2026年7月26日 (日)

第174回「海程香川」句会(2026.07.11)

万智のイラスト虹と女の子.jpg

事前投句参加者の一句

 
うごきますゴールがたまに缶ビール 藤川 宏樹
日雷途上途上で生きのびて 松本 勇二
あめんぼう何処に住んでも仮住まい 布戸 道江
坂の上から捕虫網がやって来る 大西 健司
緑蔭の時間と遊ぶ園児たち 津田 将也
嘘ひとつ光となりぬ青葉かな 各務 麗至
だめ男でいいじゃん啄木じゃがいもの花 植松 まめ
夏痩せてすぐ前髪に触るる癖 小西 瞬夏
住み慣れし此処がまほろば青田風 大浦ともこ
沖縄忌軍の狭間の島田知事滝澤 泰斗
原爆忌日は休みなく立ち上がる 豊原 清明
麦茶ぐつぐつ戦の報の二段抜き 松岡 早苗
分け入りて我を探すや青山河 末澤  等
嗚呼やっとハイビスカスに夜がくる 河西 志帆
初夏の白い砂糖の陰掬う 中村 セミ
ほうたるや前世の答へ合せめく 木村 寛伸
蛇衣の一つは私のものがたり 吉田 和恵
阿修羅像その眉解けぬ五月闇 柾木はつ子
一日を壊さぬように沙羅の花 佐藤 詠子
鎌倉に生まれて住まず金魚玉 菅原 春み
愛国心とはからすびしゃくを裏返す すずき穂波
なんとなく不燃体質半夏雨 三好つや子
宵涼し角の灯りの青果店 花舎  薫
花桐や大事な本を返しに行く 佐孝 石画
青田波讃岐平野は元気だぞ 漆原 義典
巨大鯰プリピチャチ川に影踊らせ 新野 祐子
台風一過 多摩川土手にヤブカンゾウ 田中 怜子
父の日や父の言葉が今更に 綾田 節子
心太深海魚の目で見つめられ 増田 暁子
煌くシャンソン夏至の日の転生 山下 一夫
幾億光年旅して鈍き梅雨の月 河田 清峰
背中だけの夏蝶愛はパラドックス 竹本  仰
裸電球逃れた金魚箱の隅 遠藤 和代
鉄路のカーブ赤いランプに浮きて夏 時田 幻椏
ヨイトマケ愛あるのみと薔薇歌ふ 三好三香穂
持ち歩く顔のひとつや半夏生 亀山祐美子
匿名でいられる街の半夏生 河野 志保
手が触れるまでが恋です素足です 柴田 清子
子を捨てて白い日傘の振り向かず 淡路 放生
ポニョポニョとステップ軽し月夜茸 樽谷 宗寛
目覚めれば妄想のなか吾茸 岡田 奈々
鯵捌くその手でくるり母を看る 川本 一葉
すこやかに一人自由青葡萄 疋田恵美子
金魚掬ふごとく言葉を待ちにけり 岡田ミツヒロ
拝けいのつたなくふとき夏見舞 矢野二十四
老鶯の一鳴き辺り静まりぬ 出水 義弘
目も眉も薄らいでゆくはは半夏生 福井 明子
何も残さぬ句談義貴し青葉騒 野田 信章
蹴る蹴るシュートけろけろと蛙 十河 宣洋
半夏生言い尽くせない恩がある 伊藤  幸
その奥にわが空のあり楠若葉 高木 水志
ヨイトマケあなたに贈る百万本の黄バラ 田中アパート
朱夏の脚入れて大海原となる 月野ぽぽな
白南風やフェリー到着まで五分 向井 桐華
ほうたるや捨てられ上手といふ女 銀   次
年表に『戦』は消えぬか夏銀河 藤田 乙女
軸足は水田にずぶり差したまま 榎本 祐子
何卒の戦や束の花煙草 荒井まり子
台所立ちたるままにすもも食む 薫   香
ガウディの塔や天道虫の夢 松本美智子
水無月や和菓子に残る水の音 重松 敬子
指涼しなめらかに鶴折りあげて 和緒 玲子
戦争や脳はももいろなめくじり 若森 京子
夏蝶の羽化閉架書庫ひらく 三枝みずほ
傘と服お洒落にまとめ愉し梅雨 野口思づゑ
髪洗う仕留める時間ならあげる 男波 弘志
七月の風のたましひ爪を切る 野﨑 憲子

句会の窓

大西 健司

特選句「さっきまでそこにいたのが私の家守(河西志帆)」。そう言われてもなあと言いたくなる。お気に入りの家守だろうか。面白い。

小西 瞬夏

特選句「朱夏の脚入れて大海原となる」。脚を「朱夏の脚」と限定されることで、いつもの脚が特別な存在となる。またその身体から大海原へと世界が広がってゆく大胆さ。「となる」という口語の言い切りも潔く景を切り取っている。

松本 勇二

特選句「坂の上から捕虫網がやって来る」。捕虫網により、夏の空の青さや子供たちの明るい笑い声など夏へ向かう高揚感が象徴的に浮かびます。俳句は象徴詩であることがよく分かる一句です。

十河 宣洋

特選句「だめ男でいいじゃん啄木じゃがいもの花」。啄木は借金の天才。啄木の短歌はしみじみと響いてくるものが多い。啄木が金田一京助の家に顔を出すと奥さんがいやな顔をしたと聞く。必ず借金をしていくから。その借りたお金で遊女を買ったなどと日記に書いてある。この日記はローマ字で書かれている。という。じゃがいもの花と取り合わせると薯が怒りそうである。特選句「梅漬けよか君が好きならしょうがない(植松まめ)」。今年から梅干しを作るのは止めようか。夫婦の会話である。でもまあ、あんたがそうしたいのならつけようか。少しなら手伝うよ。といったところ。二人の阿吽の呼吸。

矢野二十四

特選句「髪洗う仕留める時間ならあげる」。こういう女性には男はかなわない。(作者が男性なら取り敢えず笑う)「 雲の峰子は突然に走り出す(岡田ミツヒロ)」。子の動きは予測不可能。そこにこそ雲の峰のような未来がある。「なんとなく不燃体質半夏雨」。同感です。私ももやもやした存在です。「裸電球逃れた金魚箱の隅」。逃れたのがよかったのかそれは分からないが、景に郷愁あり。「持ち歩く顔のひとつや半夏生」。人に素顔はない。今日の顔は今日だけのもの。「匿名でいられる街の半夏生」。物事には両面があるから面白い。「夏蝉は飛ぶ勢いで反射せり」。生き物は考える前に反射神経で生きている。蝉に夏はいらない。「時計屋も本屋も閉じる蝉時雨(菅原春み)」。地方の実情ではある。ノスタルジーのある句。「指涼しなめらかに鶴折りあげて」。<なめらかに>が指にもかかっており<涼し>に艶めいたものがある。「夏蝶の羽化閉架書庫ひらく」。二物配合が上手くついている。

若森 京子

特選句「だめ男でいいじゃん啄木じゃがいもの花」。上五が長すぎる一句だが,これが言いたかったのであろう。啄木と言う詩人の名前を入れて,じゃがいもの花。私にはこの三つの発語が上手く綾をなして,一人の男の力を抜いた生き方が,でも啄木の詩が浮かんで来る豊かさも人生に見えて惹かれた。特選句「軸足は水田にずぶりと差したまま」。農耕民族である日本人は,何処にいようと心根にはこの情感から抜けきれないのでは,と歳を重ねる毎に思う。食料難になるかもとの不安から,若者達も自給自足考えている者も少なくない様だ。

津田 将也

特選句「日雷途上途上で生き延びて」。非常に力強く、現代を生きる作者の実感の伴った人生の俳句として頂きました。秀句です。

岡田 奈々

特選句「自我ぷるる舌にほどけて桃ゼリー(榎本祐子)」。このくらい素直に自分を出せたら最高です。特選句「青梅はやがて梅干し生きようぜ(若森京子)」。みんなわらをもつかむ青春を過ぎ、やがて年取って、梅干しの様に味のある生き方をしたいものです。「日雷途上途上で生きのびて」。日照りの前兆日雷。人生色々な事が起きて、頭悩ます事多々ですが、その時その時過ごしていけば良い。「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。風に吹かれ、水に流され。人生は仮住まいの様なもの。やがては全て捨てて行く。「緑陰の時間と遊ぶ園児たち」。木蔭のある間、園庭で遊べる。「住み慣れし此処がまほろば青田風」。正に住み慣れた吾が故郷に勝ること無し。「分け入りて我を探すや青山河」。故郷の山のなんと青く活き活きしたことか。私たちのルーツ。「嗚呼やっとハイビスカスに夜がくる」。ハイビスカスは美輪明宏さんのこと。いつも大きく咲いて、皆を導いてくれていた。やっと、お勤め終わったんですね。「向日葵よ愛とナガサキ語り継ぎ」。美輪明宏さんの語り口。数々の含蓄ある語り有難うございます。「朱夏の脚入れて大海原となる」。暑かった脚が、海に入った途端、大海原と同化する。海の偉大さ。♡体調悪いので、7月もお休みします。また、宜しくお願いします。→ご体調のお悪い中のご選評ありがとうございました。また句座を囲める日を心待ちにしています。

樽谷 宗寛

特選句「鯵捌くその手で くるりははを看る」。お母様の看護の様子手に取るようにわかるきつと常日頃お母様のそばにいなければいけない状態では?看取りをふかく考えさせる句でした。

藤川 宏樹

特選句「麦茶ぐつぐつ戦の報の二段抜き」。今ならガソリンより高いペットの水を平気で買うが、麦茶はぐつぐつ母が沸かしたものだった。炒った麦の香りに「沖縄B52北爆へ」の二段抜き、戦ある世はいつになっても変わらない。

河野 志保

特選句「嗚呼やっとハイビスカスに夜がくる」。長い1日の終わり、労働の後の句だろうか。鮮やかなハイビスカスが夜の始まりを印象的に告げている。

柴田 清子

特選句「一日を壊さぬように沙羅の花」。沙羅の花の咲いて散り敷くまでが、全て言い尽くされていて、静かな佳句となっている。

木村 寛伸

特選句「手が触れるまでが恋です素足です」。現代俳句としてかなり魅力的な作品。特に評価したいのは、恋の一瞬を「触れるまで」という時間で切り取ったこと。 「素足」という季語で身体性を与えたこと。 会話体を用いながら余韻を残していること。 恋愛を甘く描くのではなく、「届く寸前が最も恋らしい」という感覚を、夏の素足に託した一句。読後には、触れそうで触れない距離の緊張感と、夏の空気の温度が静かに残る。これは作者ならではの感性がよく表れた作品と言える。問題句「戦争や脳はももいろなめくじり」。衝撃的な一句。「ももいろ」と「なめくじり」の生理感覚が戦争への痛烈な批評となっている。読む人を選ぶが、挑戦的な表現として評価できる。「嘘ひとつ光となりぬ青葉かな」。「嘘」が「光」へ変質する飛躍が印象的。「蛇衣の一つは私のものがたり」。「蛇衣」を脱皮=人生・記憶・自己の更新へと転化した一句。読者に物語を委ねる力あり。「一日を壊さぬように沙羅の花」。繊細な感覚が美しい。「壊さぬように」という措辞が秀逸。「持ち歩く顔のひとつや半夏生」。現代人の「仮面」を半夏生に重ねた一句。「金魚掬ふごとく言葉を待ちにけり」。言葉を待つ感覚を金魚掬いで可視化した比喩が美しい。「梅雨晴れ間およそ家族を干し上げる(吉田和恵)」。「およそ」が効いていてユーモアと生活感あり。「その奥にわが空のあり楠若葉」。「わが空」が人生観にまで広がり、品格がある。「てんと虫私の半分乗せて去る(河野志保)」。童話性と哲学性が同居。「私の半分」が様々に読める余白あり。

川本 一葉

特選句「目も眉も薄らいでゆくはは半夏生」。年齢を重ねると毛は薄くなり目も小さくなる。薄らぐというのは忘れることなのかもしれない。あっという間に半夏生の旬は終わる。人の一生は長いのか短いのか、それはその人その人だろう。お母さんへの鎮魂歌のような、少し恐ろしさもある。

福井 明子

特選句「阿修羅像その眉解けぬ五月闇」。阿修羅像の表情、あの眉の、秘めたかなしみの深さを眼にうかべてしまいます。この世のあまたの解決のできぬ苦悩を「阿修羅像」と「五月闇」がくっきりとみせてくれるようです。「解けぬ」は「ほどけぬ」か「とけぬ」、どちらで読ませるのかな、とわたしは迷いました。

野田 信章

特選句「鎌倉に生まれて住まず金魚玉」。生国とは人にとって重たいものである。「鎌倉」ともなれば歴史の厚みのある景勝地としても注目されるところである。一読、一句の立ち姿の際立ちの中に覚える品位のある清涼感も単に「金魚玉」の配合だけではない。中句に込められた「住まず」という打消しの修辞に裏打ちされた矜持の確かさあってのことかと思う。

疋田恵美子

特選句「沖縄忌軍の狭間の島田知事」。世界の情勢、周辺国の倫理なき行動・言動、誠に不安定な世となりました。現状への対応の難しさでしょうね。特選句「半夏生言い尽くせない恩がある」。私にも同感の思いがあります。半夏生が実に良い。

各務 麗至

特選句「父の日や父の言葉が今更に」。父の日だから思い出したのもあるだろう。母の日には母の言葉が蘇えるだろう。そんな亡くなった父や母だけでなく、まわりの師友の言葉にも今更に教えられたと気づくことがある。特選句「戦争や脳はももいろなめくじり」。戦争はNOとでも取れそうだし、それでもきれいごとのようなももいろで、なめくじの動きのように遅々として見てくれの悪さばかりで世界は動いている。両句とも、とても書き切れない深い重いものを感じて慄然とする。

佐藤 詠子

特選句「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。あめんぼうの身の軽さに作者の人生観を感じた。あめんぼうも人もこの世では仮住まいである。諦めではなく、逆に何処に住んでもその地に慣れてしまう人の姿も垣間見れてユーモアを残している句。特選句「夏蝶の羽化閉架書庫ひらく」。この感覚の句が好き。説明がない分、余白からぐっと伝わってくるものがある。夏蝶の羽化で生命力で溢れ光が生まれた。閉架書庫は図書館で一般利用者が入れない書庫。図書館員に閲覧を申し出てから読むことができる本が置かれている、いわば蔵書が眠っている暗いイメージ。そんな閉架書庫から持ち出された本と夏蝶との取り合わせが面白い。本もまた人にページを開かれて価値が生まれる。この全く違う二者を「ひらく」という言葉で命が吹き込まれた実感がして、とても聡明な句だと思う。問題句「素足より目覚めてをりぬ窓の風(川本一葉)」。朝の無防備な身体感覚とゆるい時間に共感できた。けれど「窓の風」がちょっと私には固く感じられた。「窓に風」ではどうでしょうか。風が「おはよう」と起こしにやって来た感じで。

花舎  薫

特選句「住み慣れし此処がまほろば青田風」。その通りとしか言いようがない。まほろば、青田風という言葉が美「瑞穂国」を喚起させる。家や街という物理的な範囲に限らず、今あるものや時間を尊ぶということだろう。

榎本 祐子

特選句「坂の上から捕虫網がやって来る」。簡潔に書かれた不思議な面白さ。人の存在が隠れているからだろうか。

淡路 放生

特選句「花桐や大事な本を返しに行く」。百姓家の土蔵を書庫にしている先輩がいた。彼はそのころ高等学校の教諭をしていて、著書の『讃岐句碑めぐり』は、よく読まれていた。仲間内では校正の鬼と呼ばれていた、土蔵の書庫にはよく本を借りに行った、この句を読んでそのころの私を思った。自転車で<大事な本を返しに行く>のだが、その行き帰りにはこころが弾んでいた。たしか花桐が匂っていたこともあった。

和緒 玲子

特選句「麦茶ぐつぐつ戦の報の二段抜き」。麦茶を煮出すという日常と新聞が大きく報じる戦争の非日常。新聞を握る手触りがあり、どんどん濃くなってゆく麦茶の匂いが場面を満たす。特選句「ガウディの塔や天道虫の夢」。サグラダファミリアの聳え立つ塔と、上に上にと登る習性の天道虫の取り合わせ。メインタワー完成という時事を上手く取り入れつつ、互いの天への希求を詠んだ。

男波 弘志

寸感「鎌倉に生まれて住まず金魚玉」。実は自分も鎌倉の近所に生まれています。その土地の魅力は計り知れません。ですから余計になつかしくなるんでしょう。金魚玉のむこうに由比ガ浜が観えます。 秀作。

藤田 乙女

特選句「その奥にわが空のあり楠若葉」。見上げた楠若葉は明るく青空に映え命の息吹や生命力を感じます。そして「わが空のあり」からは、希望や夢に向かって日々を生きようとしている生気あふれる作者の姿や強い思いがよく伝わってきます。明るく希望を抱かせる句です。特選句「ヨイトマケあなたに贈る百万本の黄バラ」。「あなたに」は「ヨイトマケ」を唄った美輪明宏さんへの作者の深い思いと共にご自身のお母様への思いが同時に伝わってきました。百万本の黄バラを贈りたいのは美輪さんとご自身のお母様なのでしょう。「一万本」でも「千万本」でもなく「百万本」が良く効いているように思います。「こんな世の中を生き抜く武器は愛の言葉しかありません。この世のすべての問題を解く鍵は愛です。愛があれば戦争なんか起こりません。」の美輪さんの最後のメッセージを噛み締めています。

吉田 和恵

特選句「老鶯の一鳴き辺り静まりぬ」。待ちに待った初音から特に今年は存在感がありますが、老鶯の一声で静まるという所に説得力があります。老鶯を若手芸人もて余す、とか。

河西 志帆

特選句「坂の上から捕虫網がやって来る」。何だか可笑しいですよね。捕まえるぞーって、向こうから歩いてくるみたい。こういう句が好きです。難しい言葉を詰め込み過ぎないのがいいんですよ。だから映像がはっきり見えるんですね〜。「梅雨明け待つ校庭の隅棕櫚束子」。この風景知っています。部活少女だったんで、体育館やらその周りを掃除しました。ちびたようになった束子!学校の掃除を生徒がするのが、外国から見たらありえないとか。びっくりよ。「鯵捌くその手でくるり母を看る」。自宅で居酒屋をして、離れの部屋で母を介護していました。ベル🔔を鳴らしてくれると、走っていきました。鯵の南蛮漬けをよく作ったものでした。くるり!がいいです。沁みてきます〜。

河田 清峰

特選句『年表に「戦」は消えぬか夏銀河』。8月になると戦で亡くなった沢山の人たちが銀河となっている。

野口思づゑ

特選句「うごきますゴールがたまに缶ビール」。缶ビールをゴールにしたてサッカー遊びをしている子供や大人たち。缶ビールに焦点を当てて、サッカーワールドカップに夢中になっている社会現象までも描かれている。特選句「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。事実として、あるいは心の声として、どちらであれよく理解できる。「手が触れるまでが恋です素足です」。恋の一つの定義なのでしょうか。「鯵捌くその手でくるり母を看る」。食事の用意をし、お母様のお世話をしている日々の一コマが巧みに描かれている。「拝けいのつたなくふとき夏見舞」。ハガキでしょうか、子供が頑張って書いているのか、手が不自由になってしまった方からなのか。♡ 暑中おみまい申し上げます。香川県も大変な暑さなのではと想像致します。 おかげさまで、シドニーは17度と、ちょっと寒いかな、程度ですので文句は言えません。→ 17度ですか!メールから涼しい風が吹いてきました。ありがとうございます。

末澤  等

特選句「父の日や父の言葉が今更に」。 40年以上も前、30歳代前半の頃に父親から種々のことを言われ、その頃は「時代が変わってきているのに何を言 ってるんだろう・・・」と思って聞き過ごしていました が、社会経験や子育てなどを経てこの年になってくると意味合いがよく分かってきました。 今更ながら、父親に申し訳ないと思う気持ちで一杯です。

植松 まめ

特選句「麦茶ぐつぐつ戦の報の二段抜き」。麦茶を沸かすごく日常の生活のなかにも戦争は人のこころを蝕んでいる、ぐつぐつがよく効いている。特選句「背中だけの夏蝶愛はパラドックス」。美しくて危険な恋か、妖しい森に迷いこんだような……。本文

月野ぽぽな

特選句「分け入りて我を探すや青山河」。大自然の癒しの力、人間が自然の一部であることの、潔い比喩だと思いました。

時田 幻椏

特選句「初夏の白い砂糖の陰掬う」。今回一番の秀句と思います。美しく爽やかな静寂を頂きました。

伊藤   幸

特選句「原爆忌日は休みなく立ち上がる」。原爆忌・終戦忌を前にして採らせて頂きました。原爆後の惨状は映像の中でしか知ることはできません。しかしながら何があろうと日はまた昇るのです。そうであったからこそ今の広島が長崎が日本があるのです。戦の絶えないこの地球に燦燦と光溢れる日が早く訪れるよう祈るばかりです。特選句「ヨイトマケあなたに贈る百万本の黄バラ」。苦い思いはすべてプラスになると説いてベストセラーになった「正負の法則」、愛があれば戦争は起こらないという格言でも多くの人の心を支えた美輪明宏さん。思いは後の世まで受け継がれていくことでしょう。

松岡 早苗

特選句「夏木立まっすぐ奥の旧校舎(三枝みずほ)」。旧校舎へと続くまっすぐな夏木立の道。そこには作者の子ども時代の思い出がいっぱい詰まっているのでしょう。奥まった旧校舎までの距離は、大人の作者が、少年・少女時代へ一歩また一歩と時を逆走していくための時間のように映りました。特選句「鰺捌くその手でくるり母を看る」。魚を捌いて食べる当たり前の日常。他の生き物の命を頂かなくては生きていけないのが現実。しかし、そもそも人間と鰺に命の軽重があるのか。平気で残酷なことをしているのではないか。お母さんの看病でその大切な命に向き合っているからこその心の引っかかりが伝わって来ました。

大浦ともこ

特選句「麦茶ぐつぐつ戦の報の二段抜き」。麦茶を沸かすという平和な日常に忍び寄る空気を新聞の見出しで表現していて今の不穏さが伝わってきて考えさせられます。特選句「匿名でいられる街の半夏生」。住み慣れた街に時に抱く閉塞感を”匿名でいられる”という状況と比べてみたりした。季語の半夏生が効果的と思います。

布戸 道江

特選句「一日をを壊さぬように沙羅の花」。沙羅の花のはかなさ。「盆栽のため息ひつつ夏至の月(野﨑憲子)」。ため息と夏の月の取り合わせが絶妙。「白南風やフェリー到着まで五分」。実景、実感が直線で飛び込んで来る。「今を生き明るくくぐる茅の輪かな(漆原義典)」。今を大事に、同感です。「水無月や和菓子に残る水の音」。美しい写真のよう、涼感が伝わる。

佐孝 石画

特選句「一日を壊さぬように沙羅の花」。「壊れる」ではなく「壊さぬ」とあることで、ささやかな日常に向けられた「希い」のようなものを感じる。「一日」を、脆くてすぐ崩れてしまいそうな道程とふいに幻視した、作者の感性に大いに共感する。沙羅の花の眩しさをきっかけに、作者の胸の奥深くから何でもない「一日」の儚さが湧き出てきたのだろう。

田中 怜子

特選句「青田波讃岐平野は元気だぞ」。気持ちよい句、産土を直に愛する気持ち。こういう良いところに、人の好さにつけこんで、変な政治家が選ばれるんです。北陸も。困ったものだ。美輪明宏さんが亡くなった。ぶれない、芯があり発信力のある方だ。惜しい‼

豊原 清明

特選句「手が触れるまでが恋です素足です」。ひととひとと触れ合う姿に好感。現代でも、心がひとと寄り添い、好い。問題句「茫漠とイルカに鳴かれオイル危機(津田将也)」。一読しても、意味が解らなかった。語は知っていますが、それが何なのか、無知を思い、「茫漠と」が好きでした。

新野 祐子

特選句「愛国心とはからすびしゃくを裏返す」。からすびしゃくとは半夏生草のことですよね。それを裏返すのが「愛国心」?あまりのわからなさが魅力でした。作者の解説を是非お願いします。 ♡すずき穂波さんの自句自解「愛国心とは」がいま日本で問われている。ややもすれば戦前のあの「忠誠心」になりかねない。日本人の心、日本の文化を大切に思う気持ちと、あの忠誠心が「愛国心」という一語の中に、表裏一体となって隠れている危険性。「からすびしゃく=半夏生」の葉は表面だけがお化粧を塗ったように白い。花が終わると裏面の緑と化す。現代の若い人たちにも「愛国心」なる語の異和感を伝えられたらとの思いで作りました。→穂波さん、有難うございました。

岡田ミツヒロ

特選句「枇杷を剥くシワシワの手と小さき手(布戸道江)」。クローズアップされる二つの手のリアル「シワシワの手」と「小さき手」そこから溢れ出る自身の境涯への感慨や幼子への情愛、日常生活の一コマを描いて広々とした心情の世界へと誘う確かな表現力に感銘。枇杷という素材の選定も実に行き届いている。特選句「だめ男でいいじゃん啄木じゃがいもの花」。啄木の私生活がふしだらとして悪し様に難じる人が時々いる。そんな時には「だめ男でいいじゃん」とアッサリ受け流すのがいいのかも知れませんね。

薫   香

特選句『月涼し「綺麗ですね」のあとの黙(木村寛伸)』。沈黙の中に、いろいろな感情がうごめいていますよね。

銀   次

今月の誤読●「指涼しなめらかに鶴折りあげて」。毎日、朝早く起き出して縁側で鶴を折る。真っ白い鶴を一羽だけ。それがわたしの夏休みの日課だった。そうすると、なんとなく祖父が喜んでくれる、そんな気がするからだ。祖父が亡くなったのは去年の夏だ。思い出をいっぱいつくってくれた。こうして鶴を折るのを教えてくれたのも祖父だったし、暑い盛りの川遊び、西瓜の種の飛ばしっこ、涼しい夜の線香花火、みんなみんな祖父との懐かしい思い出だ。鶴を折るたびそんなあれこれが浮かんでくるのだ。そして一羽だけ折って桐の箱にしまい込む。それが祖父との遊びのような気がするのだった。八月の終わり、いつものように鶴を折り、箱に入れようとすると、驚いたことに桐箱は空っぽになっていた。ふと庭を見ると数十羽の折り鶴がいっせいに羽を広げ飛び立とうとしていた。いや実際に紙の羽をパタパタさせ、蝉しぐれのなか朝日に向かって飛んだのだ。紙のはずなのに風のなか羽ばたいていったのだ。わたしは夢中で庭に飛び出し手を振った。祖父の麦わら帽子をかぶった姿が見えたような気がした。夕方、縁側を掃いていると、一枚の白い紙が落ちていた。開くと折り目だけが残っていた。わたしはその紙を箱のなかに入れ、祖父との夏をこころにしまい込んだ。

増田 暁子

特選句「蛇衣の一つは私のものがたり」。「私のものがたり」に惹かれました。蛇が脱皮していくまでの過程を想います。特選句「持ち歩く顔のひとつや半夏生」。相手によっては自分の顔が違う現実。季語がよくあっています。

漆原 義典

特選句「手が触れるまでが恋です素足です」。男組で育ち、大学は工学部土木工学専攻で、恋の経験が皆無の私にとっては、恋は憧れでしかありませんでした。 恋と下五の素足の取り合わせがいいなぁと思います。

柾木はつ子

特選句「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。この地球の何処に住んでもなのか、それともこの世に生きていること自体が仮の世と捉えるのか、漂泊の魂を思います。特選句「住み慣れし此処がまほろば青田風」。先の句とは対照的にしっかりと大地に根ざした生き方を思います。何れも人間の有り様として肯えます。

出水 義弘

特選句「ポニョポニョとステップ軽し月夜茸」。此処の木にも彼処の木にも段々となって着生している状況を、月夜の下で楽しく踊っている様子と受け止め、ポニョポニョと擬態語で滑稽に表現している。明るい句である。特選句「傘と服お洒落にまとめ愉し梅雨」。プラス思考が良い。童謡の「雨雨降れ降れ母さんがーーー」を思い出した。

竹本  仰

特選句「日盛や昭和を劃るように貨車(男波弘志)」:加藤楸邨の〈ながきながき春暁の貨車なつかしき〉を思い出しました。昔、踏切で数えた貨物列車の長かったこと、あれははやる心があっての長さだったなと今は気づくのですが、日本列島の大動脈をあの振動は伝えていたのでしょうね。その貨車がぽつんと老兵のようにたたずんでいるのを見るなんて、かつては思いもかけなかったことでしょうが、そのぽつんはさながら鏡に映したわが若き日を抱えた今の姿ともとらえたんでしょうか。特選句「青葡萄ほどの幸せ聖書措く(大浦ともこ)」:茨木のり子さんの詩「六月」に〈どこかに美しい村はないか〉という冒頭の句があって、その雰囲気を感じました。そうですね、この句の背後に何かしらそんな憧れのようなものがあって、高らかな声の後の、かなり時間の経ったあとの、夕暮れどきの静かな声という気がして、そんな一瞬に身を置きたいものだなと、そんな憧れも感じました。特選句「軸足は水田にずぶり差したまま」:軸足というのがいいですね。誰しも仕事というのはそんなものであって、抜いては生きていけないもの。造次顛沛ではないですけれど、ほんの瞬時の判断に、この軸足がさっと浮かんでくる。生きる上でのリアルな姿、なまなましく感動した次第です。

綾田 節子

特選句「蹴る蹴るシュートけろけろと蛙」。サッカーワールドカップも決勝戦を待つのみ。蹴る蹴るとけろけろの語感も良いし。シュートに蛙の取り合わせ、楽しく頂きました。

高木 水志

特選句「ほうたるや前世の答へ合せめく」。儚く光る蛍の光に、この世に生まれる前のことを重ねている作者の感覚に共感した。

菅原 春み

特選句「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。ぴったりの季語を得て納得することしきりです。生きている限り仮住まいですものね。特選句「住み慣れし此処がまほろば青田風」。ここがまほろばと言い切れる潔さに感服です。青田風がとりわけ心地よい。倖せをシェアーしていただいた。

向井 桐華

特選句「七月の風のたましひ爪を切る」。「風にたましい」を感じる七月と、爪を切るという日常的な行為。これが八月だと当たり前過ぎるが、七月を季語に持ってきたところがよいなと思いました。

中村 セミ

特選句「蛇衣の一つは私のものがたり」。交通事故で左腕を失って以来、失望したままいたが、ある日、鏡の前で右手でクリームを肌に塗っていると、私の流れる涙を左手の指が、拭っているのだ。鏡には映らない、見えない命の枝。

山下 一夫

特選句「あめんぼう何処に住んでも仮住まい」。一読、郷里を離れ都会暮らしに走りがち、転職や転勤で住居を転々させがちな現代人をあめんぼうに託していると受け止めましたが、実は肉食なあめんぼうの生態を知ると居所を変えながら人々から搾取していく無頼な人物像も浮かんできました。漂泊ということでは共通。あめんぼうイメージの軽さを感じる句ですが、それが無常観に通じているところあるようです。特選句「初夏の白い砂糖の陰掬う」。 中七までの爽やかな情景が下五で俄然(それこそ)陰影に富むものに。白い砂糖に伴う「陰」というのは視野に入ってはいてもなかなかそれとして取り出しがたく着眼点が秀逸。いろいろな意味を投影できるかと思いますが、私的には、砂糖を手に取ったときの意外な重さと「陰」からある種の鬱屈を感じます。材質感も秀逸です。問題句「梅漬けよか君が好きならしょうがない」。 二者間の会話の一節。発話している人は梅漬けが嫌いあるいは梅は漬けるのではなく他の処理(例えば梅酒)をしたい。言いぶりから直前に意見の対立があり仕方なく折れた様子。やさしい人物。「君」は相当すねたのか。何と言ったのだろう。そんな二人の関係は、と誤読に向かいやすく楽しめます。

三好つや子

特選句「だめ男でいいじゃん啄木じゃがいもの花」。詩情あふれる歌からは想像できないほど、借金と浪費を繰り返し、若くしてこの世を去った啄木。藤沢周平の小説「白き瓶」によると、明治の歌壇に彗星のごとく現れ、若い歌人に深く影響与えたとか。この小説の主人公である長塚節の歌は知らなくても、啄木の歌は誰もが知っている。天才とはそんなものかもしれません。特選句「匿名でいられる街の半夏生」。自分を知った人がいない街に住む。開放感の中にふっと湧いてくる淋しさを、陰影のある半夏生という季語が、うまく作用して心に響きました。「持ち歩く顔のひとつや半夏生」。たぶん憂鬱な顔なのでしょう。いろんなストーリーが想像でき、切ない感じがしました。「指涼しなめらかに鶴折りあげて」。折り鶴にいそしむ指に平和を祈る指が見え隠れし、惹かれます。

荒井まり子

特選句「義母といて道化役する梅雨晴間(佐藤詠子)」。来し方を振り返れば胸の傷みをと。季語に救われます。 宜しくお願い致します。

亀山祐美子

特選句『あめんぼう何処に住んでも仮住まい』。高校の下宿に始まり生家を出て五度転居した。その数が多いのか少ないのか。仮住まいの意識は常にあった。今となってはほんの一瞬の邂逅の積み重ねであり、今に落ち着く道程だったのだと納得しているが、今さえもあの世への仮住まいなのだとも思う。「あめんぼう」という水に対峙する生き物のあり様が仮住まいを覗き込むような飄々とした無常観を醸し出しこの句を引き立てています。本当に季語の設定は大事ですね。

滝澤 泰斗

特選句「なんとなく不燃体質半夏雨」。梅雨時の今頃の雰囲気を表現したところが気に入りました。共鳴句「メケ・メケや銀巴里遠くなりにけり(田中アパート)」「(追悼 美輪明宏)向日葵よ愛とナガサキ語り継ぎ」。影響を受けた、兄貴の様な美輪明宏氏が亡くなった。佐高信氏のサンデー毎日こコラム「政経外科」の中曽根康弘批判が懐かしい。「トンネルをくぐると世界過去の夏(中村セミ)」。いろいろな読みのできるトンネル・・・・私のトンネルは、故郷の信州と都会を繋いだ信越線の碓井峠のトンネル。18の春まで過ごした信州、そして、両親健在の毎夏の帰郷・・・「レース編み星の神話を指に聞く(三好つや子)」。レーズ編で星でも編んでいたのか、神話を指に聞くで詩情豊かになった。「音読す伝道者の書喜雨の中(新野祐子)」。素晴らしい時間の一カットを切り取った。

三枝みずほ

特選句「髪洗う仕留める時間ならあげる」。相手に隙を与えているようで、主導権を握っているのは私。髪を洗うという日常的な行為から、一人の人間の生き様、覚悟を思わせる言葉の斡旋が巧み。

松本美智子

特選句「日盛りや昭和をくぎるように貨車」。昭和のノスタルジックな世界と貨車の取り合わせが妙でした。ガシャンガシャンと音まで聞こえてきそうです。日盛りの季語との取り合わせもこの句に合っていると思いました!

遠藤 和代

特選句「母と娘のあやとり蜘蛛の巣の光(松本美智子)」。母と娘の怪奇極まりない感情のやり取りをあやとりと蜘蛛の巣で表していてぐっとこころをつかまれました。最後の蜘蛛の巣の光は、それでも母と娘は光を求めて、絡んだ紐を解きほぐしながら光を求めていく。

野﨑 憲子

特選句「何も残さぬ句談義貴し青葉騒」。青葉騒も句談義していると強く感じさせてくれる心躍る一句。「海程香川」の目指す句会そのものです。その場限りで、しかも熱くて楽しい、お互いに元気をいっぱいもらって帰る場。そこには何の掛値も忖度もない。ただ俳句を愛する人の集まり。それが「海程」でもありました。この場から生まれる愛語の句が、ブログから世界へと広がり世界平和の小さな鍵になると信じています。「嗚呼やっとハイビスカスに夜がくる」「メケ・メケや銀巴里遠くなりにけり」「ヨイトマケあなたに贈る百万本の黄バラ」「煌くシャンソン夏至の日の転生」「ヨイトマケ愛あるのみと薔薇歌ふ」本年六月二十日に九十一歳で他界された美輪明宏さんの追悼句を挙げさせていただきました。美輪さんは、十歳の時、長崎で被爆されました。生前最後のメッセージを今一度。「こんな世の中を生き抜く武器は愛の言葉しかありません。この世のすべての問題を解く鍵は愛です。愛があれば戦争なんかおこりません。」と、まさに愛語の遺言ですね。

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

青嵐
青嵐や君のまごころ飛ばしゆく
末澤  等
風青し兄の手帳より押し花
和緒 玲子
肩先に花びらひとつ青嵐
野﨑 憲子
抽斗に妻が釣書青嵐
藤川 宏樹
青嵐古い時計が息を吐く
銀   次
マウンドの投手は不敵青嵐
大浦ともこ
青嵐見上ぐる喉の仏かな
三好三香穂
白黒も緑も青も風涼し
三好三香穂
扇風機ぬるし余震の報がまた
和緒 玲子
特選やまだ首振りを扇風機
藤川 宏樹
風の香や本当の声を聞かせてね
末澤  等
風が治つたら学校へ来い入道雲
野﨑 憲子
風吹いてひと夜の夢を流しけり
銀   次
風凪ぎて海に船浮く安息日
大浦ともこ
石鹸玉
とり戻すんじやない大逆転だ石鹸玉
野﨑 憲子
しゃぼん玉風のかたちにゆれている
銀   次
決めつけはやめてください石鹸玉
藤川 宏樹
シャボン玉試しに吹いて誉めて友
藤川 宏樹
青葉木菟しゃぼんの泡の太りゆく
和緒 玲子
ミュージカルラストはシャボン玉の飛び
三好三香穂
日傘
母今も父のマドンナ白日傘
大浦ともこ
天使にも悪魔にもなる夕日傘
野﨑 憲子
日傘とじ手のひら返して背中向け
末澤  等
和日傘や浴衣の袖に風匂う
銀   次
絵日傘や姉に小さな泣き黒子
和緒 玲子
くるくると日傘まわして小学生
三好三香穂
星降るやどの煩悩に貢ごうか
藤川 宏樹
ガリレオの天動説や星涼し
三好三香穂
流木や不思議な星のものがたり
野﨑 憲子
星涼し眠れぬ町を影として
銀   次
星空や百合が咲いたと君の言ふ
和緒 玲子
揺れている雫のピアス夏の星
大浦ともこ

【通信欄】&【句会メモ】

7月11日の高松での句会は。いきなりの猛暑の中での開催でした。体調を崩された方もあり、十人足らずの連衆で句座を囲みましたが、事前投句の合評に、袋回しに、とても楽しく豊かな時間を過ごしました。

待望の『第5回「海原」全国大会㏌福井(10月17日~19日)』の案内が「海原」誌に掲載されました。師の「よく眠る夢の枯野が青むまで」の句碑や、永平寺、一乗谷朝倉遺跡吟行など、今から楽しみです。私も参加の予定です。遠方に住む本会の連衆の方々にもお会いできたら嬉しいです。

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