2019年10月20日 (日)

第一回「海原」全国大会in高松&小豆島

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10月12日からサンポートホール高松第2小ホールをメイン会場に、「海程」主宰金子兜太先生のご子息眞土様ご夫妻を特別ゲストにお迎えし第一回「海原」全国大会in高松&小豆島が開催されました。

台風19号接近の中、関東を中心にキャンセルが相次ぎましたが、前泊組を中心に、関西圏、四国、九州、北海道、ハワイからの仲間が集まり、台風までも巻きこんだ熱い大会が開催されました。写真は、三賞受賞者(海原金子兜太賞:すずき穂波さん<代理川崎益太郎さん>海原賞:小西瞬夏さん・水野真由美さん・室田洋子さん/海原新人賞:三枝みずほさん・望月士郎さん)の授賞式の模様です。皆様、おめでとうございました。

第一回「海原」全国大会参加者の一句  <句稿順・敬称略>

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おなごせんせー谺して海天の川 伊藤  巌
ネズミの喉しっかと黒猫夏野ゆく 竹本  仰
雨気孕む肉(しし)よ野越えの人形座 野田 信章
舟虫の群れて軍靴の迫り来る 山内 祟弘
桑の実をふふめば雲伏し雲ゆきぬ 水野真由美
天地や同行二人あかとんぼ 河西 志帆
老人ホームに虫ピンで止められし晩夏 藤野  武
巻き癖の海図の上へ青檸檬 鳥山由貴子
まくなぎや明るい出口までふたり 小松  敦
星雲の化石を背負ふ蝸牛 増田 天志
海原に光トラック島に虹 島田 章平
白障子あたりいちめん明るいフェイク ナカムラ薫
晩夏光鳥籠のようとらわれて 川田由美子
夜の端(はた)ときどき纏ふ蛇の衣 榎本 祐子
指紋という小さな銀河針しごと 望月 士郎
オオカミが海越えてくる彼岸花 安西  篤
夕野分しくしく匂ふ瀬戸の海 小西 瞬夏
颱風一過金剛曼陀羅浮上せよ 鈴木 幸江
イサムノグチの石の声聴く野分中 赤崎ゆういち
蜂の巣を焼いて讃岐に発ちました 若森 京子
野分かな四捨五入して讃岐路へ 大西 健司
秋風や地球の骨を削ぐイサム 十河 宣洋
兜太来し讃岐に秋の螢かな 河田 清峰
神無月さわれぬ石の艶々と 峰尾 大介
羽抜鶏秋風を抱き立ちにけり 佐藤 稚鬼
秋天や骨肉のごと雲ちぎれ 藤田 敦子
百年を肯ふ夕陽秋思なる 田中 亜美
生兜太ここにいます瀬戸晩秋 室田 洋子
宇宙への石の直立熟し柿 白石 修章
ふかし藷つくり笑いを真似てみる 大野美代子
台風のエネルギーなんやかんやと肉を食べ 増田 暁子
他界から野分呼び込む師でありし 松本 勇二
颱風圏子は避難所へ夫家に 藤田 乙女
楮の実弾ぜて異邦人愛す 大西 政司
分水嶺越れば麦の野分かな 滝澤 泰斗
芭蕉折れる旅は終わりか始まりか 江良  修
秋夕焼ノートひらきっぱなしです こしのゆみこ
つれづれに同志現わる野分時 中野 佑海
太宰の顎破(や)れ蓮の中の科(とが) 久保 智恵
四方指とおくに我が滑空の鳥影 佐孝 石画
安住とう気付かぬ支配野分立つ 藤原美恵子
羽衣はまだか金秋の四方指 亀山祐美子
白秋やもろみ大桶(おおこが)百ならぶ 西  美恵子
秋深し木の定規なら計れます 綾田 節子
秋潮は波光の大河四方指し 山下 一夫
蝉の殻分教場に子らの声 川崎益太郎
ふくふくと息するもろみ秋深し 石川まゆみ
たおされた木のうえに風があつまる 三枝みずほ
四方指の秋空飛べるまで待つ 松井麻容子
分教場かけっこたし算草の花 太田 順子
台風をひと蹴りしたり讃岐女 漆原 義典
醤油蔵涼し大福帳の文字薄れ 樽谷 寛子
秋陽落つ小舟一艘点として 新田 幸子
島にオリーブ廃校にわらべ歌 川崎千鶴子
秋光(あきかげ)や醤(ひしお)に醤のスピリット 堀之内長一
秋夕焼島はゆっくり鍵をかけ 奥山 和子
台風一過伏字のごとく無人島 武田 伸一
ひしおの香沁みて良妻天下の秋 高木 一惠
秋風にさらす一身四方指 高橋 晴子
瀬戸内の秋の波光よ吾が散骨の 谷口 道子
醤油眠る藏は優しき黙を産み 桂  凜火
秋天を蹴り銀盤の瀬戸へ降る 藤川 宏樹
さわやかや展望空まで自由席 永田タヱ子
白波や島にオリーブの生活(たつき)あり 疋田恵美子
お接待ふたつずしんと萩の餅 佐藤 仁美
島影と船影と星影と秋入日 金子 斐子
胸ぐらを摑む白雲良夜かな 野﨑 憲子

公開講演会(10月12日 会場:サンポートホール高松第2小ホール <出演順・敬称略>

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田中亜美

演目「若い世代に広がる俳句」: 若い世代へ向けての熱いメッセージであった。小中学生から高校生、大学生へと実際の学校での俳句の実践を具体的に示し、特に、俳句甲子園については、今年のデーターを俳句甲子園のHPから引用して受賞14作品を並べ、一句一句を亜美さんが二字で表現したのが興味深かった。「俳句を若い世代に広める意義は、集中力を養う。自己肯定感をはぐぐむ。他者を受け容れる姿勢を学ぶ。言葉(バーバル)の鍛錬で養うノンバーバルな感性である」と締めくくった。魅力たっぷりの気合みなぎる三十分間だった。

安西  篤

演目「金子兜太という存在ー句集『百年』の魅力を探る」: 金子兜太先生の遺句集『百年』について、晩年の人間像をあからさまにさらけ出した多面性を持つ存在者の立ち姿であるとし。句集『百年』を「戦争への危機感と震災被災地に寄せる思いを熱く訴える」「人間にとっての生き死にの問題」「産土の地へのふたりごごろ、アニミズムの世界」「一個の<荒凡夫>として生きることを目指す『存在者』の有無」と4つに分類し例句を挙げ、堀之内長一編集長との対談形式で句集『百年』をわかりやすく解説した。

「海原」全国大会懇親会(10月12日 夜 ホテル「花樹海」にて)

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若森京子さんの乾杯の音頭で、懇親会は始まりました。続いて海原三賞受賞者の挨拶がありました。皆様とても嬉しそうでした。おめでとうございます!そして各地からの参加者の紹介と続き宴もたけなわの頃、高松の盆踊り「一合まいた」の三味線と歌が流れました。地元の民謡保存会東尾会の方の手ほどきでたくさんの方が団扇片手に「一合まいた」を踊りました。中には、舞台に上がって踊る人たちも居ました。初めてなのに、皆様、とても良い手つき腰つきでした。

【大会メモ】

全国大会開催に際しては、一年余りにわたって中野佑海さん達と徐々に準備を進めてまいりました。総合司会の中野さん、句会統括の増田天志さん、吟行アドバイザーの藤川宏樹さん、横幕製作の漆原義典さん、そして作業を細かく役割分担するよう貴重なご意見を言ってくださり、チラシ配りや最後まで片付けをお手伝いくださった章平さん。受付責任者の河田清峰さん。鈴木幸江さん、佐藤仁美さん、三枝みずほさん、田中怜子さん、樽谷寛子さん、小西瞬夏さん。当日お手伝いくださった方々、台風接近の中ご参加くださった海原の諸氏に心よりお礼を申し上げます。お陰様で素晴らしい大会になりました。ありがとうございました。小豆島国民宿舎で観た満月を生涯忘れません。(野﨑憲子記)

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