2025年8月26日 (火)

第164回「海程香川」句会報(2025.08.09)

万智の花火.jpg

事前投句参加者の一句

 白馬岳1.png                   
<沖縄にて>寅さーん銀バナナはグラム売りだぜ 樽谷 宗寛
虫食ふと人食ふ人とゐる葉月 藤川 宏樹
兄嫁はいつも雨だれ蛇苺  大西 健司
島一つ買う夢まったり大昼寝 伊藤  幸
人を見る気配が重い胡瓜かな 中村 セミ
炎天やいのちあつての空あふぐ 各務 麗至
「カナリヤ」は夜間保育所星涼し 大浦ともこ
てのひらに悔いのほたるが二つ三つ 吉田 和恵
地底より雲立ち上がる原爆忌 岡田ミツヒロ
真摯に重く受け止め車輪の下 田中アパート
夏空や下の畑で妣が呼ぶ 漆原 義典
朝涼や鉋掛けたる戸の軽さ 松岡 早苗
眠る蝶を起こしはせぬか今日の月 川本 一葉
ねじれ花姉を謎解き歌にする 三好つや子
吾三十入道雲に急かされる 高木 水志
被爆電車過ぐや夾竹桃ましろ 和緒 玲子
花魁草長く生きたる自画自賛 疋田恵美子
しゃがしいしぃ雨乞い念仏のごとく降る 福井 明子
被爆忌の己の影に立ち止まる 榎本 祐子
金星の昼まったく蝉が鳴かない 山下 一夫
走れメロス余白幽かな夏の蝉 塩野 正春
向日葵や一歩下がって仰ぐ空 河野 志保
ワカメちゃんカットの吾の夏休み 植松 まめ
千切り絵のごと雲流る今日参院投票日 田中 怜子
胸底に無言の祈り原爆忌 稲   暁
香水の名前に残る昭和かな 重松 敬子
真っ直ぐに戻る漁船や大夕焼 佳   凛
沈黙の四人の車中日雷 綾田 節子
一睡や疲れが蝶になる夏野 菅原 春み
母の忌や線香花火の小さき月 銀   次
熱帯夜中心線がずれてくる 増田 暁子
しゃんしゃんしまい向日葵がみつめてる 向井 桐華
夏幾度ずいぶん遠い島に来ました 佐孝 石画
入道雲に拳八百万の神よ 荒井まり子
鳥雲に耳のうしろにある鱗 男波 弘志
どこまでが嘘か誠かソーダ水 藤田 乙女
夏星に降り立つひとりはピアニスト 桂  凜火
狐の嫁入り荷物は絵馬と軽く言い 松本 勇二
昼寝覚め鏡の中にいるザムザ 島田 章平
ビーナスが水滴纏ってラムネラムネ 岡田 奈々
天道虫バンザイして翔ぶ爆心地 津田 将也
尾鰭ふりつつ短夜に眠り落つ 月野ぽぽな
皿洗う水で救われ炎暑の日 え い こ
そのうち虫の音と記されさう玉音 すずき穂波
塩飴をなめて精出す草むしり 出水 義弘
白日傘汝に片腕置いて来し 小西 瞬夏
扇風機まじめに時代遅れかな 河西 志帆
二枚目より遺書らしくなる遠花火 若森 京子
せりあがる朝顔同床異夢の紺 十河 宣洋
見よ炎熱のオクラ畑に死の気配 柾木はつ子
熊本空襲語りき青葉蒸す夜ぞ 野田 信章
バスに満つ部活帰りの青春の汗 滝澤 泰斗
プラネタリウムワッテナナホシテントウムシ 河田 清峰
炎昼に道見失ふ蟻のをり 石井 はな
水母には水母の都合があって波 柴田 清子
夢追った跡は銀色なめくぢり 新野 祐子
言の葉が降りてこないのけんけんぱ 薫   香
影法師の心臓はここ敗戦日 三枝みずほ
ばあばって開いて閉じて扇子かな 三好三香穂
それぞれの忘れる速度敗戦忌 野口思づゑ
打ち水の水も貴重な讃岐平野 遠藤 和代
笑ひ皺五本十本雲の峰 亀山祐美子
歳を追い負い老いて喜寿嗚呼狂暑 時田 幻椏
時までも焙り縮める極暑かな 森本由美子
抱きすくめ何をいまさら花菖蒲 末澤  等
楽園の記憶バナナの傷み滲む 花舎  薫
火星語を話すいとどに道譲る 松本美智子
水たまりに来た夏空も十七才 竹本  仰
八月の影法師どこをどう曲がつても 野﨑 憲子

句会の窓

白馬岳2.png
松本 勇二

特選句「母の忌や線香花火の小さき月」。線香花火をじっくりと見ている作者。月の発見が冴えています。母上もやってきて一緒に覗き込んでいることでしょう。

小西 瞬夏

特選句『「カナリヤ」は夜間保育所星涼し』。夜になってもお仕事が終わらない忙しい現代社会。シングルマザーが夜の仕事をしているかもしれない。こどもも寂しいが親も切ない。そんな保育園の名前が「カナリア」なんてよけいさびしい。けれど、「星涼し」という季語で救われ、何とか生きていけそうな気がする。

十河 宣洋

特選句「一睡や疲れが蝶になる夏野」。一睡の夢という言葉があるが、どこで寝ていたのか。公園などのベンチかもしれない。家のソファーでもいい。一寸した転寝の後の爽快な気分。特選句「八月の影法師どこをどう曲がつても」。自分の疲れた影が後を追ってくる。どこまで行っても後を追ってくる影法師。鬱陶しくもありこれが今の俺かなどと思ったりしている。

河西 志帆

特選句「八月を迷うまっすぐ母を嗅ぐ(三枝みずほ)」。母を嗅ぐという事は、匂いがしたとかでなく、此処を分かってよ。なんですよね。特選句「天道虫バンザイして翔ぶ爆心地」。バンザイは嫌いです。この句の中に沢山の哀しい戦争がありました。大切にしたい句です。「鳥雲に耳のうしろにある鱗」。補聴器を試しているところです。身体の何処も悪くないんですが、此処がどうも、鱗があるんかなあ〜!「走馬灯ヒトに未練という尻尾」。なるほど、時々ほんの少しだけど、変についてくると思ったら、それは尻尾だったんだ!「二枚目より遺書らしくなる遠花火」。分かります。本当の事って、すぐに言えないし、書けないんです。それって、案外本音かもしれません。

各務 麗至

「被爆忌の己の影に立ち止まる」。八月に、お盆に、ともなると、我々の世代でもいろいろ聞かされてきた敗戦時の残酷な風景が見えてきます。黒焦げの遺体も・・・・。己が影にそれが意識されて、忘れてはならないものです。特選。「合歓咲いて過去では何も起こらない(河野志保)」。先の特選にも繋がります。繰り返してはならない過去でなく、希望の花咲く現在未来を。特選。

樽谷 宗寛

特選句「真っすぐに戻る漁船や大夕焼」。映像が素晴らしい。漁港では家族の誰かが待ち受けていますね。

若森 京子

特選句「影法師の心臓はここ敗戦日」。ひろしま、ながさきには沢山の人間の影のみが焼き付けられた。「心臓はここ」という措辞から、生と死の尊厳を余計にリアルに我々の心に焼き付けられる。「それぞれの忘れる速度敗戦忌」。敗戦を経験した人も次第に少なくなっていく現実。若い人達の中にも色々の活動を通して核廃絶運動をしている人もいる。老若問わずそれぞれの速度は違う。しかし、絶対に忘れてはいけないと願いをこめて。

津田 将也

特選句「しゃんしゃんしまい向日葵がみつめてる」。しゃんしゃんしまい!(はやくしなさい!)は、香川県(さぬき)の方言です。「早くしろ」「てきぱきと行動しろ」という、半ば強制的な意味合いがあります。この句からは、関係のないこと(ひまわりがみつめてる)を口実に、てきぱきとした行動を促す母親と、それとは逆の子との間合いが、方言により微笑ましく詠まれています。

島田 章平

特選句『「カナリヤ」は夜間保育所星涼し』。「カナリヤ」と言う夜間保育所の名前に惹かれた。「炭鉱のカナリヤ」と言われるように、カナリヤは危険を感知する表現にもなる。少子化の時代、夜間保育所にわが子を預けて働かなければならない母親。現代の見えない社会の病根を「カナリヤ」と言う名前が表しているように感じた。

岡田 奈々

特選句「島一つ買う夢まったり大昼寝」。夢は大きい方が幸せ。だが、島が小さいと、十五少年漂流記になってしまいます。一つずつゆっくり整えてっと。特選句「狐の嫁入り荷物は絵馬と軽く言い」。こんなウィットにとんだ受け答え出来たら、人生楽しいだろうな。「遺言の書き出し見本蝉しぐれ」。遺言書くとなると、結構あれもこれも心配で書き並べるか、1つ買いて、筆が止まるか。まだ、何もしないうちに、死ぬ時きっと慌てる。「人を見る気配が重い胡瓜かな」。胡瓜は何時までぶらぶらしていて良いのか、あたりを伺っているのですね。「花火師は宇宙感覚地を這うて」。宇宙感覚とは自分が花火になったつもりで、火薬を詰めているのか。「ねじれ花姉を謎解き歌にする」。姉とは横暴で唐突なる生き物。それ題材に短歌のさぞ面白いものがかけるだろう。「どくだみや手足の傷に覚えなし」。何故か分からないが、一日遊んで帰ると擦り傷だらけ、どくだみ茶でも飲んで直しといて。「プラネタリウムワッテナナホシテントウムシ」。以前からテントウ虫の飛ぶところは大好きだったけど、プラネタリウムの形。そして、星が付いた躰。本当にプラネタリウムに見えてきます。「トランプのきるくるまぜる蜃気楼」。トランプゲームは切ったり繰ったり混ぜたりして遊ぶ。トランプ大統領も派手に他国を切ったり、遣り繰ったり、綯い交ぜにしたり。同じです。大統領にとって、政治はゲーム。そして、ニューヨークの摩天楼は蜃気楼。「夢追った跡は銀色なめくぢり」。夢は追ってる途中が、楽しい。終わればそれは良い思い出に輝く。

大西 健司

特選句「熊本空襲語りき青葉蒸す夜ぞ」。語り部も少なくなった昨今、八月はどうしてもこういう句に目が行く。〝青葉蒸す夜ぞ〟と書き切った思いの深さが切ない。

三好つや子

特選句『「カナリヤ」は夜間保育所星涼し』。昔でいう託児所のことでしょうか。夜に働かざるをえない母親を通して、浮かんでくる格差社会の実態。まるで映画の一シーンを見ているようです。特選句「扇風機まじめに時代遅れかな」。異常な暑さが続くなか、エアコンやサーキュレーターがもてはやされ、時代遅れになってしまった扇風機に、不器用で真面目な昭和の父親像が重なり、共感しました。「入道雲に拳八百万の神よ」。今年の八月六日の広島知事のスピーチを思い出しました。これだけの犠牲を払っても、今もって世界平和に辿りつけない現実に、愕然とします。「二枚目から遺書らしくなる遠花火」。遺された者へのメッセージだからこそ、御座なりにはできない。そんな思いと遠花火とが響き合い、惹きつけられました。

男波 弘志

「真摯に重く受け止め車輪の下」。既にして既成語になってしまったことばを使って辛辣な風景を創り上げている。鈍重な鉄の車輪が動き出すときの、ある高揚感と危機感がほんとうは必要なのだが、こういうことばを発する人たちは皆、上級車両の食堂車にいてワインなどを嗜んでいる。車輪の下の暗がりを知っているのは何処にでもいる市井の人たちであろう。秀作

桂  凜火

特選句「走馬灯ヒトに未練という尻尾(岡田ミツヒロ)」。未練というのはたしかに尻尾みたいなものですね。走馬灯と響き合いいい句だとおもいました。

高木 水志

特選句「どこまでが嘘か誠かソーダ水」。ソーダ水の不確かな気泡をうまくとらえていると思います。不確かな昨今の世界を表現しているのではないかと思いました。

増田 暁子

特選句「白日傘汝に片腕置いて来し」。心の名残りが「片腕置いて」と表し、とても上手いですね。特選句「影法師の心臓はここ敗戦日」。大変多くの戦の死を思い、平和を求める拠り所は敗戦日にある。その通りです。

川本 一葉

特選句「万緑に次は全部のドアが開く(河西志帆)」。よくわからない、というのがほんとうのところ。けれど万緑に目や心が開いていく、と読んだ。正直になれる、ただ今日はまだ心が疲弊してまだ心のドアが全て開かないけれど、などと見当違いかもしれないがそう感じた。解放される感じが好き、だと思って特選に。

野田 信章

特選句「花魁草長く生きたる自画自賛」。長寿に伴う功や苦の表出感ではなく、ただ「長く生きたる」というそのこと自体の自賛である。可憐な「花魁草」一茎の配合によって簡潔にして明度のある句姿が素敵である。

河野 志保

特選句「夏星に降り立つひとりはピアニスト」。夏の星にはどこか滲んだ憂いがある。夏夜のピアニストとその音色にも同じものを感じる。幻想の世界に引き込まれるような句。

豊原 清明

特選句「<沖縄にて>寅さーん銀バナナはグラム売りだぜ」。寅さんは昔の日本の風景を捕らえている。特選句「笑ひ皺五本十本雲の峰」。笑い皺、十本は景気がよい。問題句「千切り絵のごと雲流る昭和かな」。今年の選挙は怒りがこもっていた。

福井 明子

特選句「億年の表敬蜥蜴我を見上ぐ(時田幻椏)」。億年の表敬 という言葉に釘付けになりました。我が家のだだっぴろい屋敷にも蜥蜴がたくさん棲みついています。いつもひょいと出現して何処かへ滑り込んでいきます。億年も前から、あのままのかたちなのでしょか。アイコンタクトの瞬間、ヒトもその時をさかのぼるような、そんなポエジーを感じました。

藤川 宏樹

特選句「せりあがる朝顔同床異夢の紺」。せりあがる朝顔の紺が勢いで眼前に蘇ります。「朝顔」が「同床異夢」を見る人の朝の顔とも伺える取り合わせ、絶妙です。

和緒 玲子

特選句「熱帯夜中心線がずれてくる」。猛暑の一日を何とかやり過ごしても待っているのは熱帯夜。やれやれと寝具に横たわった時の視界だろうか。繰り返す寝返りに中心線が曖昧になっていく己が身体だろうか。暑さの異常性を通じ作者の肌感覚を繊細に表現している。

花舎  薫

特選句「虫食ふと人食ふ人とゐる葉月」。人食ふ人とはおそらく戦争を起こしている者たち、そして虫食ふ人とは戦争の犠牲者、飢えて死にいく者たちだろう。最初はよく訳がわからなかった。ただ何度も読んでいるうちに、寓話のような強烈な表現を批判でもなく説教でもない淡々としたトーンで詠まれていることに惹かれていった。特選句「遺言の書き出し見本蝉しぐれ(津田将也)」。昨今、何か知りたければGoogleで簡単に調べられる。料理の仕方から遺言の書き出し方まで。行為自体は物々しものであっても、全てが気軽に手に入ることで本来の重さが失われている感がある。ここでは、何せ自分の遺言である、思うところあっての行動だろう。ほんのちょっとの好奇心からかもしれない。誰か他の人が書いたものか、あるいはAIが数ある遺言を束ねて捌いたサンプルだろうか。誰かの遺言を参考にする、そのアイロニーに哀れを感じた。

月野ぽぽな

特選句「遺言の書き出し見本蝉しぐれ」。今の言葉では終活というのでしょうか。来るべき人生の最後の日のために諸々の準備をされているのでしょう。遺言にも書き方があり書き出しの見本があるのですね。句の中で心境は語らず、物を提示することで、その心境を読者に彷彿させ、さらには人間の健気さや滑稽さからペーソスに至るまでを立ち上がらせていて秀逸です。もちろん蝉しぐれの季節の音響効果や時間の経過の演出も最適です。

漆原 義典

特選句「バスに満つ部活帰りの青春の汗」。青春の汗。遥か昔の学生時代を思い出しました。上五の<バスに満つ>がいいですね。素晴らしい句をありがとうございます。

柴田 清子

特選句「言の葉が降りてこないのけんけんぱ」。一大事の時、自分を見失いそうなときの、「けんけんぱ」。一句に季語ある無しにかかわらず特選の一句に選ばせてもらいました。

河田 清峰

特選句「時計草未来の地球は青ですか?(増田暁子)」。汚染され続けてゆく地球を止める手立てが欲しい。

岡田ミツヒロ

特選句「母の忌や線香花火の小さき月」。幼子の花火のはじめは線香花火。おそるおそる手に持つ花火、それを支えてくれた若き日の母の記憶。最後は小さな赤い玉になって落ちる線香花火。「小さき月」の暗喩が出色。母への追慕の情がしみじみと胸に沁みる。特選句「しゃんしゃんしまい向日葵がみつめてる」。どこかユーモラスな讃岐弁、香川句会ならではの楽しみ。生前の母の慌しげな顔、仕草が思い浮かび懐しい。向日葵が〝えんで、ゆっくりしまい“と笑っていそうです。

植松 まめ

特選句「そのうち虫の音と記されさう玉音」。時代がまた大きく曲がる予感がする。参議院選挙の結果、改憲を叫ぶ政党が多数を占めるようになった。日本国民は何を選択したのか?特選句「それぞれの忘れる速度敗戦忌」。母は語らなかったが戦争で大切な人を失った。戦争を知らぬ私もどこかにその痛みを感じつつ育った。「生ぬるき八月の水に手をひたす父母逝きても完結せぬ戦後 まめ」

え い こ

特選句は、「女童の黄帽子探し炎をゆく(銀次)」が、自分の体験と重なり、<炎をゆく> と上手に表現されていると感心いたしました。あと、一つは「香水の名前に残る昭和かな」にします。ディオールとか、オーデコロンでしょうか?懐かしいです。

榎本 祐子

特選句「永遠にさらに一秒ヒロシマ忌(竹本 仰)」。広島は永遠の祈りの地ヒロシマとなった。その瞬間の惨劇への憤りを「さらに一秒」と、思いを込めての表現に打たれます。

綾田 節子

特選句「水母には水母の都合があって波」。ふはふは水母は自分の都合で漂ってる感、多いに感じます。都合良く漂ってると波がきました。でも人間と違って波なんてへーちゃら 作者の比喩かもしれませんね。

野口思づゑ

特選句「万緑に次は全部のドアが開く」。面白い発想です。何だかそんな気がしてきます。「熱帯夜中心線がずれてくる」。「笑」と後に続けたいような、寝苦しい夜をユーモアーで語る余裕。「どくだみや手足の傷に覚えなし」。ちょうど自分の手のひらの傷に、いつ、どこで、と訝しく思っていたタイミングでしたので共感句です。「猛暑かな下町老医にラブレター」。物語性があります。

松岡 早苗

特選句「兄嫁はいつも雨だれ蛇苺」。不思議な魅力を感じました。「雨だれ」は涙なのでしょうか。悲しさ、寂しさ、憤りの表出なのでしょうか。「兄嫁」という設定が絶妙で、結句の「蛇苺」が毒々しく、不穏当な気配を秘めているようです。想像力をかき立てられました。特選句「八月を迷うまつすぐ母を嗅ぐ(三枝みずほ)」。「母を嗅ぐ」と嗅覚に訴えて来て、印象的でした。母に抱かれ乳を含んだ時の胸の匂いは、子にとって常に生命力の原点。傷ついたとき落ち込んだとき、母の無条件の愛が匂いとしてよみがえり、自己肯定感や希望を取り戻させてくれる。「まつすぐ」という迷いのなさもすてきです。

塩野 正春

特選句「億年の表敬蜥蜴我を見上ぐ」。蜥蜴様何億年も生き続けたのですね。その方に目を向けられるとなんか恥ずかしい気持ちです。人類はこれほどまでに愚かな生き物か・・と諭されているようです。一方蜥蜴が傍にいてくれることに一方ならぬ安堵を覚えます。特選句「時計草未来の地球は青ですか?」。時計草は南米由来と聞きます・・が南米だろうが地球上。地球の未来があるのか今まさに問われています。地球は青かった との宇宙飛行士の言葉が離れません。このまま水ある星にいて欲しいものです。問題句「天道虫バンザイして翔ぶ爆心地」。作者は何に何故万歳したいのでしょうね! 暑さ故ですかね?

向井 桐華

特選句「沈黙の四人の車中日雷」。無駄な言葉がなく、景が浮かんでくる。少し気まずい四人の沈黙を切り裂くように日雷。季語が動かない佳句だと思います。

伊藤  幸

特選句「一睡や疲れが蝶になる夏野」。一睡で疲れが取れ蝶のように羽ばたく。いいですね。ポジティブです。今年のこの猛暑を思いっきり羽ばたいてください。夏の強い日差しを浴びる夏野の元気な季語が効いています。特選句「火星語を話すいとどに道譲る」。竈馬古名いとどは羽もなく発声器官がないので鳴くことも叶わず夜行性で便所コオロギとも呼ばれ秋の虫にしてはあまり好かれる虫ではないが、もしかしたら火星と交信できる能力等備えているのではないかと作者は考えた。「どうぞどうぞお通り下さい。」作者は敬いつ道を譲る。何事もそんな風に思えたら世の中諍いも戦争も起こらないのではないだろうか。

菅原 春み

特選句「被爆電車過ぐや夾竹桃ましろ」。被爆をしても走り続けた電車と季語のましろがより平和への思いを誘う。特選句「天道虫バンザイして翔ぶ爆心地」。小さいけれど翔部天道虫を添えたことで平和を願う気持ちが深く響いてきた。

石井 はな

特選句「サイレンの音泣いている終戦日(野口思づゑ)」。毎年8月15日のギラギラと暑い日差しの下、黙祷の合図のサイレンが聞こえて来ます。その音がまるで泣き声の様に聞こえるのですね。8月15日の象徴の様です。これからは、私にも泣いている声に聞こえそうです。

柾木はつ子

特選句「胸底に無言の祈り原爆忌」。言葉で表現するのが得意でない人もいるでしょう。でも日本人なら誰でも祈らずにはいられないと信じます。連日のメディアの報道を視聴すると、全く言葉を失ってしまいます。特選句「時計草未来の地球は青ですか?」。自然の荒廃、人心の荒廃の今を思うとそう問いかけたくなりますね。同感です。勿論、私もこの状況に少なからず関わっている人間の一人として思う事なのですが…。

大浦ともこ

特選句「朝涼や鉋掛けたる戸の軽さ」。鉋を掛けて木戸が軽くなったという何気ない日常の変化と季語の”朝涼”が合っていると思います。丁寧な暮しぶりが懐かしくもあります。特選句「そのうち虫の音と記されさう玉音」。日本が戦争をしていたということが遠い記憶となり矮小化されることへの危惧が伝わってきました。破調で詠まれていることで不穏な空気が強調されていると思います。

特選句「青石のうすき縞目や夕涼し(松岡早苗)」。青い海と青い羽衣を想像し、涼しさを感じた。特選句「炎昼に道見失ふ蟻のをり」。余りの暑さに、頭もボーっとして来る。今年の夏は、格別に暑い。

佐孝 石画

特選、無し。「水たまりに来た夏空も十七才」。解釈が分かれる句だと思う。まず、水たまりに来たのは夏空か作者か。「水たまりに来た」で切れるのなら、来たのは作者、切れないなら、夏空が水たまりに来た、つまりそこに空が映り込んでいる景。また、「水たまり」が暗喩表現なのか、実景なのか。比喩ならば「水たまり」は人生のターニングポイントを示唆するものとなる。もう一つは「十七才」が実年齢なのか、かつての青春時代なのか。一見単純そうな作品だが、いずれも鑑賞者にとっては逡巡するポイントが多すぎて、解釈を諦めさせる要因になりかねない。僕は「夏空」が「水たまり」に来て、十七だったころの作者もともに映り込んでくる抒情俳句として解釈した。ここでの「水たまり」は実景でもあり、人生を折り返す地点まで来た作者の胸の内にある悲哀の「水たまり」とも重なるような気がした。

新野 祐子

特選句「熊本空襲語りき青葉蒸す夜ぞ」。どれを特選にしようか迷いましたが、これにしました。空襲、地震、豪雨と度々甚大な被害に遭ってきた熊本の方々に心よりお見舞い申し上げます。今回の線状降水帯では大丈夫だったでしょうか。「青葉蒸す夜」が、戦争の恐ろしさを鋭く突き付けてきます。

山下 一夫

特選句「人を見る気配が重い胡瓜かな」。つまるところは自身の気分の投影ではあるのでしょうが、大きくなり過ぎた胡瓜の不気味な存在感が活写されていると思います。ちなみに胡瓜は適当なところでもがないといくらでも大きくなり、反比例して味と商品価値は落ちていきます。特選句「しゃがしいしぃ雨乞い念仏のごとく降る」。一言も「炎天下の蝉しぐれ」とは言っていませんが、それをリアルに感じます。擬音のところは「じゃかしい(やまかしい)」という九州弁も掛かっている気配。問題句「鶏頭の花を数へる癖のまた(川本一葉)」。病床の子規の心境ともその著名な句と鶏頭が観念連合してしまっている困惑とも取れますが、おそらく後者でしょうか。言われてみるとそんなところがあると思われ納得です。

松本美智子

特選句「影法師の心臓はここ敗戦日」。終戦など戦争の体験や平和に思いを馳せる俳句がたくさん詠まれてきたでしょう。今も続く戦禍を憂うばかりです。影法師の心臓はどこにあるのか?平和を希求してやまない人類の永久的な願いをこの句には感じることができました。

森本由美子

特選句「二枚目より遺書らしくなる遠花火」。 折をみては心の中で整理したり、思いつきのメモを取っていたりした遺書の下準備。いざ書き出してみると抑えていた心情が溢れ、肝心な事務的部分になかなか筆が進まない。<遠花火>はドラマのような状況設定だと思う。

銀   次

今月の誤読●「扇風機まじめに時代遅れかな」。夏の盆休みで一年ぶりに実家に里帰りした。ダンナは仕事があるので、わたしひとりの帰省だ。里の母は「まあまあ、よう来た」と迎えてくれたが、父はこのところ調子が悪いとかで奥の間で寝ているということだった。とりあえず挨拶しようと部屋に向かうと、ふとんをかぶった青白い顔の男が寝ていた。一瞬「だれ?」と思ったが、あらためて見るとそれが父だった。一年前とはまったく変わり果て、さながら長年寝込んだ病人のようだった。枕元には古びた扇風機がコトコトと音を立てまわっていた。父は弱々しい声で「久しぶりじゃのお」と言った。わたしは驚いて母に「なにがあったの?」とささやいた。母は「なに、暑さにやられたんじゃよ」と案外平気な声で言った。たしかに部屋中ムンとした湿気に蒸れ、異常なまでに暑かった。わたしは怒り心頭で、母に「なんでクーラーをつけないのよ!」と叱りつけるように言った。父が寝床から「クーラーは躰に悪い」と思いがけず大きな声で言った。「でも」とわたしが言いかけると、母はそれをさえぎって「父さんが嫌がってのお」と言う。もちろん冷房病というのはある。だがこの暑さでは熱中症のほうがはるかに怖い。「リモコンはどこ?」と母に問う。母は「さあ」と首をかしげる。イラついたわたしはリモコンを捜そうと歩き出す。とたん扇風機につまずいた。首の曲がった扇風機をもとに戻そうとすると、その鉄製の羽がわたしの指をはじいた。「痛い!」。血のにじんだ指をなめていると、扇風機のコトコトの音が人の声に聞こえた。「おいでおいで」という声に。父はその生ぬるい風を受け、静かに目をつむった。わたしの背中にゾッとする戦慄が走った。おいでおいで、っていったいどこへ? 父をいったいどこへ連れていこうというの?

荒井まり子

特選句「ワカメちゃんカットの吾の夏休み」。昔サザエさんを楽しく読んでいた。団塊の世代だが昭和百年となると、色々と複雑です。 よろしくお願いいたします。

田中 怜子

特選句「熊本空襲語りき青葉蒸す夜ぞ」。語って欲しいですね。そして、平和の大事さに声を挙げてください。過去に目をつむる者には未来はありません。特選句「扇風機まじめに時代遅れかな」。私は原発に反対ですので、すこしでも節電と思って冷房を持っていません。今年の夏は意外としのげますし、夜は寒いくらいです。扇風機はタイマーを付けて寝ています。東京の郊外、そう密集してない地域、しかも9階ですから窓は一日中開けっぱなしです。他の人にはすすめられません。扇風機頑張れ!

薫   香

特選句「しゃんしゃんしまい向日葵がみつめてる」。少しだけ背中が伸びました。ありがとうございました。季節柄お体をご自愛ください。

瀧澤 泰斗

特選句「補聴器食み出し鳴く蟬もいる沖縄忌(野田信章)」。いつの頃からか、反戦句や平和に立脚した俳句は自分の作品にも多いが、人の作品も気になる俳句のテーマになっている。今年は戦後八十年の節目の年、今月の投句にもたくさんの反戦句や平和を祈念した句が沢山出揃った。そんな中、掲句を特選の一つにした。補聴器を通して聞こえる蝉の声の他、記憶の中からあの時の蝉の音が聞こえてくる。共鳴句:原爆忌関連の三句が続く「被爆忌の己の影に立ち止まる」「地底より雲立ち上がる原爆忌」「胸底に無言の祈り原爆忌」:「島一つ買う夢まったり大昼寝」。大昼寝で見た夢が島一つ買った夢とは・・・こんな俳句を自分もものにしたいと思った。「真っ直ぐに戻る漁船や大夕焼」。真っ直ぐがいい・・・大夕焼けを背に、大漁の漁船が帰路を急いでいる。「そのうち虫の音と記されさう玉音」。語順が気になった。虫の音と記されさう玉音そのうちに の方がいいような気がした。其れよりも、昨今の「ファクトチェック」やら、「フェイクニュース」やら、はたまた、「似非」なるもののいい加減な解釈が、玉音放送そのものをゆがめて行きそうな気配を掬い取ったお手柄を評価すべきと思った。

三好三香穂

特選句「猛暑かな下町老医にラブレター(伊藤 幸)」。クレージーな猛暑ですね。狂いついでに、老医者にもラブコール。老いらくの恋の行方と実相は、如何なものでしょうか。はたまた、何か不具合でもあって、かかりつけ医の老医者に紹介状でも書いて、もらうのでしょうか?諧謔みがあり、様々なストーリーが思い浮かび楽しいですね。

稲   暁

<特選句「地底より雲立ち上がる原爆忌」。力強い表現のなかに、怒りと悲しみがこめられていると思います。特選句「熱帯夜中心線がずれてくる」。暑苦しい熱帯夜。精神の中心線がずれてくるのかそれとも…。

中村 セミ

特選句「くやしさは誰にも告げず梅雨滂沱(植松まめ)」。白いホテルが5階の高さを海につっこむように映し立っていた港の建物の、駐車場に車を止め、既に5階の部屋にいた。ホテルの経営者が、失踪したため一度潰れたのだが、債権者が再開していた。窓に寄ってみると、ガサッと音と共にジヤジヤ降りなった。「夕立か」「私が呼んだの」と、振り向くと、鎖を手に巻きつけた女が「私は騙され、身体を乗っ取られたの」錆た鎖につながれた薄汚れた女が言った。かと思うと、恐ろしい顔に変わり僕に、かみついてきた。その時土砂降りの中で下の方から、窓に突き刺さるように、車がとびこんできた。「えっ、ここは5階なのに」と、思った時、運転手は、なんと、「僕だった。」車は、パァーとライトを照らした時、僕は、スゥーと車の中の運転手に戻っていた。駐車場から、海に転落して、海の中の5階の窓に、つっこんだのか? 

竹本  仰

特選句「走れメロス余白幽かな夏の蝉」:太宰治の「走れメロス」は中学校の教科書で学んだが、何て偽善的な作品だと思い、単純に感動していた何人かを軽蔑さえしていた。しかし、メロスが自分の友人・セリヌンティウスを人質にして、妹の婚礼から戻るとき、疲れ切って倒れて挫けそうになったところの場面だけは覚えている。正義をかざす自分への自己嫌悪に陥り、自身を嘲笑しながら、まどろんでゆくとかすかな水音が聞こえる。…あの一瞬は気に入った。水音が実に鮮明だ。メロスを生き返らせた水との対話さながらに「余白」が魅力的に聞こえる句です。特選句「向日葵や一歩下がって仰ぐ空」:向日葵にウクライナを連想しました。ヴィットリオ・デ・シーカ『ひまわり』ではイタリアとソ連との戦争で互いに大量の戦死者が出て、その鎮魂のためにその地に無数のひまわりが植えられたとなっていました。今のウクライナですね。しかし今はその映画の意図もむなしく戦火に見舞われている訳で。一歩下がって見える青空の日はきっと来るのでしょうが。一方、寺山修司の〈向日葵は枯れつつ花を捧げおり父の墓標はわれより低し〉というイメージで読め、或る個人的な闘いを一歩退いた状況で、ふと自己の境涯を見てしまった感のある句とも感じさせるところもあります。いずれにしても「一歩下がつて仰ぐ」に優れたものを感じました。特選句「一睡や疲れが蝶になる夏野」:疲れがたまると、身体はまったく動けないのに、どこかへ行きたい思いだけがさまよってしまう、なんてことがあります。〈行き行きて倒れ伏すとも萩の原〉と芭蕉と「奥の細道」の旅に最後まで同行できなかった曽良も、そんな蝶になった思いでいたのだろうなとも連想。今ちょうど疲れのピークにある私にとっては、自由って何だ?と問いかけられたような、心にしみる句です。

三枝みずほ

特選句「吾三十入道雲に急かされる」。三十代、社会における自分の身の置きどころを考えると投げやりになる日もあるだろう。自分自身を納得させるため、試行錯誤と葛藤を繰り返す。だから入道雲に急かされる背中は立ち止まり、思考し、少しの諦めを以てまっすぐ行けるのだ。

末澤  等

特選句「そのうち虫の音と記されさう玉音」。戦後80年を迎え、戦争経験者が国民の1割を切ったとの報道がなされているなか、今後玉音放送させも知らない人たちが 更に増え、将来的には玉音放送を聞いても何のことか理解できず、虫の音と捉える方がでてくるのではないかとの危惧が上手く表現されていると思いました。

吉田 和恵

特選句「花魁草長く生きたる自画自賛」。早逝する人が多い中、長く生きるというだけで嬉しいことなのです。先日、炎天下の畑で友人が旅立ちました。♡ご冥福をお祈り致します。

遠藤 和代

特選句「向日葵や一歩下がって仰ぐ空」。向日葵畑が広すぎて一歩下がらなければ空が仰げない? ちょっと面白い句だと思います。

佳   凛

特選句「折鶴の渦巻くばかり爆心地(野﨑憲子)」。全世界から平和を願い数えきれない、折り鶴何時までもこの平和が続くと良いですね。切に願っています。

藤田 乙女

特選句「被爆忌の己の影に立ち止まる」。 原爆を作り出し使用した人間、原爆により命を失ったり苦しんだり今も苦しみ続けている人間核兵器を所有し再び使用するかもしれない人間、自分の影に人間というものの影や陰を深く見つめているように感じられました。特選句「水たまりに来た夏空も十七才」。希望に満ちた句で爽やかで清々しい気持ちになりました。

野﨑 憲子

特選句「尾鰭ふりつつ短夜に眠り落つ」。悠久の大河の中で真夏の夜の夢をむさぼる人魚の姿が浮かんできた。こんな幸せな眠りの輪が広がりますように!と切に切に祈るばかり。 特選句「地底より雲立ち上がる原爆忌」。原爆のキノコ雲ならぬ、地底深くのマグマより湧き上がる入道雲よ、愛の言霊を生ましめよの思いが伝わってくる。戦後八十年の八月が過ぎようとしている。

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

夏休み
足も手もすっかり夏休み中です
三枝みずほ
どの子にもちひさきなやみ夏休み
島田 章平
宿題は一日一句の夏休み
三好三香穂
夏休み皮脱ぎ捨てて秋の吾
銀   次
半ば来て二度目と思う夏休み
藤川 宏樹
汗かいて骨の透けたる女あり
銀   次
外に出る汗出る顔の崩れゆく
三好三香穂
汗をかけ憲法守れ飄飄と
藤川 宏樹
汗だくになつて数式追つてをり
三枝みずほ
汗しとどまたも忘れて立ち止まる
野﨑 憲子
汗拭ひ一日一句喜寿生きむ
島田 章平
大仏に汗したたるや「お身拭い」
島田 章平
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
ひぐらしの殻を拾いて舟とせむ
銀   次
戦争に沈黙蜩急き立てる
岡田 奈々
心つて地球の重さ夕蜩
野﨑 憲子
それからの一言かなかなの中に
三枝みずほ
蜩やホームベースを素手で掃く
藤川 宏樹
生きるとは鳴きとほすこと夕ひぐらし
島田 章平
足(手)
逃げ足の速い少年鰯雲
野﨑 憲子
泣く手のひらの虹の根の匂ひ
三枝みずほ
千の手に折鶴持ちて爆心地
野﨑 憲子
グリグリと陽気の手柄扇風機
藤川 宏樹
冷麦をつるりと抜けしひょうげ者
銀   次
青空に触れた者より素足なり
三枝みずほ
強者のエイエイヤーと夏の陣
三好三香穂
弱者とも強者とも共に汗しとど
三好三香穂

【通信欄】&【句会メモ】

第七回海原賞の受賞者に三枝みずほさんが決まりました。「海程香川」への初めてのご参加は、二〇一四年六月句会。二〇一九年十月開催の、第一回「海原」全国大会㏌高松&小豆島の折、「海原」新人賞を受賞された後も、精進を重ね、今や「海原」の次代を担う逸材のおひとりであります。ますますのご健吟とご活躍を祈念申し上げます。みずほさん、ほんとうにおめでとうございました!!今後ともよろしくお願いいたします。

今回の高松での句会は、お盆前の猛暑の中、いつもより少ない八名の参加でしたが、暑さを吹っ飛ばすような、熱く楽しい句会でした。上記の涼やかな写真は 白馬岳三山縦走山行(先月二十四日~二十七日)。末澤 等さん撮影です。末澤さん、お疲れさまでした。ありがとうございました。

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