第145回「海程香川」句会(2023.11.11)
事前投句参加者の一句
恋の句を詠みたき日なり冬薔薇 | 柾木はつ子 |
疎に密に語り来し日々そばの花 | 野田 信章 |
銀杏散る私を裁くのは私 | 柴田 清子 |
蕎麦咲いて白一面の昏さかな | 三好つや子 |
御堂筋はトークの歩巾黄落期 | 重松 敬子 |
龍淵に潜むほっといてと言った | 薫 香 |
立ちん坊にお告げのような流れ雲 | 榎本 祐子 |
思い切りここ叩いてよね月光 | 竹本 仰 |
消しゴムで消えそうな母 芒原 | 飯土井志乃 |
ぺちゃくちゃと四五羽の雀小六月 | 佳 凛 |
らっきょう食ぶつぎつぎ生まれくる言葉 | 小山やす子 |
山の神にお祈りですか鵙の声 | 漆原 義典 |
提灯にむじなと書きし夜の果て | 中村 セミ |
青鷹大渦よりたつ潮煙 | 丸亀葉七子 |
もう一杯もう一杯と重ね重ねて志ん生忌 | 銀 次 |
渡り鳥隠し持つ海の道標 | 菅原香代子 |
もの言わぬ子に友ひとり帰り花 | 松本美智子 |
黄落を和解の色と思うかな | 佐孝 石画 |
巧みなる夫の゛技です栗御飯 | 疋田恵美子 |
花芒 僕を分別して靡く | 津田 将也 |
十三夜そんな華ある漢ゐて | 鈴木 幸江 |
仏壇に位牌と並ぶ蝮酒 | 稲葉 千尋 |
綾取の川へ梯子へはうき星 | あずお玲子 |
秋深むその周辺をおじいさん | 松本 勇二 |
栗茹でる選に洩れたる句の数多 | 寺町志津子 |
ばつた跳ぶ鳥になる練習をする | 川本 一葉 |
シャケ高菜ツナマヨおかか秋深し | 田中アパート |
君を追う急登錦秋地蔵岳 | 岡田 奈々 |
あたたかや方言混じるネット句座 | 塩野 正春 |
民が民憎みどうするましら酒 | 新野 祐子 |
君へ檸檬 発火しそうな放課後 | 松岡 早苗 |
菊の香や国境線無き島の国 | 野口思づゑ |
ただ枯葉散らす風見てカフェテラス | 風 子 |
絵も本もピアノも売りて日向ぼこ | 大浦ともこ |
金秋の頂き瓦礫心の臓 | 亀山祐美子 |
花野来ても逆さ世界あるらしや | 福井 明子 |
柿明かり日暮れの街が消えかかる | 十河 宣洋 |
山寺はこっちよこっち秋黄蝶 | 三好三香穂 |
白浪の海湧く日々だ冬炬燵 | 豊原 清明 |
秋深し すり寄る猫の痩せし背 | 植松 まめ |
含羞も死語となり果て秋暑し | 時田 幻椏 |
<江戸東京たてもの園にて>大樽や今年醤油の柄杓売り | 森本由美子 |
孫を愛づ茂吉の髭が光る冬 | 田中 怜子 |
踏切によく日のあたる昭和かな | 男波 弘志 |
秩父三日海馬にいつぴき秋蛍 | 若森 京子 |
古典より戦ひも解くカンナ燃ゆ | 川崎千鶴子 |
一人旅秋の光に乗り換えて | 河野 志保 |
積ん読に余生を照らし寒くなる | 山下 一夫 |
深層心理ってマフラーに埋まる耳 | 三枝みずほ |
この砂も地球のかけら星月夜 | 向井 桐華 |
人道回廊 秋風の民ゆく | 島田 章平 |
秋の雨白湯の匂ひの豊かなり | 石井 はな |
冬霧のデモ熱くゲバラを語りし人 | 岡田ミツヒロ |
枯木めぐりし眼底なぜか月に戻る | 佐藤 稚鬼 |
金曜の夜長気がかりが深爪 | 藤川 宏樹 |
草城子の一句引き寄せ郁子の実や | 大西 健司 |
捨て置けば死ぬ猫である娘の秋 | 淡路 放生 |
<悼む 竹内義聿氏>朝顔の裏路地愛す男かな | 樽谷 宗寛 |
街角のたばこ屋閉店秋高し | 山本 弥生 |
烏瓜ひたすら一隅照らす役 | 山田 哲夫 |
水を脱ぐ大白鳥の大志かな | 小西 瞬夏 |
早慶の秋の陣過ぎひとりなる | 滝澤 泰斗 |
非力憂えば濡れ縁にカメムシ | 伊藤 幸 |
母の忌や集う兄妹みな熟柿 | 増田 暁子 |
山粧ふ蔵王県境枯損木 | 河田 清峰 |
長き夜の糸巻きからんと奥秩父 | 桂 凜火 |
大陸に国境多し鳥渡る | 月野ぽぽな |
スーパーの長きレシート冬支度 | 菅原 春み |
錯覚の恋に浸って戻り花 | 藤田 乙女 |
秋晴れやぽっかり浮かぶ河馬の尻 | 稲 暁 |
秋天の喪の家蟹の横歩き | 荒井まり子 |
旅立ちのおへそにしまう夜寒かな | 高木 水志 |
五十年愛はなくとも小六月 | 吉田 和恵 |
冬のたんぽぽ明日は南へ飛ぶ構へ | 谷 孝江 |
みんな星の子とほき渚のものがたり | 野﨑 憲子 |
句会の窓
- 松本 勇二
特選句「踏切によく日のあたる昭和かな」。季語はありませんが、素晴らしい郷愁感を醸し出しています。昭和の時代は踏切にも詩がありました。
- 豊原 清明
特選句「らっきょう食ぶつぎつぎ生まれくる言葉」。「つぎつぎ生まれくる言葉」の源泉は食べることです。らっきょうの力かと思う。問題句「孫を愛づ茂吉の髭が光る冬」。「髭が光る冬」が好きです。光ることが嬉しい。
- 小西 瞬夏
特選句「鉄条網から顔出して朝顔よ(月野ぽぽな)」。鉄条網がある景、基地か、国境か、向こうは見えるけれど、決していくことができない場所。そこから朝顔は、そんな人間の分断を気にすることなく越境してくるのだ。「よ」という呼びかけがしみじみと響く。
☆天志さんと、それほどたくさんお会いしたわけではありませんが、私の中での存在は大きい方でした。残念でしかたありません。ご冥福をお祈りするばかりです。
- 柴田 清子
特選句「消しゴムで消えそうな母 芒原」。母への思いの深い佳句と感じました。私もこんな母になりたい。特選句「踏切によく日のあたる昭和かな」。俳句の枠からとび出したような、やさしい言葉で、季語の有る無しを意識させないだけのものが、詰まっている昭和を、よく一句に。感心させられました。
- 風 子
特選句「菊の香や国境線なき島の国」。国境線がないことでかろうじて守られている平和。この恵みに甘んじていていいものか。「早慶の秋の陣過ぎひとりなる」。青春の真髄。過ぎ去ったあの頃。「錯覚の恋に浸って戻り花」。戻り花が面白い。どんなことなのか熱燗でも呑みながら聞かせてください。
- 鈴木 幸江
特選句評「もう一杯もう一杯と重ね重ねて志ん生忌」。”分かります。分かります。”多分私よりご高齢の方ではないでしょうか。(違っていたら凄い人!)私は、息子の志ん朝ですが、YouTubeで寝る前に、この頃よく聴いて心をリラックスさせたり、偲んだりしてます。父子とも酒をこよなく愛した、不世出の落語家でした。その創出する笑いは、奥深く、世俗を超えていました。嬉しくて特選にさせていただきました。
☆天志さんのこと、お知らせくださり有り難うございました。 お陰で、ご一緒に黙祷させていただきました。天志さんとは、あの絶妙な距離感が大好きでした。それをキープしたまま、今は夜空の星になってしまいました。 芭蕉さん好きの天志さんと、一茶好きの私ではちょっと距離があるのは当然ですが、添付ファイルで、送っていただいた資料を拝読し、禅の教えや、人生旅人の宇宙摂理を持っていらしたことに 私と「どこか、もっと共鳴し合えたのではないか?」の心残りと、大きな身体と静かに何かと闘っているような生き様は、人の温もりを私に残して逝かれました。 心よりご冥福をお祈りいたします。きっと、星となって私たちを見守ってくれていることと信じています。
- 津田 将也
まことに残念ですが、特選句はありません。
- 岡田 奈々
特選句「御堂筋はトークの歩巾黄落期」。賑やかな大阪の様子が良く分かる。トークにも歩巾があったんですね。特選句「余生かな一切れの苺ケーキ残る(桂 凜火)」。これからの老後にも苺ケーキ様のたのしみが。何が起こるかお楽しみ。「銀杏散る私を裁くのは私」。結局は自分の罪悪感が自分を一番虐めている。ぃっきに銀杏が散る様な残念感。「らっきょう食ぶつぎつぎ生まれくる言葉」。俳句を作るものは言葉に飢えているので、らっきょう食べます。「幼子のどんぐり屋さん開店日」。こんな遊びをする子も少なくなってしまって、寂しくなった。また、孫と公園でごっこ遊びしたい。「巧みなる夫の技です栗御飯」。堅い殻など剥いてくれて有り難く美味しい栗飯頂きます。「絵も本もピアノも売りて日向ぼこ」。今流行りの全捨離。私もして、何もない部屋で清々しくお茶したい。「秩父三日海馬にいっぴき秋蛍」。秩父「海原」全国大会。皆と会い、話し、考え。記憶の海馬に少なからぬ火を灯せた。「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。マフラーで顔を隠し、目だけ出して、本当の私はマフラーの中。「旅立ちのおへそにしまう夜寒かな」。山形吟行に行く前に寒いよと聞かされて、それは、飲み込んで出掛けた。その不安がよく出てる。私はおへそでなく、トランクだけど。
- 十河 宣洋
特選句「兜太への道や無患子零れおり(大西健司)」。海原の大会で秩父の椋神社へ行った。境内には無患子の実が沢山落ちていた。その実を拾ったりしながら、ここは兜太へ続くところという感想を持った。秩父困民党がここから立ち上がった歴史的な処でもある。特選句「母の忌や集う兄妹みな熟柿」。お母さんを偲びながら、話題は色々ある。懐かしい話が多い。でもみんな年取ったねというところ。熟柿は笑いがある。楽しい法要になったようである。お母さんもそれを望んでいる。
- 桂 凜火
特選句「君へ檸檬 発火しそうな放課後」。檸檬とくれば梶井基次郎ですが、高校生らしい一途な感じがよかったですね。令和の恋ですね。
- 樽谷 宗寛
特選句「水を脱ぐ大白鳥の大志かな」。気持ちの良いお句。映像が浮かび、私も夢をいただき元気になりました。白鳥が好きだからかな。「母性とはタロイモ秋の土固し」。ハワイ旅行で食べたタロイモすごく美味しいかつた。お値段も高かったことが今も忘れられないでいる。母性とはが良い。
- 藤川 宏樹
特選句「そこここに谷内六郎秋夕日(三好つや子)」。週刊新潮の表紙を描き続けた谷内六郎。政界・芸能界の裏や男女絡みの話に興味が湧き、ついページを繰ったものだ。応接卓上に缶入りピースと灰皿、「週刊新潮」。そこここに昭和。私がようやく社会人になりしばらく、彼は急に世を去り平成に、そして令和に。・・・昭和は遠くなりにけり・・・
- 植松 まめ
特選句「ふんふんと亡犬来る気配月冴える(寺町志津子)」「捨て置けば死ぬ猫である娘の秋」。 今月は奇しくも犬と猫の句を特選にしました。今まで8匹の犬を飼いましたが、今年6月最後の飼犬を亡くしました。月を見ると犬たちを思い出します。また現在難病の猫の看病をしています、「捨て置けば死ぬ猫である……」わが家の猫もそうです。まだ2歳。?せ細りながらも彼は懸命に生きています。
- あずお玲子
特選句「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。埋めるんじゃなくて「埋まる」耳に納得。特選句「金曜の夜長気がかりが深爪 」。金曜の夜長、独りの時間をさぁ楽しみますよという時に深爪がしんしんと気になる。夜長の邪魔をする。この感じに共感。きっと足の小指に違いない。
☆増田天志さんの訃報に驚いて、とても残念です。勝手にまた話が聞けると思っていたので。 ご冥福をお祈りします。「笑って別れてあっけなく冬銀河(あずお玲子)」
- 月野ぽぽな
特選句「花芒 僕を分別して靡く」。内省的な世界の描写に惹かれた。分別する、と聞いてすぐ思い浮かんだのは「家庭ゴミを分別する」のように、種類によって分けること。意識を自分に向け、自分を、自分の中にある様々な部分に分けてみて、どれひとつとして排除することなく、受け入れ、労わり、励ますことを通して、新たな全き一つとしての自分に変容してゆく心の働きが見えてきた。それは瞑想そのもの。自分の慈愛を惜しみなく受けて自分は限りなく満たされ、陽を浴びる花薄のように光り輝く。慈愛、自愛の一句。憲子さん、みなさん、今年もご一緒できて幸せでした。どうぞご自愛され、良いお年をお迎えください。
☆天志さん、急逝の知らせに驚いています。2018年6月に二泊三日の花巻遠野吟行を天志さんとご一緒した時のことを今、思い出しています。背が高くハンサムな天志さん。二枚目かと思いきや、ユーモアたっぷりのお話で、天志さんの周りには笑顔が絶えませんでしたね。句会では、天志さんの作品や評、そして穏やかな語り口から滲み出る俳句に対する真摯な姿勢から、多くを学ばせていただきました。ありがとうございました。再会を約束して解散した時も、やはりあの優しい笑顔でいらっしゃいましたね。昨年、海原誌上で「にんげんとは何 ひまわりに砲弾」と、人間の現状を見、人間の本質を問うていた天志さん。先月、憲子さんが添付してくださった天志さんによる芭蕉のレポートの中で、山寺での「閑さや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉」に梵我一如を見抜いた天志さん。心でいくたびも「芭蕉さん」と語り合われたのでしょうか。レポートを読むうちに、わたしには、天志さんが、芭蕉さんに導かれて悟りの境地の安らかさの中にいらっしゃるような気がしてきました。天上で芭蕉さんと、兜太先生と、句座を共にされているかもしれませんね。今生で天志さんと句座をご一緒できたことに心より感謝いたします。心よりご冥福をお祈りいたします。合掌。ぽぽな
- 岡田ミツヒロ
特選句「らっきょう食ぶつぎつぎ生まれくる言葉」。らっきょうを噛むバリバリと勢いのよい音とリズム感、さらに脳にまで沁みる酸味の刺激。弛緩した脳細胞も覚醒し新鮮な言葉を紡ぎ出してくれそうだ。特選句「みんな星の子とほき渚のものがたり」。天界より選ばれて人はそれぞれ水の星・地球へと送り出される。地球は渚、人は水と戯れ、水に翻弄されて時を過す。そしてみな渚のものがたりを残し、人それぞれの星、天界へと帰る。
- 石井 はな
特選句「錯覚の恋に浸って戻り花」。この歳になって昔を思うと、恋って錯覚なんだとつくづく思います。そんな錯覚に浸っていた若い自分が愛しいです。
- 川本 一葉
特選句「冬のたんぽぽ明日は南へ飛ぶ構へ」。明日のたんぽぽが目に浮かびます。飛ぶ構へという下五が生きていると思います。未来のことを言うのは楽しいです。
- 大西 健司
特選句「秋晴れやぽっかり浮かぶ河馬の尻」。殺伐としたなかこの長閑さが良い。特選句「シャケ高菜ツナマヨおかか秋深し」。問題句のほうが似合うのかも知れないが、コンビニに並ぶおにぎりの平和な装いが実に楽しい。
☆天志さんのことはあまりにもショックです。やはり同世代だけに急死は他人事では無い事態です。田舎だと同じ敷地内の離れに一人いたりしますが発見が遅くなるのはつらいです。いつ何事がおこるかもわかりません、お互いに健康第一でいきましょう。天志さんのご冥福をお祈りします。
♡ところで過日行われた東海地区現代俳句協会青年部主催の第6回ジャズ句会LIVEin名古屋へ行ってきました。やはり楽しいところには人は集まります。企画力が大事なんだと感じました。19歳から93歳まで30数人の参加があり熱気溢れるものでした。といっても俳人はお酒などを飲みながらですが。一流ミュージシャンの演奏は最高。一人一人の俳句に対し即興の演奏をするという無茶なお願いに見事に応えてくれました。過去の様子がユーチューブで見られるはずです。よければご覧下さい。辛い出来事に負けず頑張りましょう。
- 河田 清峰
特選句「水を脱ぐ大白鳥の大志かな」。この句を一読して、突然亡くなった増田天志さんの姿が浮かんできた。何もかも脱ぎ捨てて大きく羽ばたいて飛び立った白鳥そのものの天志さん。連句、書道など多芸多彩な人であった。惜しまれてならない‥
- 吉田 和恵
特選句「母の忌や集う兄妹みな熟柿」。とかく母を後盾として来た兄妹、年を経て母の忌に集えばみな枝にぶら下がる熟柿のようではないかと。ちょっと哀しく可笑しくも兄妹の絆を感じさせる一句です。
- 塩野 正春
特選句「大樽や今年醤油の柄杓売り」。なんか句の中から香りが漂うような、素晴らしい情景です。醤油作りのは知識のない私ですが大樽の中に出来上がった醤油の味は瓶詰めされ市販されるものとかなり違う気がします。数千年前から日本人の味を支え、湯浅醤油が発展させキッコーマンらによって今や世界中の調味料です。出来立ての一滴を柄杓で受け取るとはなんと贅沢なことでしょう。特選句「古典より戦ひも解くカンナ燃ゆ」。作者の意図とは違うかもしれませんがアメリカ南北戦争を生き抜いたスカーレットオハラを思い起こします。アトランタの荒野で、結局一人になったスカーレット、カンナだけが咲き誇ります。ちなみに”風と共に去りぬ”の映画、米国テク二カラー映画の最初で、ロシアのアグファカラーと国力をかけて戦ったようです。いい戦いでした。主役はリリアン・リーでしたかね。美しかった!これで今年は最後です。 いささか気が早いのですが健康で安泰な新年を祈ります。
- 稲葉 千尋
特選句「この砂も地球のかけら星月夜」。なんと美しい句。この美しい地球に戦の話し悲しい。星月夜が美しすぎる。 ?山形吟行、お疲れさまでした。楽しい旅行だったとおもいます。ますますのご健吟をお祈り申しあげます。今号はいっぱい好きな句がありました。採れなくて残念です。有難うございました。
- 新野 祐子
特選句「栗茹でる選に洩れたる句の数多」。「栗茹でる」の取り合せがユーモラスですね。選に洩れてもめげない作者。少々つらいことがあっても乗り越えていくパワフルな作者が見えます。『朝和む「もってのほか」てう菊の菜』。前の夜何か不穏なことがあったのでしょうか。香りよく彩のきれいな菊のおひたしを食べて和んだのですね。
♡十月二十九日から三十一日に山形吟行に来てくださった岡田奈々さん、亀山祐美子さん、河田清峰さん、島田章平さん、田中怜子さん、野﨑憲子さん、三好三香穂さん、ありがとうございました。本当に楽しい三日間で、この年のとっておきの思い出になりました。個性的かつ魅力的な方々とご一緒できたこと、大きな刺激になりました。増田天志さんが来られなかったことを心配していましたが、亡くなっていたなんて。皆さん、茫然自失のことと存じます。増田さんのご冥福を祈るばかりです。
山形吟行では、ほんとうにお世話になりました。まさか新野さんが、マラソンランナーだったとは思いませんでした。フットワークの軽さに驚きました。お陰様で、とても充実した楽しい吟行になりました。ありがとうございました。天志さんの事は、未だに信じられない思いですが、きっと私たちと一緒に山寺やお釜や地蔵岳を吟行していらしたと、今は強く感じています。(憲)
- 山本 弥生
特選句「隠れ段畑老婆が短い人参掘る(津田将也)」。住み馴れた過疎地を老いても離れず無農薬の短い人参を段畑で一人収穫している姿が見えて来る。令和の時代である。
- 中村 セミ
特選句「踏切によく日のあたる昭和かな」。上手いと思う。何かの色々な感慨をかんじます。
- 松岡 早苗
特選句「一人旅秋の光に乗り換えて」。「秋の光に乗り換え」るという表現がとても素敵です。初めての土地で電車から降りると、キラキラした秋の日射しがいっぱい。電車を乗り継いで次はどこへ行こうか。気ままな一人旅の醍醐味を感じました。特選句「非力憂えば濡れ縁にカメムシ」。布団を干すにしてもちょっと物を動かすにしても、寄る年波には逆らえず、自分の非力を痛感させられるばかりです。濡れ縁のカメムシはちょっとやっかいですが、クスッと笑える光景でもあり、楽しく拝読いたしました。
- 野田 信章
特選句「草城子の一句引き寄せ郁子の実や」。森下草城子氏とは、「海程」の初期から中期にかけて活動された方で、濃尾平野の一角に腰を据え、その自然風土を踏まえての精神風土の形成を目指された先人である。この草城子氏との交流があり、いまも熱き想いを抱いている作者の述懐の念のこもった一句である。郁子の実との確かな出合いがあり、通草では、この句の軽妙さは出ない。私の感銘を覚える草城子俳句の二句を下記へ。「朝のガラスに富士がきており暗し(草城子)「月を見たし蜩聴きたし冬の山(草城子)
☆増田天志氏の訃報を受けて驚いているところである。初期作品の中に、<もみじ山おれは天動説でゆく><洗っても洗ってもこおろぎの貌>等の若作りではあるが諧謔味のある句が見受けられていたので、中年から老年にかけての厚みのある諧謔性のある本格俳句を期待するものがあった。それも今となってはかなわぬこととなった。故人となられた天志氏のご冥福を心から祈るばかりである。
- 増田 暁子
特選句「蕎麦咲いて白一面の昏さかな」。蕎麦の花の白一面の中、周りや世の中は昏いと思う日々です。特選句「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。深層心理ってほとんどの人々は耳を蓋して、本音を口にしない。マフラーに埋まって聞こえぬ気配です。いけないと思う時もありますが、本当にその心理は判ります。お上手な句ですね。
☆増田天志さまへ。謹んで哀悼の気持ちを込めてお悔やみ申し上げます。句会ではひょうきんで明るく、よくお話しましたね。名字が同じで、最初の頃紙面に並んで名前が出るので、ご自分から声を掛けていただきましたね。関東の句会にもたびたびお会いし、ニヤッとした笑顔が思い出されます。まだまだお若いのにと思うと、言葉になりません。心残りがいっぱいあるでしょうに、本当に残念ですが安らかにお眠りください。
- 山田 哲夫
特選句「秋晴れやぽっかり浮かぶ河馬の尻」。爽やかな秋空の元でのユーモラスな風景を鮮やかに映し出した。こういう句に出会うと心もかろやかになり、秋晴れのように晴れ晴れした気分になる
- 柾木はつ子
特選句「綾取の川へ梯子へはうき星」。発想がユニークですね。とても柔らかい感性をお持ちの方と思いました。特選句「大陸に国境多し鳥渡る」。日本は島国なので陸続きに国境のある生活というものが想像出来ませんが、どうしてもこのような地では紛争が起こりやすいのでしょうね。かと言って国境は不可欠だと思いますし…その点渡り鳥には自由があるけれど…
- 河野 志保
特選句「黄落を和解の色と思うかな」。「黄落を和解の色と思う」発想にひかれた。そして深く納得。あの静かでたくましい営みの前では、どんな諍いも消える気がする。作者は戦争が広がる世界も憂いているのかもしれない。
- 三好つや子
特選句「秋深むその周辺をおじいさん」。マラソンに出るかのような格好で走る老人もいれば、夕食のおかずを買っている背中が淋しそうな老人もいる。散歩の途中やスーパーマーケットでみかける姿を、優しいまなざしで捉えている作者に、共感が止まりません。特選句「水を脱ぐ大白鳥の大志かな」。春が来て大白鳥が北方へ帰っていくときの、水面から飛び立つ一瞬をみごとに詠んでいます。水を脱ぐという表現に、旅立ちの覚悟のようなものまで感じられ、注目しました。「三世代の看護師家系おみなえし」。微笑の似合う聡明な祖母と母と娘のありようを、清楚なおみなえしが語っているようです。「錯覚の恋に浸って戻り花」。照れくさそうにこちらを見ているあの人、ひょっとして私に気があるのかしら。そんな錯覚に弾けるひととき。戻り花は、帰り花でもよいと思います。
☆比叡山での勉強会や関西の定例句会でお会いし、俳句について熱く、楽しく語る天志さんが思い出されます。芭蕉の梵我一如、読んだばかりだったのに・・・とても淋しいです。ご冥福をお祈りします。
- 高木 水志
特選句「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。音の響きが心地よい。深層心理の曖昧な感じを耳という小さくて柔らかな部分に喩えて、冬の空気感を感じさせたところがいいと思う。
- 野口思づゑ
今回は特選が選びきれませんでした。「恋の句を詠みたき日なり冬薔薇」。次の句会で、その句を披露して下さい。「あたたかや方言混じるネット句座」。私も同じ感想を持ちます。馴染みのない地方の言葉のアクセントなどに温かさを覚えます。「絵も本もピアノも売りて日向ぼこ」。断捨離をされたのでしょうか。今までの活動を整理して、日向ぼこでリラックス。理想的ですね。「踏切によく日の当たる昭和かな」。高架線もなく、建物も低かった昭和でしたら、スペースのある踏切の日当たりは良かったに違いありません。視点が面白い。
- 菅原香代子
特選句「君へ檸檬 発火しそうな放課後」。青春を檸檬と放課後で表現していて見事です。「野辺送り栗鼠は木の実を運びをり」。秋の野辺送りの寂しさと、栗鼠のほのぼのとした温かさの対比がすばらしいと思いました。
- 榎本 祐子
特選句「秋深むその周辺をおじいさん」。おじいさんは周辺をぶらぶら歩き回っている。特に目的はない。強いて言えばぶらぶらが目的。深む秋の中を放下している。
☆天志さんの事、ショックです。残念ですね。以前、三田句会で時々お会いしていました。高松での全国大会の帰りも、小豆島からご一緒して楽しくおしゃべりした事を思い出しています。いつも楽しくされていて、面白がらせてくださっていましたが、どこか痛々しくて繊細な人だなと感じていました。またお会い出来ると思っていましたので悲しいです。ご冥福をお祈りするばかりです。
- 重松 敬子
特選句「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。深層心理って、本人も意識なく、面白く興味のわく分野である。作者の愛される性格なども垣間みえて微笑ましい一句。
☆天志さんの訃報。まだお若いのに残念です。句友が減ってゆくのは寂しい限りです。
- 滝澤 泰斗
今月の選句はまさに「選苦」・・・十句を選ぶのに苦労した。特選並選つけ難く異例ではありますが、甲乙なしで選をしました。「恋の句を詠みたき日なり冬薔薇」。確かに、冬の薔薇はそんな気にさせる狂おしさがある。「疎に密に語り来し日々そばの花」。特段の日が毎日あるわけではない。地味なそばの花の様な淡々とした日常が続いてゆく。「銀杏散る私を裁くのは私」。自分にけりを付けて行くのはもちろん自分だが、その心情を句にしたことに感心した。「蕎麦咲いて白一面の昏さかな」。白一面の昏さと見た眼力。「御堂筋はトークの歩巾黄落期」。銀杏を眺めながらか、落ち葉を踏みながらか、その風情が、トークを、歩みを緩やかにして詩情を醸し出してくれる。「ただ枯葉散らす風見てカフェテラス」。こちらは、東京丸の内当たりの秋の風情。気分のいい句。「柿明かり日暮れの街が消えかかる」。一際赤い柿が夕暮れに映えていたが、黄昏は短く町に帳が落ちて行く・・・たまらない寂寥感。「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。一読して、なるほどねと妙に納得した一句。「草城子の一句引き寄せ郁子の実や」。伊勢志摩の海程全国大会でお話を伺う機会があったった草城子さん。作者はどんな一句を引き寄せたか。懐かしさいっぱい。「水を脱ぐ大白鳥の大志かな」。白鳥が水面から立ち上がる時の水の形状がまさしく水を脱ぐように見える観察眼の確かさ。以上、十句以外に次ぎの句もきになったので、記しておきます。「ぺちゃくちゃと四五羽の雀小六月 」「栗茹でる選に洩れたる句の数多」「ばつた跳ぶ鳥になる練習をする」「冬霧のデモ熱くゲバラを語りし人」
☆後に、野﨑さんからのお知らせで知った増田天志さんの逝去の報。香川での「海原」全国大会でお世話になったかと思いますが、どうしても顔が浮かんできません。海程創刊五十周年アンソロジーの増田さんの情報によれば、私より若かった。自分より若い人の死は重く、つらい。お名前の通り「天使」になった増田さんの天国の平安をお祈り申し上げます。
- 伊藤 幸
特選句『日曜日「つぎ木犀の町停ります(あずお玲子)』。「銀河鉄道の夜」を思い出しました。メルヘンですね。休日はバスにでも揺られつつ心豊かに過ごしたいものです。
☆追悼 増田天志さん。「海程香川」花巻遠野吟行の際お話しして何故か気が合い、以来ラインでメールを交わすようになりました。既にご存知の方も多いと思いますが天志さんは多才な方で俳句はもとより絵画や彫刻と展覧会によく出品されておられました。そしてその画像が何度か送られてきました。九月、「『海程香川句会』に参加し温かく迎えて頂いた。作句は続けたい。」と嬉しそうなメールが届き、最近では「肥後の志士「宮部鼎蔵」のことが知りたいから近々熊本へ行きたい。」というメールも届いたばかりでした。残念です。折につけ俳句もやり取りしていましたので天志さんの遺句を数句挙げさせて頂きます。「父の出るまでトランプめくる晩夏」「まず音符こぼれ睡蓮ひらくかな」「どこまでが星雲の渦かたつむり」「龍鱗の乾き雲海に首のぞく」「蒼き眠りは幻想の大なまず」「薔薇の死はブルースざらつく喉元」「雲龍の目の蒼穹や芭蕉祭」
- 菅原 春み
特選句「大樽や今年醤油の柄杓売り」。スケールが大きく年末に締める句としてもとても好ましい。特選句「長き夜の糸巻きからんと奥秩父」。奥秩父の昔ながらの機織りの景。糸巻きだけを切り取ったろころが映像に。
- 男波 弘志
「野辺送り栗鼠は木の実を運びをり」。二つの出来事に抑々関係性がある訳ではないが、こうして一行詩になってみると如何にも何かがありそうではある。生と死の対比、それは全く表層のことに過ぎない。野辺送り、木の実を運ぶ、その営みが事も無げに持続していること、人間の暮らしの中にある血液の流れ、そういうものを感じればよい。秀作。「絵も本もピアノも売りて日向ぼこ」。一見この人は全てを手放しているようだが、そうではない。むしろ手放したことによって、それは心の中に何度も蘇ってくるのであろう。シャガールの青、怒涛のバッハ、ブッダの知恵、いま人類は危機的状況にある。人間が生み出した叡智、文明はもはや負の遺産でしかない。人間が文明だと思っていたものをいつ放擲するのだろうか?人間自身を消し去らなければこの状況は変えられないであろう。誠に残念だが世界の人々が冬の日溜りでうとうとする日は来ないであろう。秀作
- 薫 香
特選句「消しゴムで消えそうな母 芒原」。認知症になった母は何を聞いても、「うん」としか言わず、腰も曲がりいつもうつむいて座っている。生命力を失ったかのように、今にも消えそうな母を思い出しました。特選句「もの言わぬ子に友ひとり帰り花」。先日11月だというのに暖かな日が続いたせいか桜がいくつか咲いており、何だか嬉しくなりました。友達が一人いてくれるのは母にとって一輪の桜のように嬉しい。
- 佐孝 石画
特選句「踏切によく日のあたる昭和かな」。「踏切」はときおり、異界との境界を思わせる。待つという行為、渡るのをためらう緩やかな逡巡。この世あの世、現在過去。時空の歪み弛みを感じつつ、眼前の遮断器の、蜂の腹のような、色褪せた黄黒の遮断棒、そして眼下には錆びた鉄路と朽ちた枕木。無季であろうが、「日のあたる」という措辞が、小春日の実景を想起させ、また、過ぎ去った自らの昭和時代の思い出が、眩惑を伴い重なってくる。「踏切」という語の、季語に匹敵するイメージの蓄積率を再認識しつつ、五感を増幅させる「日のあたる」という語を加えた、作者のインスピレーションに脱帽する。
- 田中 怜子
特選句「柿明かり日暮れの街が消えかかる」。映像がきれい、穏やかな日本の風景 いつまでもそのままであってほしい。特選句「君を追う急登錦秋地蔵岳」。吟行を思い出します。大きなお尻が目の前に、そして中七下五で一気に登りつめる勢いが感じられるともに、ふーふー登った記憶が蘇ります。
- 疋田恵美子
特選句「十三夜そんな華ある漢ゐて」。私の知るとこらでも、数少ないですが確かに素敵なお方おいでますね。特選句「君へ檸檬 発火しそうな放課後」。今話題の大谷選手のような若者を想像しました。
☆増田天志さん、香川全国大会では、赤い運動靴を履き皆さんのお世話をされていたお方ですよね!まだまだお若い方でしたのに残念なことですね。お悔やみ申し上げます。 合掌
- 森本由美子
特選句「蕎麦咲いて白一面の昏さかな」。白一面という視覚的表現に昏さというキャラクターを加えて作者の内面を伝えようとしている。詠み手はその世界を共有することが可能と思う。
- 松本美智子
特選句「花芒 僕を分別して靡く」。人間はいろいろな便宜上,分けられる事があります。「男」「女」,「○○人」「■■人」,「キリスト教徒」「イスラム教徒」そして「必要」「不必要」・・・分別による差別,分断や憎しみ,悩み・・・そのような世界からは遠いところに身を置きたいと考えています。祈りをこめて・・・句を選びました。
- 大浦ともこ
特選句「蕎麦咲いて白一面の昏さかな」”白一面の昏さ”という表現に惹かれました。明るさの中にある昏さ、でしょうか・・。特選句「なびくねえあれが風だよねコスモス(竹本 仰)」飄々とした語り口調の句の中にあたたかさが伝わってきます。風に靡きながらも強靭なコスモスと響きあっています。
- 川崎千鶴子
特選句「旅立ちのおへそにしまう夜寒かな」。「夜寒」をおへそにしまうとはお洒落な表現で、素晴らしいです。私もあやかりたいです。
- 時田 幻椏
特選句「疎に蜜に語り来し日々そばの花」。現在主催している建築交流展のテーマが「ナラティヴ」、この語をキーワードに10ヶ月程思考して参りましたので、その勢いで。特選句「彼岸花凡句と言へど彼我に柄(藤川宏樹)」。その通り、良し悪しを越えて句は詠み手その人のものです。彼岸と彼我、気恥ずかしい語の選択ですが。問題句「在りし父母の駆け落ちほろん菊膾(伊藤 幸)」。ほろんはホロンですか?。私は秀句と思うのですが、如何でしょう。宜しくお願い致します。
- 飯土井志乃
特選句「旅のように晩秋絹の雲刷いて(榎本祐子)」。予測正しい日本の四季の味わいは何処へ行ったのでしょう。予測もつかぬ日々の明け暮れを重ね一足飛びに訪れた今年の秋は、まるで晩秋の貴婦人の様、納得の一句に仕上り美しい。
☆突然の、増田天志様の訃報、声も出ませんでした。思い返せば、「海程」第一回比叡山勉強会。矢野千代子様を中心に大津にて開催の折、故金子兜太先生を筆頭に海程の名だたる方々のご参加に、スタッフ一同緊張で張りつめておりました。その時、怖気ず、応対案内をした青年が、増田天志さんでした。金子先生も、気さくにお声をかけられ、楽しんでいらっしゃるご様子に、一同胸を撫で下ろし、会を終えた事が懐かしく思い出されます。それからの天志さんのご活躍は、皆様ご承知の通りです。兜太先生も黄泉の方となられ、此の度は又天志さんをお見送りする。身ほとりが淋しくなりました。俳句から遠ざかりがちな私にも句会の誘い水で今日まで止まらせていただき長きに渡る、ご厚情に深い感謝をしております。ありがとうございました。安らかな永遠を祈りつつ 合掌。
- 漆原 義典
特選句「母の忌や集う兄妹みな熟柿」。下五の熟柿がいいですね。この情景は、長男の私の家の座敷の仏壇の前に集まる情景そのものです。姉2人と、古希を迎えた私、そして弟の4人兄弟も、みんな年取りました。年老いた兄弟が会って仲良く話をすることはいいことですね。心が温かくなる句をありがとうございました。
- 稲 暁
特選句「銀杏散る私を裁くのは私」。自分の失敗が原因でうつ病になった経験がある私には「私を裁くのは私」のフレーズが心に沁みました。
- 佳 凛
特選句「らっきょう食ぶつぎつぎ生まれくる言葉」。らっきょうが脳を刺激するのでしょうか?羨ましい限りです。今日の晩御飯に試してみようかなぁ。
- 銀 次
今月の誤読●「もの言わぬ子に友ひとり帰り花」。小さいころからおとなしい子だった。病弱だったせいがあるのかもしれないが、学齢に達しても寡黙であることに変わりはなかった。ふつう女の子というのはおしゃべりだという思い込みがある。それに比べてうちの子は、と思うのは母親としては当然のことだろう。育て方が悪かったのかしら、と振り返ることもしばしばある。ただ笑うときには笑う、泣くときには泣く、病弱だったカラダもいまは見違えるほど元気だ。その点では安心しているが、相変わらずあまりしゃべらない子であることには違いない。そんな子が高校に入って、はじめて友だちをうちに連れてくるようになった。同級生ということだった。その子もやはり控えめな女の子だった。挨拶もつつましく、いつもそそくさと娘の部屋にあがるのが常だった。とたん部屋のなかからキャッキャと笑い声があがる。なにを言ってるのかわからないが、楽しげな話し声が聞こえる。それはもう、わたしまでもが愉快になるような明るい声だ。その声を聞くのは、わたしにとって涙がでるほど嬉しい時間だった。ある日のこと、いつものように紅茶とケーキを持って娘の部屋に入ったとき、ドアを開けるとうちの子と同級生が親しげに指を絡ませているのを見た。ふたりはパッと離れたが、その離れ方がどこか不自然で、三人とも固まったようになった。しばしのときが流れ、ようやく合点のいったわたしは慌てて部屋をでた。ふたりは恋をしている。そう思うと胸がドキドキするとともに、来し方のあれこれにようやく納得した。夕飯のときになり、食卓に坐る娘にわたしは言った。「安心しなさい。わたしはあんたたちの味方だから」。娘はコクリとうなずき、皿のハンバーグに箸を伸ばした。その瞬間、わたしと娘はまぎれもないほんとうの母子となった。
- 荒井まり子
特選句「水を脱ぐ大白鳥の大志かな」。上五の「水を脱ぐ」に脱帽。いつもそれぞれの鳥が水面より飛び立つのを見て素晴らしいと感心していました。ピッタリの表現ですね。
☆突然の訃報に大変驚いております。こちらに引っ越し、暫くしてたねをさんに、兵庫・三田句会に声を掛けて頂き、それから天志さんとも、ご一緒に。滋賀・大津の句会にも参加。通り道だからと、JR大津駅より車に乗せて頂きました。10分位の話しに、香川句会の様子、憲子さん達とのやりとり、おうどんの美味しさ、本当に楽しそうに話されていました。山形吟行にも、ご一緒の予定だったとか、とても楽しみにされていたと思います。今はただ、ご冥福を祈るばかりです。
- 亀山祐美子
特選句「山粧ふ蔵王県境枯損木」。陸奥の旅のロウプーウェーからの雲海と紅葉と枯損木の景が忘れられない現場に行ったからこそ共感できる景の大きさがよい。
☆増田天志さんの訃報心が痛みます。初めてお会いした栗林公園の緑の濃さ松の豊かさが忘れられません。いずれまた句座を囲めるとは存じますが、そのときはよろしくお願いいたします。
- 三枝みずほ
特選句「絵も本もピアノも売りて日向ぼこ」。感性豊かにと子どもへ託した想いは子の心にしっかりと根付いている。何十年とかけてそのことに気づいたとき、全てを手放すことが出来たのであろう。時空を越えて子と過ごした時間に思いを馳せる嬉しさと哀愁が日向ぼこにはある。
☆増田天志さんご逝去とのこと、さみしくなります。0点句だと自分の表現の未熟さに反省すると私が言うと、「気にしたらあかんあかん。わかってたまるか!!って思ってつくらな!」といつもの優しい口調で叱咤激励してくださったのが九月。天志さんの鮮烈な言葉たちが心のなかにずっと響いているのです。他界されたのが今でも信じられません。海程香川句会で初めてお目にかかったときのこと、全国大会、思い返してもやはり強烈な個性の俳人ですね。ぽっかりと冬の空です。ご冥福をお祈りいたします。
- 竹本 仰
特選句「もの言わぬ子に友ひとり帰り花」:もの言わぬ子に、もの言わぬ友。だが会話は十分成り立っている。これまで何度か見たような光景でもあり、またその中にいたような気もする。価値判断というものでは測りきれない存在価値というものがあり、人間を人間として生かしておくものの存在に気づいた時、言葉では表しえない或る表現の貴さに気づく。〈はたはらに秋草の花語るらくほろびしものはなつかしきかな〉という牧水の歌に近いものを感じました。特選句「枯れ蟷螂自分の影に鎌広げ(松本美智子)」:枯れ蟷螂。もはや死に後れた蟷螂は最後の闘いを挑んでいるのか、地面に伸びた自身の影に重い鎌を持ち上げる。闘わねば生きていけないと宿命づけられた生き物の成れの果てに、ロートルの拳闘選手のような悲哀はあり、哀しくはあるものの、そういう姿に心惹かれるものも感じました。特選句「秋晴れやぽっかり浮かぶ河馬の尻」:何のことはないものに、ふと自分を感じる。そんなことでしょうか。この河馬の尻は実景でないもののように感じます。動かそうとして動かせず、さりとてそんな自分にあくせくしていたその末に、いつまでもカッコ悪く浮かんでいる何とも始末に負えない自分。同情を禁じ得ない句でありました。以上です。
☆増田天志さんの訃報、ありがとうございました。初めてリアルの香川句会におじゃました時、俳句バトルのトーナメントがあり、その一回戦の相手が天志さんでした。老いたお母さんを詠んだ句を出して、しみじみとした子ども心を歌ったものでした。そう、秋の夜長に隣の部屋にいる母を思いやるような雰囲気のものでした。自句のプレゼンテーションに、そんな熱い思いを語る姿に圧倒されましたが、あれは天志さんの中でも異例の事だったんじゃないかと、思い出しました。もちろん、いつも俳句への思いは熱く、最後もそんな風に芭蕉を述べられていたように思いますが、何かの折に「もっと自由であるべき」といったひとことが耳に残っています。そういえば、淡路島吟行に来られた時、軽やかな雰囲気に、「なんかとても若く見えますね」というと、「僕、今、ダンスやってるから」とさりげなく嬉しそうに答えていたのでした。芭蕉の墓所である義仲寺で連句の句会をよくやっているとのことで、「いつでもどうぞ」と勧められたのでしたが。今度、義仲寺に行ったら、またあの面影追いかけるんだろうなとふと思います。ああ、残念、のひとことです。ありがとうございました。野﨑さん、そしてメンバーのみなさん、来年もよろしくお願いします。
♡天志さんの芭蕉の句の解釈、興味深く読みました。私のミスリーディングでは、芭蕉は蝉になり切ってしまったんではないか、と思えましたが、それが天志さんの言う梵我一如のことかなと。時々、俳諧七部集を読みますが、芭蕉の句境は融通無碍そのもの。たとえば、『冬の日』「つつみかねて」の歌仙には、前句「まがきまで津浪の水にくづれ行」に対し、「佛喰たる魚解きけり」なんていう付けをしていますが、魚の腹をかっさばいて佛をみつけるなんて、佛が仏像なのか死人なのか、どちらの取りようにしてもぎょっとしてしまうものがあります。芭蕉には何だか人間の業を読み解こうとする眼がつねにあり、そんな背景で見ると、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」も並じゃない、業深きがゆえに蝉もまたおのれもまた…という深い吐息、それが閑さやの正体ではなかったか。相変わらずのミスリーディングですいません。あと、最近の島田さん、飛んでいますね、うらやましいです。きっと何か、このあと、来るんだろうなと、測候所の人のように見ています。朝日俳壇で目にした白泉さんとの対話の句も気に入りましたが、とても注目しています、陰ながら。 天志さんの「芭蕉さんアラカルト」、古典の授業のノートの一画みたいで、その人柄、面白く垣間見たような楽しさがあります。だいぶ前に読んだ安東次男の本で、「旅に病で」の句は辞世の句としては不出来、のようなくだりがあったのを思い出しました。「木曽殿と塚をならべて」という「たはふれ」のつぶやきの方に、心惹かれるものがある。いわば、横死の者の見果てぬ夢、お前たちはどう思う?そんな問いかけの方にむしろ句以上にリアルな心情を感じるというのです。こんな芭蕉劇場を見ていると、稀代の演出家であった芭蕉の内情もなかなか面白そうで。そういえば、淡路島吟行の泊後、食堂で朝ビールを注いでくれたのは天志さんでしたね。義仲寺での句会の話などしてた記憶があります。「いつでもどうぞ」と誘ったひとこと。このノートもおんなじ匂いがしました。
- 丸亀葉七子
特選句「十字軍の踏んだ跡かも蓼の花(重松敬子)」。素直な句が好き。ロシアは 早くウクライナ侵攻を止めてほしい。道端に咲く野の花「蓼」からの発想に惹かれた。特選句「長き夜の糸巻きからんと奥秩父」。目を閉じると景が浮かぶ。奥秩父が生きている。糸巻く音がからん、からんと聞こえてくる。
- 若森 京子
特選句「君へ檸檬 発火しそうな放課後」。檸檬からくるイメージは、新鮮、夢、エネルギーであるものを君へ上げよう。下句の〝発火しそう?の措辞には緊張感と恐怖、この二つのフレーズがこの短詩型の中で化学反応を起こそ色々なストーリーが生まれる。一句にエネルギーを感じる。特選句「深層心理ってマフラーに埋まる耳」。自他共に深層心理って解からない。ストレスが溜まるのも関係するらしい。温かいマフラーで何も聞かない様に耳を埋めたい気持ちは高まる。
☆天志さんを偲んで。二十年程前の、若い天志さんは、高橋たねを氏を慕い毎月三田句会に出席し、湯川れい子、田中貴美子さん達と句会の後、喫茶店で楽しい会話の時間を持って帰られました。知識と語彙が豊富で色々と冒険をし、彼独自の面白い作品を書いていましたが、それが成功して誉めると何とも云えぬ嬉しそうな素直な人懐っこい表情が忘れられません。コロナ前は、ひょっこり現われて待合室で一人でおにぎりを頬張っていた姿が目に浮かびます。句会後、私は主人の介護もあり、ゆっくり前のようにコーヒーを飲む時間も無く、遠い大津から来て貰ったのに悪いなーと思って帰りました。この三年間は「海程香川」でのお付き合いのみでした。最近、天志さんが又三田に行くと云ってたよ。と聞き楽しみに待っておりましたのに。亡くなった後、大勢の人に優しい言葉を掛け、あの風来坊の天志さんを皆さんが愛していた事が分かりました。残り時間の短い私には、六十九歳で逝った天志さんに惜しい悔しいと云う言葉しかありません。 ご冥福をお祈りするばかりです。
追悼二句 「片羽根の天使は逝った秋の空」「早世の君の言の葉ペガサス座」 合掌。
- 向井 桐華
特選句「秋の雨白湯の匂ひの豊かなり」。文字通り日常の「豊かさ」についてハッとさせられた句。
- 三好三香穂
「蕎麦咲いて白一面の昏さかな」。蕎麦の花は赤も白もあるが、だいたいは白。小花で地味である。一面白くなるが、なぜか華やかさや明るさはない。それをクラサと捉えたところが、秀逸である。
- 山下 一夫
特選句「綾取の川へ梯子へほうき星」。綾取の川や梯子に、図鑑や星座表において星々を直線でつないで示されていた各星座を、ほうき星にその背景となっている満天の星空を想います。抽象と具体のバランス、どこかノスタルジックな雰囲気が秀逸です。特選句「今ここで返事しなくていい野菊(柴田清子)」。返事を求められている対象は限定されていないのですが、いろいろに考えてみることができて愉しいです。当方的には「野菊の墓」の民子。世代的には山口百恵か松田聖子で、映画時点の素朴さでは後者に軍配を挙げます。問題句「ばつた跳ぶ鳥になる練習をする」。発想に妙があり、自嘲的なペーソスも漂っていていい感じなのですが、ばったの跳躍には、大量発生してアフリカからインドとかまで移動しながら深刻な災害(蝗害:こうがいと言うらしいです)を招くもののイメージもあって、鳥以上の場合もあるとの突っ込みも思い浮かびます。「鳥よりすごい奴もいる」といったところでしょうか。
☆増田天志さんの突然のご訃報、先にお送りいただいた海程香川句会でのお話のレジュメを拝見してご健在を確認していただけにショックです。天志さんとは比叡山句会や海程全国大会、小豆島で開催された海原全国大会の折などにお会いしておりました。あらたまってお話したことはなかったと思いますが、いつかの全体句会での鑑賞において、フロアーの議論が対象句の用字用語等形式的な側面に集中していたところ、そんなことより一句に詠われている詩情が肝心なのだと熱くコメントされ、はっとさせられたことを鮮明に記憶しております。心よりご冥福をお祈りいたします。
- 野﨑 憲子
特選句「仏壇に位牌と並ぶ蝮酒」。仏壇に蝮酒とは、山霊も祀っているのだ。どんなご先祖なんだろう。想像の膨らむ作品。特選句「捨て置けば死ぬ猫である娘の秋」。捨て猫を拾ってきて慈しんいる我が娘への限りない愛情が作品から漲っている。「娘の秋」に黄金の輝きあり。特選句「一人旅秋の光に乗り換えて」。新たなる旅立ちをする作者に、幸多かれと、渾身のエールを贈りたい。「朝寝して白波の夢ひとり旅(兜太)」<朝寝>は春の季語なのに、なぜか秋の句群の中に入っている師らしい名品。 「どんな時でも人生を楽しめ!」と。 善哉。
「海程香川」山形吟行(二〇二三年十月二十九日~三十一日)
参加者の一句
- 白鷹人形蚕の繭の重みかな
- 岡田 奈々
- 無月かな蔵王温泉朱鳥居
- 亀山祐美子
- 東北の空より碧きお釜冷え
- 河田 清峰
- 喜寿にして登る人生翁の忌
- 島田 章平
- 小さき字に挿絵の手帖少年茂吉
- 田中 怜子
- 懸崖菊誰をも受け入れ五大堂
- 新野 祐子
- 赤い山雁戸山(がんどさん)やがて黒き影
- 三好三香穂
- アオゲラのこつん茂吉の窓ガラス
- 野﨑 憲子
上、蔵王連峰に抱かれた五色沼(お釜)。下、宿舎のホテルヴァルトベルク前にて。
袋回し句会
追悼、増田天志さん(天)
- 芭蕉も兜太も天志もゐるよ鰯雲
- 野﨑 憲子
- 次郎笈(きゅう)心ときめく天の河
- 末澤 等
- 天の子の大いなる孤独冬に逝く
- 銀 次
- わかってたまるか現代俳句天高し
- 三枝みずほ
- 天志さんみんなの声届いていますか
- 柴田 清子
- エンジェルに励まされしあの日を思う
- 薫 香
- 群青の翼は天へ秋夕焼
- 野﨑 憲子
- 妻知らぬ夜長天志の武勇伝
- 藤川 宏樹
- 天志は星に既成破りの楕円形
- 岡田 奈々
- なぜに君駅通り抜け秋天へ
- 野﨑 憲子
- 痛恨の友の旅立ち天高し
- 島田 章平
- エンジェルに冬の翼をください
- 島田 章平
鳥
- 効き耳も効き目もひだり白鳥来
- あずお玲子
- さざ波に渡り鳥何を見て来たのか
- 薫 香
- 降りぬ遮断機という機微小鳥来る
- 藤川 宏樹
- 口あけて鼻ひん曲げて鳥渡る
- 野﨑 憲子
- 命とは永遠に病むもの鳥兜
- 島田 章平
立冬
- 君達は包囲されてる核の冬
- 島田 章平
- しなしなのポテト塩っぽい今朝の冬
- あずお玲子
- 誰もゐない二階から冬降りてくる
- 柴田 清子
- 冬に吾を生んだ母強き人なり
- 薫 香
- 青信号灯す再エネ冬夕焼
- 藤川 宏樹
金曜日
- 金曜夜長ユ―ミンが声白し
- 藤川 宏樹
- 金曜の雪虫に懐かれてゐる
- あずお玲子
- はしご酒もう何軒目だ金曜日
- 銀 次
新
- 立冬句新気一転大奮起
- 末澤 等
- 新築の隣りの家も冬に入る
- 柴田 清子
- 新しい雑巾真白新学期
- 藤川 宏樹
- とんちんかんってなんか楽しい新走り
- 野﨑 憲子
- 人生は甘くはねえよ新小豆
- 島田 章平
- 激論の中に笑ひも新走り
- 島田 章平
【通信欄】&【句会メモ】
先月、先々月と、大津から高松の句会にご参加くださった増田天志さんが十月末、大津市のご自宅で他界されました。晴天の霹靂のような知らせに、11月句会は深い悲しみに包まれました。本会の初めの頃から、天志さんは、よく大津から青春18切符でおいでくださいました。高橋たねをさん急逝後の数年、高松句会の参加者は悲しいほどに少なく、どれほど有難かったか知れません。私と同い歳で、来月古希になられるはずでした。これからが人生の本番と存じますのに残念で悔しいです。本会のブログ告知後、ご選評と共に、追悼文がたくさん寄せられましたので、「句会の窓」へ、☆印を付けて掲載させていただきました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
稲葉千尋さんと、淡路放生さんが、ご体調の都合により退会されます。稲葉千尋さんは「海程」時代からの大先輩で、一度、高松の句会へ来てくださったことがありました。「海程」比叡山勉強会や全国大会もよくご一緒させていただきました。アンソロジー『青むまで』を編む時も、的確なアドバイスを賜りました。淡路放生さんは、令和三年二月、「俳句王国」の最終回。「俳句王」に輝きその時の放生さんの「中卒の浅利(あさり)が潮を吹き黙る」の句の沈黙の重さに、深く感動いたしました。放生さんの作品や高松句会での鋭いご鑑賞に、多くのことを学ばせていただきました。 千尋さんと、放生さんが、これからも、俳句を心の杖として幸多き日々を歩まれます事をお祈りいたします。ご回復されたら帰って来てください。いつでも大歓迎です。ありがとうございました。
12月の句会はお休みです。来年の初句会から、生きもの感覚漲る俳句新時代を目指し、より自由で熱く渦巻く句会へと進化して参りたいと存じます。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted at 2023年11月29日 午後 07:07 by noriko in 今月の作品集 | 投稿されたコメント [0]