平成28年度 「海程」秩父俳句道場☆☆春はラップのリズムで! 秋はスーパームーンの下で!
少し時間が遡りますが・・晩春の4月9日(土)、10日(日)と、秩父荒川岸の養浩亭で第85回「海程」秩父俳句道場がありました。 金子兜太先生は、とてもお元気で、夕食の宴には、「秩父音頭」を歌ってくださいました。しんしんと心に沁みる歌声に、会場は熱い感動に包まれました。
今春のゲストは、金子先生と東京新聞の「平和の俳句」の選者をなさっている作家のいとうせいこうさんでした。イベントの中で、いとうさんが、ラップを日本語で最初に演奏した方だということを知りました。♪♪ラップのリズムは、縄文のリズムまた俳句のリズムWO!♪♪ 金子先生を親戚のおじさんのようだという、せいこうさんと先生の対談は、大盛り上がりで、興味深い話が続出しました。
さくら咲くしんしんと咲く山国なり・・金子兜太
鳥語知りたし春の河原の耳・・・・・・いとうせいこう
沈黙を緑とおもう蝶生れよ・・・・・・堀之内長一
わたくしの中の遠さへ燕来る・・・・・柳生正名
母がことばを教えるように木の芽雨・・宮崎斗士
くちなはや河成段丘古秩父湾・・・・・鈴木孝信
笹舟を誰かが流す峡の春・・・・・・・遠藤秀子
一泊は急流白い落し角・・・・・・・・遠山郁好
絶妙な奇数ラップするさくら・・・・・茂里美絵
児が遊ぶうさぎのやうな春である・・・岡崎正宏
桜花爛漫天才というおもちゃ箱・・・・寺町志津子
そして・・初冬の11月12日(土)13日(日)、第86回「海程」秩父俳句道場が開催されました。その見事な紅葉に、川岸は人人人でごった返す賑やかさでした。
今回も、 金子先生は、とてもお元気で、97歳のお歳を感じさせない超過密スケジュールの中ご指導くださいました。夕食の宴の折の兜太先生の秩父音頭は、月光の滴のように会場に哀愁を籠めて響き渡りました。
ゲストは、今回で2回目の宇多喜代子さん。気さくなエネルギッシュな笑顔に海程の仲間たちは魅了されました。お二人の対談は、昇華された夫婦漫才のようで、思いっきり笑えて、そしてしみじみと考えさせられました。俳縁の素晴らしさを存分に感じる二日間でした。 宇多さんのイベントの中、中上健次のお母さんのお話が深く心に響きました。文字の読めないお母さんが、健次の幼少期に、色んな物語を話してくれたことが、後年の、彼の文学世界の形成に大きな影響を与えたそうです。
秩父困民党ありき麦踏みの人ありき・・・・・金子兜太
短日のアケボノ象をみんなで見る・・・・・・宇多喜代子
立ち帰るわが定点の冬木かな・・・・・・・・安西 篤
美しい一羽どこまでも枯野・・・・・・・・・山中葛子
柞紅葉まとい鬼の子秩父の子・・・・・・・・高木一惠
石榴熟る弥陀に鴉声のおびただし・・・・・・関田誓炎
不時着のような結婚新豆腐・・・・・・・・・芹沢愛子
宇多先生赤鶏頭が真正面・・・・・・・・・・日高 玲
常世より来て笑ひたる鯨かな・・・・・・・・五島高資
鳥の重さ言葉の重さ鳥渡る・・・・・・・・・室田洋子
狼のまゆげ十一月の山脈(やまなみ)は・・・野﨑憲子
俳句道場が終わり、秩父鉄道上長瀞駅の夕暮れのベンチで熊谷行の電車を待っていますと、線路を挟んだ駅舎の上に、ゆっくり昇ってきたのが、スーパームーンでした。 仲間数人と思わず歓声を上げました。
Posted at 2016年12月10日 午後 11:31 by noriko in 「海程」の窓 | 投稿されたコメント [0]