高橋美弥子

特選句「さみしさは引火しやすし一位の実」共鳴句でした。さみしさはともすれば危険を招くこともあります。一位の実、あの赤い実との取り合わせが成功していると思います。イチイの木は熟した果実以外の部分はすべて有毒であり、特に種は誤食しての死亡例もあります。その意味でも「引火しやすし」の措辞がとても響きあっています。問題句「老いらくの低温火傷のすすき原(若森京子」:「低温火傷」は老いらくの「恋」の比喩でしょうか。でしたら、ズバリ恋と言わないところがいいなと思いました。しかし低温火傷「の」の助詞がちょっとわかりにくいです。低温火傷で切っても一句は成立する気がいたします。

大西 健司

特選句「ひとりとは星のざらつく芒原(月野ぽぽな)」妙にざらつく気分って時にあること。ただ作者はそんな気分を「星のざらつく」と捉える、そんな感覚の良さ。背景の芒原も効いている。

小山やす子

特選句「歩かねば膕亡ぶ山竜胆」歩かなければ足が衰えると言うだけの事ですが膕と言う言葉が不思議な力を持った句だと感じました。

鈴木 幸江

特選句「昔にも昔があった月夜かな」人の歴史を思えば語っていることは常套的なことであるが、“月夜かな”の措辞から、私には作者の人間の知性では捉えきれない宇宙の誕生までを思考しつつ独り言のように呟く姿が見えてきた。忘れてはいけない人間の謙虚さを現代人に取り戻させようとする警句としていただいた。「恋人の禿げ見て冬を感じ入る」“禿げ”はマイナス感情を伴う。しかし、作者の愛の力は自然現象の一部のように、冬を感じ肯定的に受け入れている。常識ではマイナスと認識されることでも別の見方をすれば肯定的に受け止められるという作者の賢さを感じ、是非是非私も、この感性をと。元気と叡智をいただいたので、感謝を込めてコメントさせていただいた。問題句「ていねいな耳だとおもうあきのあめ」物思いを誘発する秋の雨。とある耳を見た時、作者はていねいな耳だという想いに支配されたのだろう。“ていねいな耳”とは、私には、初めて出会ったような気がした言葉の世界であった。姿美しき耳か、立派な耳か、機能的な耳か等々思うがよくわからない。でも、作者は何かの意味を込めている気がする。それが、伝わってこないもどかしさを感じたので問題句とした。

男波 弘志

「稲の花なまなまと夜はひそめいて」稲の花に遭遇することは、稀だ、僕は見たことがない、何か神聖な色だとおもう。「石榴割け暗峠までとばし読み」何かを切り捨てることで、切り捨てられなかったものが、見えてくる、のだろう。「子鳥くるちょっと切ない午後なのです」僕は近頃、四六時中切ない、だから、この句の、ちょっと、に余裕を感じる。「紙の薄い薄い音が鳥のようだ」この、肉声、この、鋭利な紙、現代俳句はここを攻めなければいけない。極めて珍重。「しゅるしゅると息して竹の刈られおり」僕は仕事で沢山の竹を葬った、だからこの、声に、合掌している。「原生林も胎児のかたち枯葉剤の野」いのち、とは、畢竟、僕らが考えて、解るものではない。「ひとりとは星のざらつく芒原」一句は中7下5で完結している。上5は一考の余地がある。ざらつくに古の傷みがある。「言葉みなヒトのものなる吊し柿」人間がことばを創り、ことばを縊死させてしまった。僕の知る限りことばを十全に開放させたのは、宮沢賢治、だけだろう。「連絡船が記憶の藻をひきづる」ちぎれない記憶、執念、執着、いずれも人間だけのものだ。「蛇穴に入る成り行きにまかせたり」死ぬものは死に、眠るものは眠る、ただそれだけ、一切事が只事。

若森 京子

特選句「紙の月薄の上を怠けおり」ユーモアのあるこの一句。何故か社会風刺とみて以外に置くの深い句だと思う。特選句「はじまりの出口のようでひょんの笛」ひょんの笛は虫の出たあとの空洞を吹くとひょうひょうと鳴る。入口の様な出口と上五中七の措辞にこの季語がぴったりで一句に謎めいた魅力をひびかせた。

月野ぽぽな

特選句「昔にも昔があった月夜かな」昔にも昔、その昔にも昔、またその昔にも、、。人という記憶の生き物によって無限の時間が出現しました。月の光がその無限を照らし果てしない気持ちになります。

伊藤  幸

特選句「サルスベリ風の破片として終わる(月野ぽぽな)」あの紅に咲き誇っていた百日紅のシーズンが終わった。風の破片と措辞されたのは作者の現在の心境だろうか。詩的な表現の中に未完への心残りが伝わってくる。

竹本  仰

特選句「自由てふ淋しさ酔芙蓉開く」自由のВ面と言いますか、裏面を問いかけているのかなと思いました。よりかかるものなき軽さ、構ってもらえない頼りなさ。この心のうつりかわりに、尽きせぬ思いがふいと出てくる、そのへんをうまく表せていると感心しました。特選句「小鳥くるちょっと切ない午後なのです」この、問われたげな表情に、思わず問いかけたいと思わせる、そんな姿が、間がいいですね。対話が立ちあがって来る、そのときの空気感がかなりリアルに感じられました。この何気なさを、テクニックというのかなあと、繰り返し、いい句だと思いました。特選句「ていねいな耳だとおもうあきのあめ」ていねいな耳、耳がていねい?聞こえている、きっと聞いてくれているということの不思議な感覚、どこかに存在を受けとめられているという、そんな感触を言っているのかなと思い、観音さまの耳のような、かぎりなく大きなものを感じます。また、あきのあめに、サイレント映画風のうつくしさを思いました。以上です。ぐっと寒くなりました、みなさん、ご自愛のほどを。来年は、海原の全国大会、香川であるとのこと。一日たりとも参加したいです。みなさん、よろしくお願いいたします。

柴田 清子

「紙の薄い薄い音が鳥のようだ」を特選とさせてもらった。私の知る限りの俳句を突き破って現れた新鮮な俳句。「水音の中の水音十三夜」今年の十三夜は、まさにこの句のようでしたね。好きな句、刺激を受ける句、いつまでも心に残りさうな句が今月もいっぱいあった。この中で十句に絞る難しさ、他の人の評を聞いてグラリと選が動いてみたり。秋晴れの、海程香川句会でした。

矢野千代子

特選句「湯豆腐や天寿まっとうする決意」天寿をまっとうするのは、なかなか大変なことらしい。湯豆腐は、それが適ったのでしょうか。すぐにベッドで横になりたい最近の私ですが、作者の決意にも湯豆腐にも拍手をおくります。

増田 天志

特選句「交番に火花秋蝶みだらに死す」サスペンスか、闘争か。緊張と緩和の塩梅が、絶妙。団塊の世代はモノクロの夢。

田中 怜子

特選句「新豆腐ボウル差し出す水の揺れ」昔、豆腐売りが町々をまわり、鍋をもって買いに行ったことがあります。そういう日常の水の揺れ等、 臨場感がありますね。

漆原 義典

特選句は「小鳥来る爺はエレジ―婆フォーク(三好つや子)」です。微笑ましい夫婦の姿がうまく表現されています。エレジー、フォークが良くきいています。

河田 清峰

特選句「ちーずけーきを五人で囲む良夜かな」割り切れそうで割り切れないのが好きなのかな?ちーずけーきが満月に見えて 愉しそうです!いつまでも見つめあっている五人が羨ましい。

谷  孝江

特選句「金木犀声を出さずに話します」先日の台風25号で家の大きな金木犀が大きく傾き、どうにか倒れるのだけは助かりました。その何日か前、朝、窓を開けたとたん、良い香りが流れて来、あっ金木犀が、と思いもうこんな時節になったのかと気付かせてくれた香りでした。みかんも柿も無花果も枇杷もその実が色付くことで時節を教えてくれています。変化の少ない暮らしの中でのひとつの楽しみです。金木犀はあの香りの中で語りかけてくれていたのです。何とか生き伸びて来年も季節を教えてね、と語りかけています。話しかけてくれるのを待っているところです。

中村 セミ

今回の特選は見つける事が出来ませんでした。敢えて「爽やかな人に寄り添う砂時計」が良いと思いましたが、もう一つ何かが入っていればもっとよかった様に思いました。

野口思づゑ

今回は特選も問題句もなく、つまり皆同じようにいいと思いました。「老けたなあと兜太に言われ木の実降る」金子先生にこういわれたら、誉められた気がするかもしれませんね。「ももいろのペリカン月光を泳ぐ」美しい光景が目に浮かぶ。「そのように高松に慣れ歩く秋」高松に移って来られた方が新しい街に馴染んできたのですね。

銀   次

今月の誤読●「突然 柚子の香に冷んやり老いる」。まず上句の「突然」と結語の「老いる」はよくわかる。わたしにもそういう瞬間がありました。数年前栗林公園で、あれはなんというのか、ほら、通常の散策路と芝生とを区切っている半月状に区切っている竹の柵、あれを飛び越えようとして、柵に足をとられて芝生に転倒したときです。びっくりしました。わずか四、五十センチのジャンプもできなかったわたしは、心底、老いたなあという実感にとらわれました。たぶん誰しもそういう体験がおありでしょう。それはまさしく突然老いたことに気づいた<ウッソー!という一瞬でした。ただこの句が謎なのは老いるという言葉の前に「冷んやり」という副詞が乗っかっていることです。〈冷んやり老いる〉とはどいうことなのか。〈冷んやり〉という言葉はわたしのイメージのなかでは〈じわじわ〉ないしは〈気がつけば〉という感覚で上句〈突然〉とそぐわないのです。晩秋の台所に立って〈冷んやり〉、深い森に入って〈冷んやり〉。これは足下からじわっと沸きあがってくる感覚で、やっぱり〈突然〉は違うよなあ。その謎を解くキーワードが、おそらく「柚子の香に」だと思います。柚子の香りは柑橘類のなかでもひときわ強烈で、生命感にあふれています。ことに新鮮で、もぎたての柚子の香はまさに青春。若々しいスペルマを連想させるものでしょう。その対位として、突然気づくのです。わたしは老いてゆく身だなあと。だとしたら〈冷んやり〉は〈突然〉と結びつきます。つまり老いゆく身と柚子の香に象徴される若者の対位です。そこにある〈あっ〉という気づきです。ありますとも。そういう瞬間って。かたや滅びゆく者、もう一方には未来ある若者。それはわかります。でもね、作者の方、老いというのはおもしろいですぞ。老いは捨つる身、そう覚悟を決めれば怖いものなし。〈柚子の香に〉なんてしみじみしている場合じゃありません。これからは戦争です。若老混乱しての乱世です。勝ち抜きましょう。がんばろうぜ。オウ! (間違いだらけの鑑賞。失礼しました)。

新野 祐子

特選句「冬近し隻眼巨人とふ燈台」隻眼巨人というのは実際にある名前でしょうか。それとも作者が付けた名前でしょうか。いずれにせよ、固有名詞に強烈に引かれることがあるものです。それが燈台だなんて、とても素敵です。特選句「水音の中の水音十三夜」耳を澄ますと、水音の中にまた水音が聞こえるのでしょうか。十三夜がこんな心象風景を作り出すのでしょうか。不思議な世界に連れていかれるようです。二句とも、簡潔かつ深遠で魅力的です。問題句「潮騒の深き眠りや 曼珠沙華(島田章平)」韻も字面もきれいです。「や」で強く切れているのに、なぜ一字空けなければならないのかわかりませんでした。

高木 水志

特選句「ていねいな耳だとおもうあきのあめ」秋の雨が丁寧な耳だと思うユニークな発想なのに、ありそうなところがいい。

野田 信章

「88回」とはめでたき回数。益々の充実が期待できます。十句以内の選のときもありますので、今回は、好句があって十一句となりました。また、特選にするだけの自信がなく、全句を入選にしましたので、よろしく。「ていねいな耳だとおもうあきのあめ」は閑寂な自愛に満ちた句。ひらがな書きの韻律の中に自と感得される「秋の声」の手応えがある。「熊蝉の雄々しき姿夕化粧」の句は一夏一夕の熊蝉ならではの勇姿が「夕化粧」によって把握された。「島守りの九十四歳槍鶏頭」は伊吹島を想起させてくれた句。「槍鶏頭」の配合がよい。→ お陰さまです、今後とも宜しくお願い申し上げます!

重松 敬子

特選句「「ちーずけーきを五人で囲む良夜かな」幸せな夜の団欒が目に浮かびます。こういう句も一つは欲しい。最近は、すごいデコレーションのケーキが増えて、チーズケーキは隅におしやられていますが、とても懐かしいケーキです。この句にはピッタリ!!

桂  凛火

特選句「微毒性新種撫子東進中(藤川宏樹)」撫子に毒があるのですか。新種ということなので新しいニュースということでしょうか。漢字ばかりでぎゅっとまとめたところに新しさを感じました。東進中も勢いがあっていいですね。もしかしたら害悪なのかもしれないですが。特選句「生きる日の道草もあり穴惑い(藤田乙女)」深いのにわかりやすいところが素敵です。穴惑 いはつきすぎということも言えるかもしれないですが、これはこれでいい具合というところかと思います。道草と思えることがむしろ意味あることも多いように思います。

田口 浩

特選句「文化の日枕の空気まだ入る」:「文化の日」これをむかし流行った、文化住宅文化包丁の類いに揶揄してもいいが、ここは字義通り読んで、日頃考えたこともない、文化の日なるものに時間をさくのも一興であろう。その上で「枕の空気まだ入る」に目を移すと、空気のフレーズが人格をえて、枕の中をぴょこぴょこ跳ねているようではないか。即、空気を文化と読めば「まだ入る」の余裕が、季語の固さをやわらげて、はずみごころの愉しさが読み取れる。「田水ぬく万葉仮名につまりがち」上五中七に対して、下五の濁音に賛否はあろうが、私は気にならない。帰俗の謂いもある。一句の眼目は「つまりがち」な浮き草その他の動きの妙を捕えておもしろい。この万葉仮名は狭い水取口を、おしあいへしあい抜けると、上手の筆にのってスウーと巧みに流れるのであろう。

菅原 春み

特選句「落ち栗の毬の青さや雨の降る」 今年は落ち栗を多く拾い、妙に腑に落ちてしまいました。特選句「秋雷や忘れた傷の痛みだし 」なぜかリアリティを感じます。季語が古傷を思い出させたのか? 

松本 勇二

特選句「孫の絵のばあばは真っ赤鶏頭花」焦点の絞り方が見事でした。季語の据え方も立派です。問題句「そのように高松に慣れ歩く秋」書き出しの素晴らしい句です。下五の秋が少し広すぎるのではないでしょうか。たとえば「月の道」「萩こぼる」など具体的に書くと切れ味が出るように思います。 

寺町志津子

特選句「ちんちろりんちんちろりんあなた誰」読後一瞬、思わず口ずさんでいた。大好きな句である。解釈に二通り考えられた。「あなた誰」と聞いているのは、親なのか、配偶者なのか、いずれにしろ認知の進んだ人と解し、「ちんちろりんちんちろりん」のリフレインに、重たい現実を軽妙な言葉で包むことによる寂寥感に共鳴。一方、「あなた誰」は自分自身のことで、「ちんちろりんちんちろりん」の虫の音は、よく知っている虫の音であるにも拘わらず、どうしても虫の名が思い出せず、「あれ」「それ」が増えた現実に対する自分自身に対する諧謔とも読み取れた。いずれにしろ忘れられない句になった。

 
小宮 豊和

「稲の花なまなまと夜はひそめいて」稲の花は私には心惹かれる季語なので注目しました。稲の花は白日の下で映える花ではなく、夜とか朝に存在感がある花であると、私的には思っています。それで上五、中七に問題の余地があるとは思いません。特に「なまなまと」は夜の梅の花をうまく表現していると思います。下五の働きが不十分ではないかと思うのです。これを例えば「香りける」などどたら句の感触が変ると思います。他にもっと良いフレーズは必ずあると思います。すばらしい推敲を見せてほしいと思っています。

中西 裕子

特選句「黄落や仮設住まひの身の細る」色づいた葉が、落ちて美しい、しかし木はむきだしになるし寒い冬が近づいてくる。仮設住まいの心細さ、寂しさが重なる切実な句と思いました。

亀山祐美子

特選句はありません。頂きながら(自分の句も含め)どの句にも不満が残ります。共感はするのですが、理屈が垣間見え素直に頷けませんでした。何かしら不満が残りました。問題句『秋風や一本の柱が赤い』という句がとても気になりました。特選句の気持ちよさではなく、神経を逆撫でされるような、不安感を増幅されるような…。予選では頂きましたが、句会ではパスしました。野崎さんが披講の際に読み上げた瞬間呪文の様に呪詛の様に感じました。気になる度合いは135句中一番なのですが、触ると火傷しそうな危険な句だと感じました。見た目(情景句)以上の作者の精神構造が恐い。なので問題句としました。

河野 志保

特選句「生きる日の道草もあり穴惑い」作者は人生を振り返って「生きる日の道草」を思い出しているのだろうか。「穴惑い」に遭遇したことがきっかけの感慨だったかもしれない。穏やかな肯定が句に安定感と説得力をもたらしていると思う。

三枝みずほ

特選句「三十八億年の始祖火恋し(河田清峰)」生命は自然の中で生まれ、変化、進化してゆく。人間もそのひとつであり、「火恋し」が生命のルーツを脈々と伝えているような、考えさせられる作品だ。

高橋 晴子

特選句「生きる日の道草もあり穴惑い」私なんぞ道草ばかりしてきたので〝道草もあり〟に妙に切なるものを感じさせられた。特選句「秋の昼飛ぶものはみな光帯び」鳥・蜻蛉・飛蝗など、とんだ一瞬に光りを感じる。秋が生きている感。問題句「小鳥来る爺はエレジー婆フォーク」特選に採ろうと思ったが、楽しい句だが、何か調子がよすぎて、ねらいが見えて面白くない。

藤田 乙女

特選句「木犀や有り触れた日々にアクセル」ありふれた日々を流されながら生きている自分にアクセルを踏めよと激励されたように感じ心に響くものがありました。ありがとうございました。

吉田 和恵

特選句「野分過ぎ歯医者に流るビートルズ」先鋭だったビートルズも今や癒し系ですね。特選句「竜淵に潜みぎんぎらの朝日子(野﨑憲子)」兜門下いつまでもメソメソしてはおれません、ぎんぎらの子でいたいです。問題句「ちんちろりんちんちろりんあなた誰」ちんちろりんが擬声語なのか、形容詞、副詞、助動詞、人名・・・???私の想像力の限界です。

野﨑 憲子

特選句「秋風や一本の柱が赤い」作者は、ただ、一本の柱が赤いと言っている。が、私には、この句から、「釣瓶落し」が浮かんできた。読む程に、赤さが増してくるような不思議な感覚を覚える。大いなる柱のような秋の落日の時間の経過が見えてくる。「秋風」の切れが見事である。ただ、それだけの一句であるのだか、それだけで終わっていない何かがある。少しの飛躍はあるのだが、岡本太郎の言葉「芸術は呪術である。・・人の姿を映すのに鏡があるように、精神を逆手にとって呪縛するのが芸術なのだ。」を思った。呪縛するとは、怖い言葉であるが、その向うには無限の開放がある。振幅の大きさが、人生においても醍醐味なのだから。問題句「天狗茸魔界の方はお断り」一茶の「天狗茸立けり魔所の這入口(はいりぐち)」を踏まえた句と思う。特選に頂きたい面白い作品である。「お断り」が眼目であるが、魔界の方々には問題句であろう。魔界は、他界。彼の世の方々は悪さをしないと信じている。選びたい句が多すぎて、投句のメールや文書を頂く度にどきどきしています。ますますのお元気を!

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

高き空高速バスに飛び乗りぬ
野澤 隆夫
他界とは花野の先の空のこと
島田 章平
目のあたりみな秋になりことに空
田口  浩
それなりにキリン薄命秋の空
藤川 宏樹
この空の大き知らずに赤とんぼ
藤川 宏樹
空っぽの風が吹くなり夕花野
野﨑 憲子
秋灯空気みたいな人とゐる
亀山祐美子
豆がはじけて思い切りつけたのだ
柴田 清子
手土産の豆本三冊藷二本
亀山祐美子
わたくしは行方不明の藤の豆
鈴木 幸江
笑い茸彼の取説破れてる
中野 佑海
思い込み松茸御飯と言い聞かせ
中野 佑海
田口さん島田さん毒きのこあるよ
男波 弘志
あなたから食べて下さいこの茸
男波 弘志
もう充分毒茸食べようかな
柴田 清子
文化祭
大の字で空をみてゐる文化祭
亀山祐美子
へんなおじさん袋背負いて文化祭
野﨑 憲子
文化祭青空が追っかけて来る
柴田 清子
待ち伏せる恋もあるらん
田口  広
人類の火星へ行く日文化祭
島田 章平
塩からきをとこの耳や露けしや
亀山祐美子
芋の露現住所はここらです
田口  浩
朝露や跳ねる大魚を嗤ふ蛇
野﨑 憲子
もう少しこの世あります草の露
鈴木 幸江
三十七兆生と死の夜露
島田 章平
夕露や篭脱鳥(かごぬけどり)も喧しき
野澤 隆夫

【通信欄】&【句会メモ】

島田 章平さんより:『俳壇10月号』の「新・若手トップランナー/月野ぽぽな」読みました。ぽぽなさんの「ありのまま」を読んで、ぽぽなさんの俳句の原点が何か分かった様な気がしました。2001年の同時多発テロが大きな影を落としていたのですね。あの時、ニューヨークにいた日本人の、初めて知る異国での恐怖だったと思います。 ぽぽなさんの平和を願う心の深さを感じました。また、ぽぽなさんのいつも流れている様な音律の原点も、納得が行きました。すべては兜太先生と出会われてから、始まっているのですね。「金子兜太」と言う大樹をのぼりながら、月野ぽぽなと言う蝶が今、まさに朝日の中に羽化を始めている、そんな印象でした。これから、どの様な美しい翅が輝くのか楽しみです。併せて『俳句10月号』角川俳句賞作家の四季・秋「いちまいの水」拝見しました。「ひりひりと九月十一日の空」この句を詠んだ時、瞬間に同時多発テロの映像が目に浮かびました。あのとき、ぽぽなさんはニューヨークにおられたのですね。あらためて、ぽぽなさんの孤独とそれを受け入れる心の強さを感じました。「朝顔の花びらはいちまいの水」【いちまいの水】「きょう咲いた朝顔あした咲く朝顔」【一粒】素晴らしい感性ですね。水はどのような形にもなれる。しかし、水は水。何物にも同化しない水の強さ、優しさ・・・

10月の句会は、体調を崩している人も居て、参加者は10名と少なめでしたが、事前投句の合評では、歯に衣をきせぬ意見が続出し、「これぞ句会!」の醍醐味を満喫しました。回を重ねるほどに多様性に富む新鮮な作品に出逢え大きな元気を頂いております。本句会は、年11回の開催で、今回、88回、8年目を迎えました。ひとえに、ご参加の皆様のお陰様でございます。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。次回のご参加を今から楽しみに致しております。   

写真は、燧灘の夕日です。    

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